第2部 試合

第12章 クラスとウェイト

第51条 ボクシングのクラス別とそのウェイトのリミットをつぎのとおり定める。
  1 ミニマム級   105ポンド(47.6キロ)以下
  2 Lフライ級   105ポンド超え108ポンド(48.9キロ)まで
  3 フライ級    108ポンド超え112ポンド(50.8キロ)まで
  4 Sフライ級   112ポンド超え115ポンド(52.1キロ)まで
  5 バンタム級   115ポンド超え118ポンド(53.5キロ)まで
  6 Sバンタム級  118ポンド超え122ポンド(55.3キロ)まで
  7 フェザー級   122ポンド超え126ポンド(57.1キロ)まで
  8 Sフェザー級  126ポンド超え130ポンド(58.9キロ)まで
  9 ライト級    130ポンド超え135ポンド(61.2キロ)まで
10 Sライト級  135ポンド超え140ポンド(63.5キロ)まで
11 ウェルター級  140ポンド超え147ポンド(66.6キロ)まで
12 Sウエルター級 147ポンド超え154ポンド(69.8キロ)まで
13 ミドル級    154ポンド超え160ポンド(72.5キロ)まで
14 Sミドル級   160ポンド超え168ポンド(76.2キロ)まで
15 Lヘビー級   168ポンド超え175ポンド(79.3キロ)まで
16 クルーザー級  175ポンド超え190ポンド(86.1キロ)まで
17 ヘビー級    190ポンド超え無制限

第52条 試合に出場する両ボクサーのウエイト差がつぎに掲げる制限を超える場合は、特にJBCから承認されない限り許可されない。両ボクサーのウエイトが両クラスにまたがる場合も同様とし、この場合は軽い方のクラスが適用される。

   112ポンドまで               3ポンド
   112ポンド超え118ポンドまで    4ポンド
   118ポンド超え126ポンドまで    5ポンド
   126ポンド超え135ポンドまで    6ポンド
   135ポンド超え147ポンドまで    7ポンド
   147ポンド超え160ポンドまで    8ポンド
   160ポンド超え175ポンドまで   10ポンド
   175ポンド超え            制限なし

第13章 リング

第53条 リングは、つぎの条件を備えていなければならない。プロモーターは、リングの設置についてルールに規定する条件を厳守すると同時に、試合が円滑かつ支障なく行なわれるよう最善を尽くさなければならない。
  1 ロープの内側は、18フィート(5.47メートル)平方以上24フィート(7.31メートル)平方以内であること。
  2 フロアーは、水平で、厚さは原則として2.5インチ(6.3センチ)以上のフェルトもしくは畳または同じ程度の柔らかい下敷きを置き、その上をキャンバスで覆うこと。
  3 リングは、フロアーから測ってそれぞれ18インチ(0.46メートル)、29インチ(0.74メートル)、41インチ(1.04メートル)、52インチ(1.32メートル)の高さに強く張った4本の直径1インチ(2.5センチ)以上のロープで囲われ、ロープの角にパットを当てがうこと。
  4 ロープの外側のプラットホームは、2フィート(0.61メートル)の幅をもつこと。
  5 赤と青のコーナーを向かい合って設け、取り外しのできる階段をつけること。
  6 リングの高さは、建物の床または地面より4フィート(1.22メートル)以上とすること。
  7 リングの照明には、少なくとも合計4キロワット以上の電球を取りつけること。

第14章 グローブ

第54条 試合に用いるグローブの重さをつぎのとおり定める。
  1 ミニマム級からSライト級まで8オンス(227グラム)
  2 ウエルター級からヘビー級まで10オンス(283.5グラム)
  公式試合場におけるスパーリングはこれより重くてもよい。
  グローブの皮革の部分の重さは、内部の詰物の重さより軽くなければならない。

第55条 グローブは、すべてインスペクターの検査済みのものであって、タイトルマッチの際には、必ず未使用のものを用いなければならない。
  紐は、必ず手首の外側で結び、その上をテープで巻かねばならない。グローブを折り、しぼり、ねじ曲げなどして詰物の移動をはかり、もしくはグローブの外部を傷つけたりしてはならない。

第56条 メイン・エベントのためのグローブは、レフェリーが試合者のバンデージを着用した手を検査したのちリング上で着用させることを原則とするが、インスペクター立会いのもとで控え室での着用を許可することができる。

第15章 バンテージ

第57条 バンデージは、柔らかい布であって、片方の手に巾は2インチ(5 .1センチ)長さは10ヤード(9.14メートル)を越えてはならない。バンテージは、控室でインスペクター立会いのもとに着け、その内部にいかなる物体も巻きこんではならない。
 バンテージを安定するために片方の手に幅1インチ(2.5センチ)長さ6フィート(1.83メートル)の粘着性テープ(工業用を除く)を使用することは差し支えない。ただしこれをナックルパートに使用してはならない。
 このルールの侵犯は、サスペンションまたは罰金またはその併用処分に付される。

