
1998年8月26日:後楽園ホール
バスケスに顎を砕かれて以来1年5ヶ月ぶりに渡辺雄二(斉田)がリングに戻ってきましたが、再起戦を4RTKO勝ちしたといっても、見たかぎりではお先真っ暗、前途多難といった感じがしました。対戦相手の金は、昨年7月に三谷大和に3RKO負けしている選手なので、ブランクがあると言っても、渡辺が負けるような選手ではないと思っていたが、1Rから荒れ気味の試合に。立ち上がりいきなり金の右ストレートが渡辺の顎にヒットしてグラつくことから始まった。渡辺にダメージはありありで、あわやKO負けかと思わせるものの、金もあと一発が決められず、逆に中盤、渡辺の左フックがヒットして金がフラつく。ラウンド終盤は渡辺のパーワーが勝るもダウンを奪えませんでした。2R、3Rは渡辺がプレッシャーをかけながら前に出てフック・アッパーで攻めるが、ダウンを奪えず、逆に金のパンチも数多くクリーンヒットする有り様。それでも、渡辺のパワフルな攻めで金にダメージを与えているようだった。そして4R開始早々、左フックからの連打で、金がダウンするのとほぼ同時にタオルが入って試合終了。結果的には4RTKO勝ちだったが、再起戦ということを割り引いても50点くらいしかつけられない試合だった。今回の試合で気になったのは、渡辺が金の攻めにまったくといって反応していなかったこと。金のパンチ力がないということを見切ったからという意見もあるだろうが、私には金のパンチが見えてなかったように見えて仕方がない。いずれにしても、パンチを貰い過ぎ。相変わらず強気のようだが、今回の試合を見る限りでは、層の厚いス
ーパー・フェザー級戦線での生き残りは難しい感じがしました。
セミファイナルは、アマ出身の田中が3R、右アッパーでノーランカーの平出を仕留めたが、ちょっとミスマッチ気味の試合だった。あと6試合あった新人王戦の準々決勝では、ライト・フライ級の家城が、前回と続けていい試合をしており、かなり有望かなと感じました。
1998年8月25日:後楽園ホール
う〜〜〜ん、あと1、2戦くらい挟んでからやらせるべきだったのかな〜〜
正直言って川益が負けるとは思いませんでした。マーカは過去2戦見ているので、いい時の川益なら圧勝するだろうと思っていましたが、いいところは3Rくらいまで少しありましたけど、中盤以降はマーカの一方的ペース。文句なしの判定負けでした。体調面が良くなかったのか、とにかく動きに切れもなければスピードもない。強くないとはいってもマーカは、フィリピン・チャンピオンからOPBFチャンピオンになっている選手だけに、川益の調子を見切って巧い攻めをされてしまいました。川益に策がなかったともいえますが、本当にいいところなく敗れたという表現がピッタリくるような試合でした。川益はこれで引退かなと思います。次につながるものがありませんでした。
ところで、マーカですが、10月に日本バンタム級2位仲里繁(沖縄ワールドリング)とノンタイトルで対戦するそうです。仲里の強打が通用するか注目したいですね。
セミ・ファイナルは6月、日本ライト級チャンピオン、リック・吉村に挑戦して敗れたアンドレイ・文太が、2階級下のリック・ラミレス(フィリピン)と対戦。1Rにダウンを奪ったものの、その後はラミレスの連打に苦戦。6R開始早々のチャンスでスタミナを使い切り、逆にラミレスの反撃で滅多打ちにあい、レフェリーストップ。アンドレイは練習不足のような感じで、全然体が動かなかったですね。
1998年8月23日:横浜アリーナ
日本初の3大世界タイトルマッチは、終わってみれば消化不良の感は否めませんでした。以下試合ごとの観戦記です。
☆リンvsワンディ
はっきり言ってスロー・スターターで決め手のない選手は、世界チャンピオンにはなれないということが証明された試合だったというのが率直な感想です。ちなみに私の採点は114−114のドロー。勝者となったワンディにも決め手がなかったですね。正直言ってリンがもう少し先手を取っていれば勝てた試合だったと思います。中盤以降は、相手の攻めをうまくかわしながら攻めていただけに、前半の失点が痛かったように思います。それとリンのデフェンスがほとんどブロッキングであったのも、ジャッジに与える印象点として悪かったように思います。最後にワンディですが、絶対的な強さを持っている感じがないので、短命チャンピオンのような感じがします。
☆バサンvs坂本
