
1998年4月29日:愛知県体育館
メインより前座試合のほうが楽しみだった興行ですが、それなりに見所もあって結構楽しめました。今回は初めての試みとして試合ごとの観戦記を書くことにします。
☆第1試合:戸高 秀樹vs小林 宏
緑ジム移籍第1戦でしかも1年振りの試合となった戸高ですが、攻撃面ではまずまずかなと思いましたが、ディフェンス面では、やや不安を感じた試合でした。時折スイッチしてサウスポー構えになったりしていましたが、小林のような選手には有効であっても、バランス・リズムがイマイチでしたから、あまり多用しあないほうがいいように感じました。一方の小林ですが、何度もピンチに陥りながらも、元日本チャンピオンの意地を見せていました。しかしながら、パンチの切れ、スピードともに欠けて攻撃らしい攻撃がほとんどできませんでした。年齢的にも潮時だと思うのですが・・
☆第2試合:鷹條 直人vsジョン・コーデル
昨年12月の復帰戦では精彩のなかった鷹條ですが、復帰2戦目は2RKO勝ちをしたものの、決して誉められた内容ではありませんでした。鷹條を見るのはこれが3回目ですが、ボクシングがかなり荒くなっているように感じました。途中で戸高同様にサウスポーにスイッチする場面がありましたが、かえってバランスとリズムを崩しているように見えました。一種のスランプなのかもしれませんが、もう一度基本を徹底的にやる必要があると思います。
☆第3試合:ピーター・イシマルvsコリン・ウィルソン
この試合の直前、ウィルソンのセコンドにつくジョー・小泉氏と話すことができ、これからの3試合に出場する青コーナーの選手に期待してくださいと言われたのですが・・・
まず日本では珍しい本格的なヘビー級のこの一戦は、とても迫力がありました。両選手とも身長が192cmあり、とにかくでかいという感じがしたのですが、動きはともにシャープでした。ウガンダ出身のピーター・イシマル選手ですが、デビュー以来2戦2KO勝ちの力は本物ですね。ただ、今回もあまり打たれなかったので、打たれ強さには?がつきそうですが、OPBFのトップランカーにあっさりKO勝ちしただけに、東洋圏では敵がいないように思います。この選手のボクシングは、ただ者ならない感じを受けました。
☆第4試合:アイザック・セントワvs金 奉K
金についてはくわしくレポートして欲しいという要望もありましたし、ジョーさんも良い選手だとおっしゃっていたのですが、結果はいいところが全く見られず、5R終了時点で右目の腫れがひどくなって棄権してしまいました。ちょっと金の戦績が信じられないくらい、全体に動きが固かったように思います。セントワのスピードについていけず、いたずらにジャブを浴びつづけて、結局目を腫らして棄権に追い込まれてしまいました。ただ、時折見せた左右のフックには力強さを感じましたが、カウンターを取れない選手のように見えました。一方のセントワですが、体が柔軟でスピード、切れとも申し分ありませんでした。ただ、不満を感じたのは、打たれ脆いところに気をつかってか、金のカウンターを警戒してチャンスに攻めきれなかったところだが、世界ランク入りを賭けた試合だけに、慎重になったのかもしれませんね。これで、世界ランカーですが、まだパンチがやや手打ちのため全体的に力強さが欲しいと感じました。
☆第5試合:浅井 勇登vs楊 相益
楊は1995年10月に八尋史朗(帝拳)と当時空位のOPBFジュニア・フライ級タイトルを争い、微妙な判定で敗れているが、その時の印象としては、フックを振り回すだけというものがある。
