★天邪鬼中年の主張PART2
色々書きたいことはあるが、あまり多くのことを書いても、読んで下さる方々は飽きてしまうだろうし、論点がぼけてしまうのも良くないので、ボクシング人気低迷の原因と、私なりの人気復活への取り組みについて意見を述べることにする。長文・駄文であることは、お許し願いたい。
まず、人気低迷の原因だが、コアなボクシング・ファンやTV屋さんが盛んに言っている「好カードが実現しないからだ」とか、「演出ベタ」とか、「試合にKOシーンが少なくつまらないからだ」というのは、一面では当たっているかもしれないが、それが大きなものではない。何が一番の原因かと言えば、世間の一般の人々が、世界チャンピオン誕生のストーリーに、共鳴しなくなった(できなくなった)ことが、人気低迷に繋がっているように思える。それは、70年代までに誕生した世界チャンピオンと90年代以降に誕生したチャンピオンを比較すれば一目瞭然である。70年代までに誕生した世界チャンピオンは、プロ叩き上げという選手がほとんどで、いわゆるオリンピック出場やアマチュアの全日本チャンピオン、インターハイ・チャンピオンという肩書きを持つ選手は、ロイヤル・小林と具志堅用高以外皆無である。しかし、90年代以降になるとアマチュア時代の肩書きや実績のない選手で世界チャンピオンになったのは、セレス・小林や竹原慎二、畑山隆則くらいのもので、あとのチャンピオンはアマ時代の何かしらの肩書きや実績を持っている。つまり、ちょっと前まで自分と同じ境遇だった人や自分の隣に住んでいた人が、頑張って世界チャンピオンになったということで共有できた感動が忘れられてしまい、世界チャンピオンを作れば儲かるというTV屋さん方の悪魔の囁きによって、ボクシング界が世界チャンピオンを作るだけにまい進し、その結果、一部の特権階級の選手しか世界チャンピオンになれないという意識づけがファンにできてしまったことが、人気低迷の最大の原因になっているのではないだろうか? 先日放送された白井義男氏追悼番組で、カーン博士の「300円(最も安いチケット)を払って見に来てくれたお客さんを大切にしなさい」という言葉を、ボクシング界全体が、世界チャンピオンという名誉と目先の大金に目がくらみ忘れてしまったことが、人気を低迷させているのだと思う。しかし、それを批判するだけではいけないし、その現状をどのように打破するかを考えなければいけないと思う。
TV屋さんは、その現状を打破するためにファンとして頑張っていると盛んに強調していたが、意見を読めば、申し訳ないが、自分たちTV屋が儲かれば良いのだと言わんばかりの語句を並べ、自分たちの正当性だけを主張しているように読み取れた。そんなTV屋さんの作ったレールに乗っているのが亀田親子で、TV局がこの親子にいかに金をかけているかわかるのが、6月13日に放送された「ZONE」というスポーツドキュメンタリー番組だ。今回の放送でも、番組制作会社のコーディネイトしたタイ遠征や親父への誕生日の花束贈呈など、やらんでもいい演出が目だって仕方なかったが、ただ、この番組の制作者も、世間の意見に少しは耳を傾けているいるようで、亀田少年の言葉使いや発言が変わっていたのも事実として見ておかなければいけないだろう。亀田親子と面識があるというTV屋さんは、「日本のボクサーは亀田少年に勝てないと思っているから挑戦しないだけで、亀田少年に勝てばその選手の商品価値が上がる」と戯言を羅列していたが、全くこの世界を知らないし、上辺でものを判断していることが良くわかる発言だ。日本人ボクサーとの対戦を一番嫌がっているのは、恐らくかつて痛い思いをしている亀田少年たちをマネージメントしているグリーンツダジムだ。ご存知の方も多いと思うが、グリーンツダジムにはかつて、赤井英和という今はタレントとして大活躍している人気選手がいた。世界タイトル再挑戦が内定し、その発表を兼ねた世界タイトル前哨戦で後に日本ミドル級チャンピオンとなる大和田正春という選手と対戦してKO負け、さらに脳内出血を起し、選手としては再起不能となる大ケガを負ってしまったことがある。それによって勝った大和田に、TV屋さんがいう商品価値が出たかといえばまったく出ず、大和田のことが、マスコミで取り上げられるようになったのは、数年後に日本チャンピオンになったあたりからで、その頃になってようやく赤井戦の裏話が語られている。日本人選手の怖さを一番肌に感じて知っているツダジムは、恐らく今の段階で日本人選手との対戦は避けるはずだ。ボクサーというのは、鼻っ柱の強い連中が多い集団だから、いつでもやってやるという選手は多くいるし、一見気が弱そうなやつが、こういう名前のある選手とやらせるととんでもないくらい良い試合をすることも少なくない。今の段階で日本人ボクサーが、亀田少年に勝ったところで、TV局が勝った選手に、件のTV屋さんが言うような「商品価値あり」とは認めないだろうし、亀田親子への商品価値を見切ってしまう可能性があるだけだ。そんなことをすれば、ボクシング界にとってメリットのないことは、ボクシング業界人ならわかっている(それがいけない面もあるのだが・・・)ので、ビジネスライクに考えて、お互いにあえて危険な賭けをしないし、メリットのないことをしないだけだ。
話はそれたが、今のボクシング人気を上昇に持っていくには、前から言っていることだが、ひとつはサッカーくじのようなことをやって、お客様に何かしらのメリットを与えることが、一番手短で効果的である。しかしながら、これは理由は言わなくてもわかって頂けるだろうが、警察が許してくれないことだけは間違いない。では、他に方法があるのかと問われれば、一番良いのは選手作りに、ファンも参加してもらうことだと思う。ひとつは、日本特有のジム制度との兼ね合いで難しい点はあるが、JBCと協会がトレーナーに資格・免許制度を設けて、その資格を持ったトレーナーは選手と自由に契約ができて、選手作りができるというもの。もうひとつは、自分の気に入った選手に投資をしてもらい、その選手への投資比率に対して、世界チャンピオンになるなどして利益が出たときに、配分が行われるというものだ。日本人の生活レベルが向上し、精神レベルでのつながりが弱くなった現代社会では、形に違いはあるが、自分たちで選手を育てるという参加意識を持ってもらう方法が一番ではないだろうか?今業界を挙げて一番やらなければいけないのは、作られたスターの出現を待つことではなく、ファンを巻き込んだ形でスターを作ることだという結論を考えたが、どうだろうか?一部特権階級の人だけが、世界チャンピオンになれるし、世界チャンピオン作りに参加できるという意識を一般の人からなくすのが、今すぐできる人気回復策だと思う。人それぞれの考え方があるだろう。それは否定しないし、別の切り口からの意見を多くの方からお願いしたい。
(2004/6/14記)