JBCルール


【日本ボクシングコミッション・試合ルール】

「宣言」

 (財団法人)日本ボクシングコミッション(JBC)は昭和27年(1952年)4月21日、全日本ボクシング協会の推戴により日本で行われる全てのプロ・ボクシングを統轄するために1国1コミッションの方針のもとに設立された。
 以後業界ならびに世論の支持を受けて順当な歩みを続け、昭和53年(1978年)10月13日付をもって財団法人としての登記を完了し、これによってJBCの基盤は不動のものとなった。世界ボクシング界は真に日進月歩であり、試合ルール等においても世界共通のルールに即してゆく基本方針に基づいて幾多の改正が行われてきた。
 今回も従来のルールを改訂並びに整備することとなり、以後日本におけるJBC管轄下のもとで行われる全てのプロ・ボクシングはこの新ルールによって運営、管理されるものであることを宣言する。

 2001年 8月 1日                                                                 (財)日本ボクシングコミッション
                                                                                            コミッショナー 林 有厚

                                                                                           1952. 4.27 制定
                                                                                           1966. 1. 1 改訂
                                                                                           1982. 1. 1 改訂
                                                                                           1992. 4. 3 改訂
                                                                                                                  2001.  8. .1   改訂

第1部・総則

 ボクシングはスポーツであるが故にあらゆるボクシング試合はスポーツマンライクの態度をもって行われるべきである。
 また、プロフェッショナル・ボクシングは、ビジネスの要素を持つことを認めるが、あくまでも正直なビジネスの倫理法則に合致すべき方法で行われることをもって方針とする。従って、コミッションは不正破壊の行為にたいしては、たとえ法規において合法と解釈されることであっても、フェアープレーと誠実の精神を侵す場合は之を排斥する。

第1章・コミッショナーの権能

第1条 日本ボクシングコミッショナーは、(財)日本ボクシングコミッション(以下JAPAN BOXING COMMISSION=JBC)管轄下で行われる日本での全てのプロフェッショナル・ボクシング(以下プロボクシング)試合(試合場におけるスパーリング及び慈善試合を含む)を指揮および監督する公式権能を有する。

第2章 ライセンス

第2条 国籍のいかんを問わず、JBCの交付するライセンスを所持しない者の、日本国内におけるJBC管轄下の一切のボクシング行為を禁止する。なお、いかなるライセンスもこれを他人に貸与又は譲渡することができない。ライセンス所持者の代理をする者は、JBCから委任状の呈示または提出を求められた場合は直ちにこれに従わなければならない。

第3条 ライセンスの交付を受けようとするものは、JBC所定の用紙に必要事項を記入し、戸籍抄本、居住証明書、未成年者は親権者の承諾書その他参考書類並びに所定のライセンス料(消費税を含む)を添えて本人又は代理人ががJBCに持参し、提出しなければならない。
  ただし各地により中部事務局、関西事務局、西部事務局、北海道事務局を経由する。
  あらゆるライセンスは、これを申請する者の能力と実績とに基づいて交付される。
  観光ビザにより来日した外国人ボクサーには、ライセンスは交付されない。
ライセンスの種類は以下の通りとする。
クラブ・オーナー、マネージャー、プロモーター、トレーナー、セコンド、マッチメーカー、ボクサー、レフェリー、タイム・キーパー、進行、アナウンサー、ドクター。

第4条 なにびとも同一人が2種類のライセンスを所持することは出来ない。ただし、クラブオーナーがプロモーターを兼ねること、または、クラブオーナーがマネージャーを兼ねることは認めるが、この場合にはプロモーターを兼ねることは出来ない。クラブ所属のトレーナーがそのクラブ所属のセコンドを兼ねることは、この限りではない。

第5条 ボクサーは、JBCの実施するテストに合格し、かつコミッション・ドクター(以下ドクターという)の身体検査(CTスキャナーテスト並びにB型肝炎テストを含む)に合格しなければライセンスの交付を受けることは出来ない。なお、年齢の制限は17歳以上36歳までとし、37歳に達した時は自動的にライセンスは失効するものとする。ただし、現役のチャンピオンについてはタイトルを喪失したときとする。また新人王戦・賞金トーナメント等で勝ち進んでいる者についても同様に扱う。
  新人ボクサーに交付されるライセンスは30歳未満までとし、原則としてC級ライセンスとする。ただしアマチュアの経験者にして、(社)日本アマチュアボクシング連盟の資格証明に基づき、審査のうえC級ライセンスを免除されることもあり得るものとする。
  また、必要ある場合は、別途審査によりB級の交付を考慮することもある。