さて、試合は両選手ともパンチに自信があるだけに、激しい打撃戦となった。前半は体力的に勝る浅井がリードしたが、中盤から楊も反撃、終盤はまた浅井が盛り返し最終ラウンドに。楊はKOを狙って積極的に浅井を攻め、KO寸前まで追いつめるが浅井も猛烈に反撃、今度は楊がKO寸前となったが終了間際、楊のパンチで形勢逆転再び浅井がKO寸前になったところで試合終了のゴング。採点は3−0で浅井だったが、この判定に楊陣営が納得せず、なかなかリングから去ろうとしなかった。確かに微妙ではあったが、私は浅井のパンチの方がより効果的と見えたので、浅井の勝ちだと思ったが・・・(私の採点は95−94で浅井)。浅井は苦戦はしたものの世界ランカーに勝ったということは評価できるが、喜んでばかりはいられない内容だった。この選手の良さは思いきりではあるが、すべてのパンチを強く相手に当てようとするため、大振りが目立ったのと、攻めに気を取られるため、ガードが下がるところが気になりました。今後の課題としては、細かなパンチを使うこととフットワークの使い方のように思います。
☆第6試合:飯田 覚士vs井岡 弘樹
まず私の採点から言うと116−111で飯田の勝ちでした。確かに戦前の予想から見れば井岡は善戦したと思う。ただ、スピードとパワーの差には勝てなかったように見えました。TVでこの試合を見た人にはどう見えたのかわからないが、会場で見たところでは、井岡のパンチにあまり力強さを感じなかった。また、井岡の攻めは単発でした。折角いい右ストレートを当てても左のフックを打てなかったことが(飯田が打たせなかったとも言えるが)ジャッジの採点に微妙に影響したように思います。それと、飯田が攻めた時のデフェンスが、本人はかわしているつもりだったのでしょうが、後ろに飛び跳ねて下がるため、飯田のパンチがきれいに当たっているように見えたのもジャッジに悪い印象を与えたように思います。井岡にしてみれば作戦通り戦えたかもしれませんが、日本国内で戦っているとは言っても挑戦者にとって敵地で戦っているということが、計算に入ってなかったのかもしれませんね。
一方の飯田ですが、バッティングで右目尻を切るアクシデントもあって、本来の動きとは違ってましたが、カウンターが光ってました。それと、井岡と違って、攻め込んでもすぐ動いて、相手の反撃を受けないようにしていました。ただ、全体的には動きが固かったのも事実でした。それとやや冷静さを失ったところもあり、さらに井岡の経験や実績に呑まれてしまったところもあったように思います。それと、飯田自身が井岡を意識しすぎたため、トレーニング段階でオーバーワークになり、それが飯田らしさが出なかった原因かもしれません。とはいうものの、井岡のようなベテラン選手相手に苦戦しながら勝ったことは、今後の試合にいい経験となって生かされると思います。
1998年4月28日:後楽園ホール
8月にも世界タイトルに挑戦すると言われている松本だが、物足りなさを感じたのは私だけではないと思う。元来、好不調の波の大きい松本だが、もう少しピリっとしたところを見せて欲しかった。今回のボクシングは、まるで「三谷菌」にでも感染したのかと思うくらい不必要にクリンチを多用していたのも、世界タイトル奪取を目指すボクサーらしからぬように思いました。最後の連打は良かったが、パンチに今一つ切れ味が感じられなかった。今回の試合が松本にとってのベスト・ウエイトであるフェザー級でなかったことを割り引いても、全体的に重かったのも気になる点である。世界タイトル戦に向けての課題は自分でもわかっていると思うが、世界タイトル挑戦までにその課題をこなせるのか、不安だけが大きくクローズアップされたように感じた試合でした。
セミファイナルの保住ですが、相変わらず自分のパンチを過信する悪い癖が治ってない試合でした。この選手がもっと細かなパンチを打てるようになれば、このクラスでは敵なしになると思うのですが・・・。ある意味ではがむしゃらなところが、保住に良いところではあるのだが、もうがむしゃらボクシングから脱却する時期にきているように思います。がむしゃらボクシングから脱却した時、保住はお化けすると思います。
1998年4月20日:後楽園ホール