第16章 服装

第58条 ボクサーの服装に関しては、つぎの事項を守らなければならない。
 1 靴は、スパイクのない柔らかいものであること。
 2 トランクスは、股下の長さが15センチ以上のものであって、赤、青もしくは反対の二種類を用意し、インスペクターの指示によってそのいずれかを着用すること。
 3 自己の責任において安全と認めたノー・ファウル・カップを必ず着用すること。マウスピースを使用しなくてはならない。
 4 上記以外のいかなる装具もガウンを除きリング内で着用してはならない。
 5 試合前または試合中は、アルコールまたは他の刺激剤を使用してははならない。ワセリンその他の油脂類は最小限の適当なる防護処置と認められる場合、インスペクターの許可を得て使用することができる。有害または悪臭を発する薬品類を使用しないこと。
 6 服装が破損した場合でも、レフェリーの指示がなければこれを直してはならない。
 7 試合中リングサイドで使用が認められるものは次のとおり。水、ワセリン、氷、アドレナリン1/1000溶液又はコミッションドクターにより許可された同一種類のもの、粘着テープ、ガーゼ、綿、綿棒、タオル、ハサミ。

第17章 計量

第59条 試合に出場するボクサーは、JBCの発行した計量通知書を持参し、マネージャーまたはその代理人とともにJBCが指定した時刻(原則として試合前日の午後4時から午後8時の間)に指定した場所へ出頭し、JBC役員立会いのもとに、裸体となって計量しなければならない。計量に遅刻し、もしくは出頭しないボクサーは失格その他に処せられる。また、JBCが安全防護の為に当日再計量を指示する場合はこれに従わなければならない。
 計量器は、日本政府検定済みの台秤または棹秤で、JBCの公認したものでなければならない。計量は、JBCで任命した役員が行い、なにびともこれに干渉することはできない。
 定刻までに一方の関係者が出席せぬ場合は、立会の権利を放棄したものと解釈する。

第60条 計量直前にドクターの診断を受け、これに合格したものでなければ計量することはできない。
 計量するボクサーのウェイトは、契約書に記入されたウェイトと合致しなければならない。
 もし双方またはいずれかの一方がオーバー・ウェイトもしくはウェイト不足の場合には、2時間の猶予が与えられこの間は何度量ってもよい。それでもパスしない場合には不合格となる。
 不合格ボクサーは、もし契約書に記入されているならば、それに基づく違約金の支払いその他の罰を課せられる。
 一方のボクサーが計量に出頭してプロモーターとの契約を履行したにもかかわらず、相手が不履行の場合は、原則としてプロモーターはそのボクサーに契約代金を払わねばならない。
 計量、診断に合格した者には「出場許可証」を発行する。

第61条 JBCは、正規計量時刻の少なくとも2時間前までに計量に用いる計量器を用意し、ボクサーの申し出があれば、JBC役員立会のもとに予備計量を許すこともある。

第18章 試合ラウンド

第62条 1ラウンドは3分間とし、各ラウンドの間に1分間の休憩をおく。両ボクサー、レフェリー以外なにびとも試合中リング内に入ることは許されない。なお、休憩時間は前ラウンドに含まれることとする。

第63条 公式試合のラウンド数は、4回戦、6回戦、8回戦、10回戦、12回戦、の5種類とする。なお、例外として5回戦を認める場合がある。日本タイトルマッチは、10回戦、東洋太平洋タイトルマッチ、並びに世界タイトルマッチは、12回戦とする。
 ノンタイトルマッチは、原則として10回戦を超えてはならない。
 公式試合場におけるスパーリング(公式記録に加えない)は原則として6回戦までとする。

第64条 試合開始後は、試合回数を延長または短縮することはできない。またいかなる休憩もコミッションの許可なくして10分間を超えてはならない。

第19章 試合出場ボクサー

第65条 試合出場ボクサー(以下単にボクサーという)は、つぎの事項を守らなければならない。
  1 試合出場許可証を持参、インスペクターに提示すること。
  2 試合開始の1時間前までに選手控室に入ること。
  3 試合前または試合中に、アルコール類その他の刺激剤を使用しないこと。
  4 試合中は、レフェリーの許可なくしてリングを去らないこと。許可を得た場合でも、つぎのラウンドの鳴る前に帰らねば失格となる。
  5 両選手は、第1ラウンド及び最終ラウンド開始の前レフェリーの指示に従いスポーツマンライクに握手すること。これ以外の握手はしてはならない。これに反して相手方を加撃した場合は反則打と見なされる。
  6 いかなる場合でも、レフェリーに命じられたならば速やかにリングを去ること。

第66条 ボクサーはつぎのいずれかに該当する場合は試合に出場することは許されない。
  1 試合進行の妨げとなるおそれのある負傷・長髪、ひげおよびその他観客に不快の念を与える風体。
  2 急性炎症性疾患・感染性疾患など(感冒、ヘルペス、流行性結膜炎など)。
  3 オーバー・トレーニング、過度の減量などにより全身状態不良の者。
  4 視力が左右いずれも裸眼において0.3に達しない者。なお、新人ボクサーの許可基準は原則として0.5以上とする。
  5 その他ドクターが試合に不適であると認定した者及びドクターの診断勧告に応じない者。