第6条 なにびとも、現在において他のプロスポーツのライセンスを保持するものは、ライセンスの交付を受けることはできない。
  また、他のプロスポーツに関与もしくは従事する者は、JBCにおいて審査を経たうえで、発給の可否を決定する。

第7条 すべてのライセンスの有効期間は1月1日から12月末日までの1ヵ年とする。他に事情のない限り、ライセンスの翌年への更新は許可される。その場合、ボクサー、レフェリーは、必ず1ヶ月以内の身体検査書を提出するものとする。

第8条 ライセンスされたすべての役員、ボクサーは、一切の映画、演劇、演芸、放送、座談会、サイン会、その他に出演、参加する場合は、事前にJBCに届け出るものとする。

第9条 ライセンスをされたものが、JBCルールに違反し、日本国法律に抵触し、その他ライセンスを交付される資格に欠けると裁定された場合には、JBCからライセンスの取消、一定期間サスペンド(停止)その他の処分をされる。

第3章 契  約

第10条 あらゆる契約は守られ、かつ履行されなければならない。契約はすべてJBCの公式契約書で作成され、かつ、それがJBCによって承認されて初めて公式の効力を生ずるものとする。口頭による契約または同意は、すべて公式には効力を認めない。
  あらゆる契約書のコピーは、その一部をJBCに提出しなければならない。

第11条 マネージャーとボクサーの契約期間は、3年間を越えてはならないし、その契約書を譲渡することはできない。期限を経過してなおかつ双方から異議の申し出がなければ、契約は自動的に更新されたものとみなす。この場合もJBCへの届出をもって効力が生じるものとする。トレードはこの限りではない。
  ボクサーの試合のため、もしマネージャーが他のマネージャーにマネージメ  ントを委嘱した場合委嘱されたマネージャーはその代理委任状をJBCに提出せねばならない。
  また、マネージャーの取得するマネージメント料は、ファイト・マネーの33パーセントを越えてはならない。
  マネージャー料以外でマネージャーとボクサー間に特約がある場合は、事前に文書によってJBCに届出なければならない。

第12条 タイトルマッチの契約書には、リターン・マッチを保証する条項を加えてはならない。プロモーターは同一の契約書で将来の試合を保証するような条項を含めてはならない。例外として再戦を認める条件として、(1)試合の判定に疑義がある場合、(2)接戦の場合、当該試合のマネージャーからの再戦の申請がJBCに提出された場合は、JBCは選手権委員会が相当と認める場合は再戦を許可する。

第4章 公式試合

第13条 プロボクシング試合は、技術を根幹とするスポーツである。従って、すべての試合は凄惨さを争うものであってはならない。
 試合は、常にルールに明記された事項を尊重し、スポーツマン精神を発揚して行わなければならない。なお、世界並びに東洋太平洋タイトルマッチにおいてはJBC承認のもと当該認定団体の試合ルールを採用することができるものとする。

第14条 公式試合とは、一般に観客に有料で公開される会場において、ライセンスされたプロモーターにより主催され、出場するすべてのボクサー、そのマネージャー、セコンドがライセンスを所持し、かつレフェリー、ジャッジをはじめすべての試合役員がライセンスされた者であって、JBCから許可された試合をいう。
 一旦許可された試合でもその後においてJBCルールに違反すると見なされた場合には、JBCは公式試合の取消しをすることができる。

第15条 公式試合の総ラウンド数は、原則として32ラウンド以上50ラウンド以下とする。ただし、特に許可された場合には、この限りではない。

第16条 外国籍を有するボクサー(以下外国人ボクサー)同士の試合については、当該ボクサーを招へいする前に関係資料をもってJBCに真正カードであることの証明が必要である。
 なお、公式試合場におけるスパーリングは一切公式記録には加えない。

第5章 チャンピオンシップ

第17条 チャンピオンシップとは、チャンピオンとタイトル挑戦有資格者とが双方正規ウエイトで、かつJBCがタイトルマッチとして承認した10回戦以上の試合をいう。
 すでにタイトルマッチとして承認された場合でも、当該選手の責任でランキングを除外せざるを得ない理由が生じたときはJBCはその承認を取り消すことができる。

第18条 ミニマム、ライト・フライ、フライ、スーパー・フライ、バンタム、スーパー・バンタム、フェザー、スーパー・フェザー、ライト、スーパー・ライト、ウェルター、スーパー・ウエルター、ミドル、スーパー・ミドル、ライト・ヘビー、クルーザー、ヘビーの17クラスにそれぞれ1人のチャンピオン(以下単にチャンピオンという)を置く。