渡久地の試合をメインに10回戦3試合を含む7試合が行われたガッツファイティングですが、すべてがKO決着となりました。
まずメインの渡久地ですが、ボディ一発でのKO勝ちでした。しかし、内容的には非常に良かったと思います。特に以前に比べると野生味溢れた荒々しい攻めは見られなくなりましたが、力みがなくなりパンチがスムーズに出るようになりました。それとサイドステップが使えるようになったのも強みですね。ただ、心配なのは、ペニャロサのスピードについていけるかです。もし、ついていけるようだと、かなり良い試合をすると思います。パンチの切れも戻ったようですから、期待できるかもしれません。
セミはまるで渡久地の弟のような仲里が、一階級上のフィリピン人選手を左フック一発でKO。良いも悪いもわからないうちに終わってしまいました。そして、もひとつの10回戦は、ベテラン対中堅の日本ランカー同士の一戦でしたが、ベテランが中堅のパワーに押し切られた試合となりました。桑田は年齢的にも、もう負けの許されない一戦でしたが、吉岡のパワーの前に自分ボクシングが出来ませんでした。一方の吉岡ですが、昨年12月岡山にKO負けした後の再起戦とは思えないくらい、正面から打ち合いました。時々桑田のカウンターを浴びてひやりとする場面もありましたが、前へ前へ出てピンチを凌ぎました。結局9R、吉岡の連打で桑田が防戦一方ととなり、レフェリー・ストップと同時にコーナーからタオルも入って試合終了となりました。正直言って、桑田はもう限界ですね。
8回戦には、細谷が登場、これもベテランの中屋を4Rレフェリー・ストップで下しました。しかしながら、パンチに頼り過ぎるのが気になりました。もう少し、パンチにメリハリをつけられるようになると、かなりいい線までいけると思います。
1998年4月15日:後楽園ホール
PPVでご覧になった方がどう見たかはわかりませんが、今年に入って一番酷い興行でした。まず、開場と試合開始が何の予告もなく30分繰り上がって始まり、プログラムに書かれた試合順が全くの順不同、挙げ句に6回戦となっていた試合が8回戦となり、10回戦で予定されていたセミファイナルが8回戦になるなど、ファンに不信感を買いかねない状況でした。
さて、試合ですが、メインの竹永vs堀江戦は、予想もしない結果となりました。強打と脆さを兼ね備えた竹永ですが、1、2Rと不用意にパンチを浴び過ぎました。今日は早く決めようとしていたのか、上体に力が入り過ぎてしまい、上半身と下半身の動きがバラバラで、足の揃ったところにパンチを浴びてダウン喫し、その失点が最後の最後まで響いてしまいました。3R以降反撃を試みましたが、ダウンのダメージもあって、強打が不発のまま7R途中で、3Rのバッティングで傷を作った堀江の傷が深くなって試合終了となってしまいました。竹永にとって、ポイントを挽回しつつあっただけに惜しまれる感じがしますが、相手が初の10回戦ということもあって油断があったように思います。一方、勝った堀江ですが、1、2Rに奪ったダウンは見事でしたが、3R以降は全くいいところがありませんでした。もう少しスタミナをつけないと今後は少し厳しいですね。今回は竹永の自爆に近い3度のダウンで勝てましたが、それ以外はこれといった攻めが見られませんでした。スタミナがあれば、竹永にダメージがあっただけに5Rまでに決着をつけられた試合でした。これでランキング入りですが、一にも二にもスタミナの強化が必要だと思います。