第67条 試合中全力ファイトせず、もしくは故意の反則、悪質のルール違反等をしたボクサーは、ルール第9条に基づき処罰されるほか試合報酬の一部または全部を没収される。

第20章 セコンド

第68条 1人のボクサーに許されるセコンドは3名以内とし、うち1名をチーフ・セコンドとする。

第69条 セコンドは、つぎの事項を守らなければならない。違反者は注意、警告され、なおそれに従わなければコーナーから退去を命じられ、ライセンスをサスペンドされ、または彼らのボクサーが失格させられる場合もある。
  1 試合開始に先だってチーフ・セコンドの氏名を担当レフェリーまたはリングサイド・コミッション席に届けること。
  2 リング内に入ることができるセコンドは1名とし、他はプラットホームにいてセコンドしなければならない。
  3 ラウンドの始まる10秒前の「セコンド・アウト」のホイッスルが鳴ったならば、速やかにリングからタオル、バケツ、ビンなどあらゆる妨害物を取り去って自分もリングを降りること。
  4 試合中は所定の場所に着席し、ボクサーはもとより、応援者、観客に対しても一切の声援、合図、刺激等は行わずに静粛にしていること。
  5 試合中セコンドがリングに入った場合は、そのボクサーは失格となり、そのセコンドは直ちに退場され、ライセンスは自動的に取り消される。この場合でもレフェリーは試合継続を命じることもある。
 試合中の棄権は、リング内にタオルを投入して表示することができるが、レフェリーのカウント中のタオルの投入は、ルール第80条第3項(KO)を適用する。タオル投入と同時にチーフ・セコンドは、リング内に入ることが許される
  6 セコンドは、試合者に水を勢いよくふきかけてはならない。また、ラウンドの間に扇を使って風を送ることはできるが、タオルではできない。

第21章 アナウンサー

第70条 アナウンサーは試合を司会し、アナウンサーによってアナウンスされたものはすべてJBCの公式のものとする。
 アナウンサーはつぎの事項を守らなければならない。
  1 試合開始に先だって、試合のラウンド数(それがタイトルマッチであればその名称とラウンド数)および双方のボクサーの氏名、所属、ウェイトならびに試合役員の氏名を通告し、試合中はダウンがスリップであった場合はこれを通告し、試合終了後は採点の結果及びノック・アウト、テクニカル・ノックアウト、反則勝ち、ノー・コンテスト等のタイムを通告すること。
  2 JBCから許された以外のアナウンスをしてはならない。

第22章 タイムキーパー

第71条 タイムキーパーは、リングサイドの最前列に着席し、正確なストップ・ウォッチによってすべての計時を厳正に行なう。
  タイムキーパーはつぎの事項を守らなければならない。
  1 各ラウンドの開始及び終了をゴングによって知らせること。各ラウンドの終了10秒前を拍子木等によりレフェリーに知らせること。
  2 各ラウンドの開始10秒前にホイッスルを吹いてセコンドの退去を合図すること。
  3 カウント中に3分間の規定時間が来ても終了のゴングを鳴らさずカウントを続け、カウント10にいたらないでダウン者が立ち上がったとき、はじめて終了のゴングを鳴らす。その後正味1分間の休憩に入る。
  4 ダウンが起こったらレフェリーに聞こえるように大声でカウントをとり、腕を上下し、もしくは指によってレフェリーに告げる。
  5 ノックアウト・タイムはカウント終了の時刻とすること。
  6 ノックアウト、テクニカル・ノックアウト、反則勝ち、ノーコンテスト等のタイムを文書によってアナウンサーに知らせること。
  7 試合中レフェリーの事故その他一時試合中止のやむを得ない事態が起こった場合は、レフェリーの指示がなくとも直ちに中止のゴングを鳴らし、試合時間を延長すること。
  8 ゴングはリングのプラットホームと平行でリング外のニュートラルコーナーに近い所に固定する。

第23章 ドクター

第72条 コミッション・ドクター(以下単にドクターという)は、ボクシング医学に明るい医師であってボクサー並びに試合役員の健康を管理する。このドクター以外の医師の診断は公式のものとは認められない。ドクターは、JBC試合ルール並びにJBC医事規則に則って職務を遂行しなければならない。
 ドクターは、つぎの義務を守らなければならない。
  1 JBCの指示に従い、ボクサー並びにレフェリーその他試合役員の定時または臨時の診察をすること。
  2 新たにライセンスを受けようとするボクサーならびにレフェリーその他試合役員の審査をすること。
  3 試合前日の公式計量に立会い、ボクサーの身体検査を行なうこと。
  4 試合中は、リングサイドの最前列に着席し、レフェリーの要請があれば負傷ボクサーの診断の結果を報告し、万一緊急事態が起こった場合には応急の処置をとること。
  5 診断の結果、ボクサーが試合をするに堪えない理由を認めた場合には、即時JBCにその旨を報告し、かつ一定期間の出場停止を勧告すること。
  6 試合中、ドクターは自己の判断によってレフェリーならびにJBCに試合中止を勧告することができる。
  7 ドクターは、ボクサーの試合診断報告書を速やかにJBCに提出せねばならない。