第19条 チャンピオンは1階級1チャンピオンの原則を固持する。従って同一人が2階級のチャンピオンになることは許されない。2階級制覇のチャンピオンは10日以内にその一つを返上せねばならない。これを怠るときは自動的に軽い方のタイトルは取り上げられる。
 ただし、地域が異なればこの限りではない。

第20条 JBCは、チャンピオンとタイトルマッチを行う場合、挑戦の誠意を保証するため、JBCに相当額の保証金を寄託することを命じることができる。

第21条 チャンピオンはタイトル獲得後6ヵ月以内にランキング10位以内の者と防衛戦を行わなければならない。
 ただし、チャンピオンが初の防衛に成功した後は、9ヵ月毎にランキング1位の者の挑戦に応じなければならない。1位の者に支障がある場合はJBCはランキング上位者から順次適格者を指名し、正当な理由なくしてチャンピオンがこの義務を履行しない場合はタイトル剥奪の理由となる。なお負傷又は病気などの正当な理由がある場合でも、期限の猶予は45日以上に及ばないこと。1位以外の者がチャンピオンとなったときは、120日以内にランキング1位(またはこれに準ずる者)と防衛戦を行わなければならない。前チャンピオンに課せられた義務は、新チャンピオンが継承することとする。チャンピオンは指名期限の2ヶ月前までに選択試合その他の試合を行う場合は、JBCの事前承認がなければならない。
 世界ランカーは当該クラスにおいては、原則として日本ランカーより上位とする。
 外国人ボクサーが、世界ランカーとして来日する場合は、世界ランカーに認められている日本タイトルに対する挑戦者としての優先的な扱いはしない。空位決定戦の場合も同じとする。ただし、このことはチャンピオン自らが指名試合の挑戦者として選択することを妨げるものではない。
 空位決定戦並びに指名試合出場資格は、当該クラスに少なくとも2ヵ月以上ランクされていること。なお、当該クラスのランカーをそのクラスのウエイトで勝った最近の実績を有するものについては別途審議の上考慮される。
 指名試合で挑戦者として優先権を与えられている1位の者が、理由が無くチャンピオンの申し込みを忌避した場合はランキング上不利益の理由となる。従って1位の者はチャンピオンが指名試合期限に当たるときは常に申し込みに応ずる用意が必要である。かかるが故にノンタイトル試合出場は正当な理由とみなされない。
 指名試合を正当な理由(負傷、病気)なく忌避した指名の有資格者(No1)は、以後6ヵ月間日本タイトル挑戦を認めない。

第22条 つぎの場合は、タイトルは空位または移動する。
 (イ) タイトルマッチで、チャンピオンが正規ウエイトを維持できなかった場合タイトルは空位となる。
 (ロ) タイトルマッチで、チャンピオンが正規ウエイト以外で正規ウエイトの挑戦者に負けた場合タイトルは移動する。
 (ハ) タイトルマッチで、チャンピオンが正規ウエイト以外で正規ウエイトの挑戦者に勝ってもタイトルは 空位となる。
 (ニ) ノンタイトルマッチでも、チャンピオンが正規ウエイトで敗れた場はタイトルは空位または移動する
 (ホ) 下位のチャンピオンが上位のチャンピオンと双方正規ウエイトで戦って敗れても下位者のタイトルは影響しないが、上位者が敗れた場合そのタイトルは空位または移動する。
 (ヘ) タイトルマッチで、挑戦者がオーバーウエイトの時は、勝敗のいかんにかかわらずタイトルは移動しない。

第23条 チャンピオンが海外遠征、負傷その他正当な理由でタイトル防衛戦が行うことができない場合には、JBCの決定により「暫定チャンピオン」を置くことができる。暫定チャンピオンはタイトル獲得後120日以内に正規チャンピオンと対等の条件で統一戦を行わなければならない。正規チャンピオンが上記統一戦に出場できないときは、暫定チャンピオンを自動的に正規チャンピオンとして認定する。

第24条 チャンピオンがタイトルを返上その他の理由で空位となった場合、新チャンピオンの決定戦は原則として2ヵ月以内にJBCの指名する2者によって行われるものとする。空位決定戦の勝者は3ヶ月以内にJBCの指名する者と初防衛戦を行わなければならない。