前座に目を移すと一部マニアックなファンに人気のある阪東タカが、6回戦に登場しましたが、後半スタミナを失って判定負けをしました。阪東は変則ボクシングですが、リズムが単調という欠点をつかれてしまいました。4回戦の時には通用したボクシングでしょうが、もう一度鍛え直さないと駄目ですね。その他では、日本ランク入りした金山が、急遽来日した崔に圧勝しましたが、相変わらずボクシングが荒いのが気になりました。それにしても、8日段階で三迫ジムの久保マネージャーが、金山の相手を慌てて探していましたが、よく見つかりましたね。(金山と対戦予定のフィリピンの選手が壊れて困ったといって、あっちこっちのジムに携帯電話から電話していたが・・・)あと、阪東タカの兄、阪東竜も登場しましたが、こちらは何とか負傷判定ながら勝ちました。
いずれにしても、TVとはいってもお金を払って見てもらうような試合はなかったですね。PPV方式定着の鍵はやはり魅力的なカードをどれだけ提供できるかということを感じた興行でもありました。
1998年4月13日:後楽園ホール
今岡が良かったのか、玉置が悪かったのかと問われれば、私は間髪入れずに玉置が悪かったと答えます。現在日本ランキングにも入っていない選手が、何故OPBFタイトルに挑戦できるのか不思議でならないが、それにしても玉置はやる気があったのだろうか。立ち上がりから動きに全く精彩がなく、1R2分過ぎに今岡の右ストレー
トを浴びて最初のダウン。何とか立ち上がったものの、あとはやられ放題、今岡の左右フックがヒットすると玉置はあっさり2度目のダウン。レフェリーはここでカウントもとらず試合終了を宣告。僅か162秒で終わってしまいました。試合後のインタビューで今岡は、世界タイトルを取ると宣言していましたが、はっきり言って今日の試合だけでは、GOとは言えないと思います。今日は相手の脆さに助けられて1Rで一気に勝負をつけましたが、課題の詰めの甘さが克服されたかというと、決して結果を出したとは言えないと思います。いずれにしても、もう少し骨のある相手と対戦して欲しいと思います。
今日は前座からKO試合の連続でしたが、その中で目立ったのは、10回戦の松田の動きが良かったのと、新人王の予選に出たフェザー級の清水が良かったですね。特に清水のパンチ力はかなり期待できると感じました。
それにしても今日は全8試合で行われた試合のラウンド数合計が18でした。すべての試合が終わったのが19時45分。たまにはこういう興行もいいですね。ちなみに、96年にも全試合合わせて18ラウンドくらいで終わった興行がありました。
1998年4月4日:後楽園ホール
この試合をどう表現したらいいのか困ってしまいます。小林から見れば絶好のチャンスを逃した感じがした試合でした。試合は立ち上がりからカバトが手数で小林を攻め立てポイントをリード、中盤に入ると小林の強打が、徐々にカバトを痛めつけポイントを挽回、8Rにはカバトがレスリング行為で減点を取られ、さらに9Rには小林が連打で、カバトをダウン寸前まで追い込み、勝負は最終ラウンドに。最終ラウンドはカバトが手数で圧倒。これが決め手となってカバトが2−1で5度目の防衛に成功しました。私の採点では95−94でカバトでした。
小林がもっと先手を打てれば違った展開になったと思いますが、挑戦者としては、少し物足りなさを感じました。全体的にはカバトのスピードについていけなかったのが痛かったですね。。それと、玉砕してもいいから自分のパンチを信じて前に出ていって欲しかったように思います。
一方のカバトですが、ベテランらしい試合運びだったと思いますが、やはり決め手のなさが気になります。動くのはいいのですが、もう少しはっきりとポイントを取れるボクシングをしないとインタビューで言っていた世界タイトル挑戦ではちょっときついと思います。
セミファイナルは、尾高vs金沢といったベテラン同士の対戦でしたが、最近4連勝の尾高と1993年9月以来1引き分けを挟んで9連敗中の金沢では勢いに差がありすぎました。5Rに一方的に連打したところでレフェリー・ストップがかかりましたが、マッチメイクとして疑問を感じてしまいました。
4回戦、6回戦では、6回戦に登場した金山が、プロの水に馴染んだのか、素晴らしい連打でKO勝ちしたのが目立ってました。