採点を聞いてそんなに差があったか疑問を感じた試合でした。ちなみに私の採点は115−113でバサンでしたけど・・・。ただ、坂本も正面から行き過ぎて、バサンのアッパー、フックを浴びていたのも事実。しかしそのバサンのパンチにはポイントを与えるほどの威力は、リングサイドにいた私には感じられませんでした。坂本のボクシングは、日本(あるいはOPBF圏)ではポイントを取れても、世界レベルとなるとなかなかポイントを取れないのかなという感じがしました。もう一回やりたいと言っているようですが、厳しい言い方をすれば左フックに頼るボクシングから、もう少し攻めのバリエーションを増やさないと世界では勝てない感じがします。いずれにしても坂本の捲土重来を期待します。
☆辰吉vsアヤラ
結果として6R負傷判定という形で終わりましたが、辰吉の出来は悪くなかったように思います。今回は辰吉の左足とアヤラの右足、どちらが外側にあるかで勝負は決まると思っていたが、常に辰吉の左足が外側にあったので、アヤラ・ペースになりつつあるように見えたかもしれないが、私はあのままラウンドが進んだとしても辰吉の負けはなかったと思います。ただ、これから先を考えるとやはり相手のパンチを貰い過ぎが気になります。辰吉のファイティング・スタイルからするとガードを上げてといっても仕方ないだろう。それより、いかにして相手から打たれない位置に立つかということを考えた方がいいように思います。一方、アヤラですが、一度TVで見ただけでしたが、そんなに恐い選手ではなかったですね。動きも速くないですし、攻めのバリエーションもあまり多くないように見えました。ただ、左ストレートはノーモーションで打ってくるので、恐い感じがしました。いずれにしても、もう一回やってはっきり決着して欲しいと思います。
それと、6Rのアヤラの減点ついてですが、WBCのスレイマン会長が、1点に訂正したようだが、これは明らかなる職権乱用。故意でないバッティングであれ、レフェリーが2点と指示した以上、それを尊重するのが筋。確かにバッティング・ルールはあるが、レフェリーの権限としてファウルを犯したボクサーに対しては1〜3点減点できることになっている。つまりオーバー・ルールにあたるかもしれないが、ガルシア・レフェリーがアヤラのバッティングが故意ではないが、反則であるとして2点減点と判断したのを間違いとは言い切れない話である。これを来賓であるWBC会長が覆し、マスコミ発表するのはおかしな話である。WBCから派遣されているスーパー・バイザーと試合を管理しているJBCコミッショナー、レフェリーが確認して、変更があった場合は、JBCから発表されるべき問題である。いずれにしても、レフェリーの権限を犯すのは、全くもって不愉快な話である。
1998年8月17日:後楽園ホール
過去2度対戦し、チャンピオンのパーマーが1勝1分けとリードしているのにもかかわらず、挑戦者西澤にタイトル奪取を期待する声が大きかった一戦だったが、終わってみるとチャンピオン、パーマーの圧勝の試合だった。
試合自体のレベルは決して高いものではなかった。お互いにクリンチやホールドの連続で、もみ合いの多い試合となった。西澤にとってのチャンスは2R、右のフックがカウンターとなってパーマーの膝が、一瞬落ちかけたところだけ。あとは終始、パーマーのスピードが圧倒。6R以降は、西澤のスタミナが切れ立っているのがやっとという状況。パーマーがいつKOしてもおかしくない状況となった。そして11R、西澤がホールディングで減点を取られる。最終12Rは西澤も逆転KOを狙って攻めようと前に出るが、パーマーのパンチが面白いようにカウンターとなってヒット、最後に西澤を完全にグロッキー状態にしたところで試合終了。結果は聞かずとも明白な試合だった。
勝ったパーマーだが、最近衰えを指摘する声が多かったが、今回の試合を見る限りでは、東洋圏で相手になりそうな選手はいない感じを受けた。ただ、元々打たれるのを極端に嫌がる選手だけに、相変わらずチャンスでのたたみかけるような攻めがないところが不満としては残った。来春世界タイトル挑戦という青写真もあるようだが、チャンスは逃さないというような攻めをしないと、世界は厳しい感じがした。
一方、敗れた西澤だが、スタミナ切れがすべてだった。調整ミスもあったのかもしれない。また、過去1敗1分けとはいっても互角に戦っていただけに、攻略への自信がかえって裏目になったのかもしれない。いずれにしても、今回は完敗だった。今後、日本タイトル防衛に専念するのか、引退するのかはわからないが、西澤の限界が見えた試合とも言える試合だった。年齢的にも潮時なのかもしれない。