第25条 JBCは地区チャンピオンをおくことができる。地区チャンピオンのタイトルマッチは原則として8回戦とし、6ヵ月以内に地区コミッションの認めたコンテンダーの挑戦に応じてタイトル防衛試合をしなければならない。

第26条 東洋太平洋ボクシング連盟加盟国ボクサー(以下外国人ボクサーという)にして、JBCが資格ありと認めた者はすべての日本タイトルへ挑戦することができる。ただし、チャンピオンになった外国人ボクサー(OPBF加盟国ボクサーも含む)は、離日と同時に自動的にチャンピオンの資格を失い、タイトルは空位となる。なお外国人ボクサーでJBCの新人テストを受け初のプロライセンスを取得したものに対しては、3ヵ月以上日本に滞在する場合は挑戦者として考慮することができる。

第6章 ランキング

第27条 コミッションは、毎月1回その月の各クラスの1位から10位までのボクサーランキングを決定発表する。なお、世界ランキングは、WBA、WBC、東洋太平洋ランキングはOPBF、OPBF加盟国ランキングはその国のコミッショナーの定めるものをもって公式ランキングとする。故になにびとも、JBCの定めるランキング以外のランキングを公式に使用することはできない。

第7章 プロモーター

第28条 プロモーターは、ボクシングを深く理解する日本国籍または日本国に永住権を有するものとし十分なる社会的信用を持つもので、かつ試合をプロモートするに足りる能力がなければならない。
 ライセンスを申請するものは、原則としてライセンスされたオーナー、プロモーターまたは、マネージャーの2名以上の保証人を必要とする。ただし更新の場合はこの限りではない。
 JBCは、ライセンスの発給に際し必要な場合前記証明資料の提出を求める権限を有する。

第29条 プロモーターは、原則として相当期間ボクシングに実績を持ち、かつプロモートするためには、JBCの公式申請書に必要事項を正しく記入し、かつボクサー、マネージャーの署名ある試合契約書、試合承諾書その他必要な書類を添付して試合日の10日前までにJBCに提出し、その許可を得なければならない。
 プロモーターは前項の許可を得ずして、試合の発表、宣伝、入場券の発売などをしてはならない。

第30条 プロモーターは、試合のために必要な試合報酬、役員費、試合承認料の推定額をJBCの指示する日までにJBCに供託しなければならない。これを怠るときは、試合許可は保留または取消される。

第31条 日本国内で行われるJBC管轄下のプロボクシング試合(公式試合場におけるスパーリング及び慈善試合を含む)を放映、放送、録画、撮影する個人又は、法人は、あらかじめJBCにたいして許可申請を書面で行わなければならない。また、放送又は放映するものはJBCの定める放送承認料を納めなければならない。なお、放送承認料は放送の内容、試合の価値等を勘案して決められる。外国で行われる日本選手の試合を日本に放送する場合もこれに準じる。

第32条 プロモーターは、ライセンスのないボクサーまたはサスペンション下のボクサーと直接、間接たるとを問わず一切の交渉をしてはならない。
 プロモーターは、試合終了後7日以内にその興行報告書をJBCに提出しなければならない。また、プロモーターは、試合が支障なく済んだというJBCの確認があるまでは、ファイト・マネーを支払ってはならない。

第33条 プロモーターは、JBC役員席、ジャッジ席及び記者席をリングに最も近い位置に設けなければならない。また、試合者に必要なグローブ(特にタイトルマッチは未使用の新しいもの)、十分なる数のバケツ、キャンバス用の粉末樹脂、セコンド用の椅子その他試合に必要な物品を用意しなければならない。

第34条 プロモーターは、試合開始のすくなくとも3時間前から終了までの間試合会場の入口付近の最も見易い場所に、コミッションの試合許可証を提示しなければならない。

第8章 ボクサー

第35条 ボクサーは、契約した1人の、マネージャー以外の他のマネージャーといかなる契約もしてはならない。また、ボクサーは無許可の試合(公式試合場におけるスパーリングを含む)に出場してはならない。

第36条 試合に出場契約したボクサーは、最高のコンディションを保つようトレーニングする義務をもち、かつJBCが指示した場合は、いつでも計量と身体検査を受けなければならない。
 また、最初に契約した試合日以前に他の試合をしてはならない。ただし当該関係者の承諾書があればこの限りではない。

第37条 契約下のボクサーが正当の理由(負傷または病気であることをドクターが証明した場合)なくして自己の契約した試合に出場しなかった場合は、自動的に60日間の出場を停止され、事情によってそれ以上の重い処罰をされる。
 また、正当の理由があった場合でも、欠場ボクサーは、回復後の第1戦は当該プロモーターによって、当該相手ボクサーと行わなければならない。ただし、そのプロモーターが、相手マネージャー及びボクサーと協議の上その必要なしと認めた場合はこの限りではない。

第38条 ボクサー・ライセンスの種別による試合ラウンド数の制限は、つぎのとおりとする。
 1 C級 4回戦まで
 2 B級 6回戦まで
 3 A級 8回戦以上
   なお進級基準は別途定めによる。

第39条 ボクサーは、試合終了後2週間を経過しなければつぎの試合に出場することはできない。
 KO・TKOされたボクサーは、原則として90日間を経過しなければ自動的につぎの試合に出場することはできない。ただし負傷によるTKO敗者はドクターの診断の結果に基づき、期間を短縮して許可される場合もある。
 連続4回負け、および連続3回KO・TKOされたボクサーは、120日間を経過しなければ自動的に次の試合に出場することはできない。この場合は、コミッションドクターのCTスキャナー検査を含む精密検査に合格しなければならない。
 試合で意識不明となり入院したボクサーは引退勧告の理由になる。

第40条 試合出場ボクサーはすべて事前にドクターの診断に合格しなければならない。また試合後の診断が義務づけられる。
 試合の臨席ドクターによって、CTスキャナー検査が必要と診断されたボクサーは、この検査に合格しなければ、以後出場を認めない。

第41条 ボクサーは、試合報酬を受取ると同時に試合報酬全額の3パーセントを健康管理基金としてJBCへ拠出しなければならない。
 なお、日本へ来征した外国人ボクサーについても健康管理基金への拠出が義務づけられる。拠出基準は別途定めによる。
 基金は試合中の事故に限り診療契約に基づいてJBCから支払われる。

第42条 ボクサーはJBCの承認があればボクサー・ライセンスにリング名を用いることができる。

第9章 マネージャー

第43条 マネージャーの年齢は満20歳以上とし、契約下にあるボクサーの利益を守るため常につぎの責任をもつ。
  1 適当なるトレーニング施設を用意する。
  2 ボクサーのトレーニングを監督すること。
  3 ボクサーの健康ならびに肉体的安全を保護する。
  4 ボクサーの収入のため、相当数の試合出場をはかる。
  5 ボクサーが試合に出場するときならびにファイト・マネーを受取るときは、必ず立会う。
  6 試合契約下にあるボクサーが負傷、疾病の場合は、必ず試合日の24時間前までに当該プロモーター並びにJBCへ報告する。

第44条 マネージャーは、いかなる理由があっても、他のマネージャーの契約下にあるボクサーを奪おうとくわだててはならない。
 マネージャーはセコンドのライセンスがなくとも契約下のボクサーのセコン ドをすることができる。

第45条 マネージャーは、レフェリー、ジャッジをはじめすべての試合役員の選択を主張することはできないと同時に、試合役員の報酬にも関与してはならない。

第46条 マネージャーが万一ライセンスを停止された場合は、契約下のボクサーは、
  1 停止期間中は、任意に臨時代理マネージャーを選択することができる。
  2 新しいマネージャーと契約することができる。ただし、この場合は停止マネージャーの承諾を必要とする。

第47条 マネージャー以外の者がボクサーと一緒に海外遠征する場合は、その者にJBCによって承認されたマネージャーの委任状を持参させなければならない。

第10章 トレーナー

第48条 トレーナーは、1人またはそれ以上のマネージャーと契約し、そのマネージャーの契約下のボクサーの訓練をする。
 すべてのクラブまたはジムは、すくなくとも、1人の専属トレーナーを持たねばならない。
 専属トレーナーが他のクラブ、ジムまたは他のマネージャーと契約する場合は、現在所属するクラブ、ジムのオーナーの承諾を必要とする。
 ただし、この場合のトレーナーは、セコンド・ライセンスは与えられない。

第49条 専属トレーナーが他のジムのセコンドをする場合は、予めJBCにその旨の届出を必要とする。

第11章 提訴

第50条 ライセンスの停止中もしくは義務不履行により警告を発せられている者を除き、なにびともライセンスされた者は、契約上の不履行その他の諸問題、試合判定等に対する異議、および利害の不一致にともなう一切の紛争などについて、当該管轄地区コミッション事務局に対して提訴することができる。提訴を受けた当該地区コミッション事務局は、審議を経たうえで、必要ならば本部に再審議を求めることができる。