セミファイナルには、仲里が登場。”タフネス・ボーイ”清水との対戦だけに、今回は苦戦するかとも思っていた。しかし、1R終了間際仲里の左フックがカウンターになってヒット。清水は前のめりにダウンし、レフェリーはカウントを取らずに試合終了を合図。タイミングが良かったこともあるが、見事なワンパンチKOだった。
金子ジム期待の木谷も登場したが、序盤相手のパンチを浴びて苦戦。3R以降体格差を活かしてペースを握り、5RTKO勝ちを収めた。出来としてはあまり良くなかった。
1998年8月10日:後楽園ホール
松倉が再起戦で判定勝ちを収めた。常にKO勝ちを期待されている選手だけに、物足りなさを感じたファンも多かったと思うが、個人的には今回はこんなものかなと納得している。全体的に見れば距離感が悪く、連打ができなかったところが見られたが、踏み込みは悪くなかったし、相手のパンチを食っても前に出ていたので、一番心配していた精神的なダメージからは回復しているように見えた。松倉にとって真価を問われるのは次の試合だと思う。次の試合も今回のような内容だと心配だが、格下の相手であってもKOできれば、勢いのある頃の松倉に戻る可能性が高いように思う。今回は勝つことと、ある程度自分のボクシングができるかに注目していたが、それはクリアできたと思う。パンチを貰い過ぎたとか批判はあるだろうが、あれだけ精神的にダメージを受けた試合の再起戦で、完璧な勝利を求めるのは酷だと思う。
セミファイナルに予定されていた五月女の試合は中止となったが、五月女と9月5日に世界タイトル挑戦が決まっている畑山とのスパーリングが2R行われた。2R、五月女の右で畑山がダウンしたが、これは畑山のサービスみたいなもの、ややガードを下げているのと、上体が突っ込む感じで攻めているのが気になったが、これからのスパーリングで修正できそうな感じがするので、あまり心配の必要はないと思う。
その他では、昨年の新人王松信が、嶋田にKO負け。打たれ弱さを突かれた感じだが、本人はいたって元気で「左に合わされた。こんなこともありますよ」と言っていたので、今後へのダメージはなさそうだ。
1998年8月7日:後楽園ホール
もう少し差があると思っていたのですが、勝負が決まるまでのプロセスは、新鋭のチャンピオンが、ベテラン・チャレンジャーの抵抗に手を焼いた感じがしました。
試合は1R、小野が左のフックから右ストレートを決めてダウンを奪って始まりました。全盛期の桑田ならあんな簡単にダウンはしないと思いましたが、立ち上がりから何となく集中力のなさが気になりました。いずれにしてもこれで勝負は早いかなと思いましたが、小野も初防衛戦というプレッシャーもあったのか、動きにいまひとつ精彩がないように感じました。2R以降は桑田が接近戦でアッパー、フックを決めれば、小野がボディを中心に攻める展開。正直言って桑田のパンチに往年のスピードと切れがあれば、試合はどうなったかわからない感じがしましたが、如何せんパンチにスピードも切れもなく、チャンスを巧く活かせませんでした。6,7Rは全盛時の桑田なら間違いなく小野をKOしていたことだろう。一方の小野だが、動きが直線的なため、貰わないですむパンチをいたずらに浴びていました。相手のサイド・サイドに動いてボディを打っていれば、こんなに苦戦はしなかったように思います。結局、最後は桑田の力が尽きてレフェリー・ストップとなりましたが、小野も自身認めていましたけど、出来は良くなかったです。小野はこのクラスの選手にしてはパンチがないだけに、スピードを活かしたボクシングをしないと、前田、武田、吉岡あたりの選手と対戦すると苦戦は免れない感じがしました。
前座は東日本新人王準々決勝が10試合行われる予定だったが、期待していたスーパー・フライ級の丸茂広樹が棄権。9試合の中で目立ったのは、フライ級の内藤大助(宮田)とバンタム級の池田光正(MI花形)あたりが期待できそうな感じがした。その他では、館岡恭(新日本木村)の弟、館岡陽のデビュー戦が行われ、4RTKO勝ち。兄よりはパンチがありそうだが、連打がないだけに攻略はしやすいかもしれないと感じました。
最後に、桑田はこれで間違いなく引退するでしょう。もうこれ以上戦ってもあとは噛ませ犬なるだけだと思います。今日のファイトは、やる気を感じませんでした。かつてはタイトルを10回も防衛した選手ですから、名前にこれ以上傷をつけて欲しくないと思ったのは私だけではないと思います。
1998年8月4日:後楽園ホール
メインの頃は、空席の方が多いような気がした興行でした。
日韓のランカー同士の対決とはいうものの、メイン、セミファイナルに出場した韓国側の選手の戦績は共に2勝5敗(崔が1分け、李が2分け)。よくこれでランキングに入れるなという成績だ。こんな選手が相手なら決着は早いだろうということは、容易に想像できたが、メインが2R、セミが3Rで決着。層の薄い重量級とはいえ、こんな選手を相手に試合をするくらいなら、国内のランカーとスパーリングをやった方が保住、永瀬両選手のためになるような感じがしました。いずれにしても、試合について書くことは何もないです。今日一番驚いたのは、保住の髪型。何と何と丸刈りで登場。今日のハイライトでした。
でもってアンダー・カードに目を移すと、「ザ・ピーナッツ(パンフレットに書いてあったが、ヨネクラ・ジムの有沢兄弟と言った方がいいかも・・・)」北野兄弟がそろってデビュー戦。どっちが兄でどっちが弟か知らんが、一方は高校選抜で優勝経験があるため6回戦デビュー、一人は4回戦デビューでリングに登場した。兄弟揃って言えることだが、パンチが軽い感じ。アマチュアとプロのボクシングの違いに戸惑っているのかもしれないが、ライト・フライ級とはいえ、もう少しパンチ力がないと、日本ランク入りも厳しい感じがしました。それと共に真っ直ぐ下がるところがあり、そこを衝かれる場面もしばしばあった。デビュー戦ということを割り引いても、今後が思いやられる内容だった。
1998年8月1日:後楽園ホール
2階級上の選手であっても、日本ランカーと世界ランカーの実力差を感じた試合だった。オルティスは帝拳がプロモート契約しているベネズエラの選手で、日本のリングに初登場。16勝中12KO勝ちということでハードパンチャーであることは想像できたが、結構まとまりがあっていい選手のように感じた。しかし、かつて日本のリングに上がって世界チャンピオンに上り詰めたヘナロ・エルナンデス、ミゲル・アンヘル・ゴンサレス、エロイ・ロハスといった選手と比較するとやや力強さを感じなかった。とはいうものの、1Rから河合に鼻血を出させ、左目上を切り裂いたパンチは日本と世界のレベル差を感じさせるもので、河合が何も出来ないうちにやりたい放題やられた感じがしました。この秋に南米タイトルに挑戦して、来春にはカリー・ライル(フランス)への挑戦を目論んでいるようだが、今日の試合だけでは実力の程はわからないが、自分のペースをどれだけ早く掴めるかが勝負の分かれ目になるように思う。オルティスは、壷にはまればとてつもない強さを発揮する選手と見たが・・・
一方の河合ですが、相手が悪すぎたと言えばそれまでだが、ボクシングが正直すぎるように思う。折角のチャンスだっただけに相手をかきますような気迫を見せて欲しかった。あの時点でのセコンドのタオル投入もやむを得ないが、何か最初から相手に呑まれてしまっていた。グローブを合わせた時点で勝負は明白といった試合だった。加山に敗れ、再起戦で世界ランカーに完敗ということで今後が心配だが、原点に戻って、自分のボクシングを思い出すことからやってみたら再浮上できるように思う。
セミファイナルはベテランと新鋭の日本ランカー同士の一戦だったが、自分の目には新鋭の有効打がポイントを取ったようにに写ったが、公式の採点は意外にもベテランのアグレッシブとパワーにポイント与えていた。日本式採点と言ってしまえばそれまでだが、ちょっと敗者には気の毒な感じがした試合だった。勝った尾高だが、持ち
前のパワーを生かすのも結構だが、パンチを貰わないようにしないと名護であれ大和であれ、勝つのは難しいのではないか。一方の矢原だが、パワー不足、スタミナ不足がジャッジに与える印象を悪くしたように思う。テクニックだけでランキングはここまでこれるだろうが、チャンピオン・クラスと戦うためにはパワー・アップが必要不欠のように感じた。
その他の試合では8回戦に出場したレパード・玉熊ジム期待の山形のパンチ力は魅力だが、如何せん打たせすぎ。パンチとスピードのない選手との対戦だから勝てたような試合ぶり。パンチに頼らず、柔軟に相手と対戦しなければ日本ランキング止まりだろう。自分ではボクシングをやるために生まれてきたとコメントしているようだが、不器用さが気になった試合だった。