1998年3月30日:後楽園ホール

6回戦に私の友人であるモアイ・小西選手が登場しましたが、5RTKOで敗れてしまいました。初の6回戦ということもあってか、立ち上がりから動きが固かったですね。動きが固いところを相手に巧く攻められてしまいました。4Rまでやや劣勢の感があり、5Rその劣勢を一気に挽回しようとしたところで、平戸のカウンターがヒット顔からキャンバスに沈み最初のダウン、何とか立ち上がって反撃を試みますが、ダウンのダメージは明らか、連打を受けてもつれた感じで2度目のダウン、これも気力で立ち上がりましたが、最後ロープに詰まって連打を受けたところで、レフェリー・ストップがかかり試合終了。残念ながら敗れてしまいましたが、今日は気合が空回りしていたように思います。平戸選手も5勝1敗と好成績を挙げているだけあって、動きがなかなかシャープでした。また、6回戦を1度経験しているのも、平戸選手にとっていい方向に働いたように感じました。負けたモアイ・小西選手ですが、色々反省点があるかと思います。もう一度、鍛え直してリングに上がって欲しいと思います。

1998年3月29日:両国国技館

 結果的には、世界3位にランクされている畑山選手が勝ちましたが、有沢選手も臆するところなく、互角の打ち合いを展開した好試合でした。

 有沢vs畑山戦については、畑山選手が打たれ脆い有沢選手を、早いラウンドで倒し切るという見方が多かったようですが、私はこの試合はKO決着であるが、案外もつれた試合になると思っていました。理由は、早いラウンドは有沢選手の右ストレートに畑山選手は苦戦すると見ていたからです。今日の有沢選手は、確かに右ストレートは良かったものの、そこからたたみかけるような攻めがあれば、もう少し違う結果が出ていたように思います。一方の畑山選手ですが、5Rだと思いますが、恐らく右の拳を痛めたように見えました。9Rの最後の詰めは見事でしたが、5R後半から極端に右のパンチが減ったように見えました。それでも、畑山選手の良いところである、思い切りの良い攻めが随所に見られました。お互いに現在の力を出し切った試合だと思います。畑山選手は試合後のインタビューで、このタイトル返上を明言していましたが、確かに持っている必要はないですね。世界タイトル挑戦に専念してもらいたいですね。勝ったとはいっても、畑山選手自身この試合の反省点もあるはず。私は、有沢選手をロープに詰めて打ち合っている時、両足が揃うことが気になりました。それと、心配していたことですが、やはりストレートに対するデフェンスが悪いですね。
 敗れた有沢選手ですが、これで終わった訳ではありません。新しいスタートが切られたところです。今日のところは畑山選手の方が少し、力は上でしたが、今後逆転する可能性もあると感じさせてくれる内容でした。パンチがあるだけに、この敗戦を糧にして再度、畑山選手と対戦して欲しいと思います。負けたとはいっても実力差は紙一重です。この敗戦の悔しさを忘れなければ、一回りも二回りも大きくなった有沢選手を、リングで見ることができると思います。
 最後に、「畑山選手絶対世界チャンピオンになって、もう一度有沢選手と戦ってください。」そして両選手に、「ご苦労様。ありがとう」という言葉を贈りたいと思います。

1998年3月24日:後楽園ホール

 OPBFチャンピオン、ケビン・パーマーへの挑戦を目論む西澤にとっては負けられない試合。一方の挑戦者、笹脇にとっては3度目の日本タイトル挑戦となる試合。どちらも負けたくない試合ですが、恐らくウエルター級がベスト・ウエイトと思える笹脇にとって、西澤の壁は大きかったように思います。
 試合は、手数の西澤に対して笹脇は的確な左右フックで応戦といった内容でしたが、全体的には西澤が押していたような試合でした。体で二回りほど小柄な笹脇は、ガードを固めて前進しながら、左右フックをヒットさせましたが、西澤も細かなパンチで応戦。笹脇の動きにもう少しスピードと切れがあればもっと違った展開になったように思いますが、やはりベスト・ウエイトではないからでしょうか、動きがかなり重たい感じがしました。勝った西澤ですが、どうやら次ぎはケビン・パーマーへの挑戦になるようですが、今日の試合を見る限りでは、パーマーのスピードについていけないように思います。パーマー対策なのでしょうが、細かなパンチを盛んに使っていましたが、体全体のスピードが今一つという感じがしました。また、接近戦になるた左のガードが下がり、笹脇の右フックを度々食っていたのも気がかりな点です。パーマーと戦うにあたっては、もう少しスピードがないと、パーマーの一方的な試合になるように思います。
 セミファイナルでは、最近4連勝、3連続KO勝ちで日本ランキング3位まで上昇した玉置健治が、現在6連敗中のベテラン、青山次郎と対戦しましたが、ベテランの術中にはまって得意の強打が最後まで空回り、青山が1994年4月以来4年ぶりの勝利を収めました。青山のベテランらしい落ち着いた試合運びが光った試合でした。
 6回戦には、アマチュアの社会人チャンピオンだった阿部元一が登場。デビュー戦を5RKOで飾りました。アマチュア出身らしく、パンチを当てるのは非常に巧いと感じましたが、パンチを打ち抜くように打っていないところが気になりました。その他では、昨年の東日本新人王の川島勝重が、見事な連打で1RKO勝ちしたのが、目立っていました。

1998年3月16日:後楽園ホール

 日本ライト級タイトルマッチをメインに10回戦の試合が3つ組まれた、ガッツファイティングの観戦記です。
 まず、今回のリックの試合を漢字一文字で表すなら「怒」でしょう。いつも冷静なリックにしては珍しく、岩元のラフ戦法に巻き込まれて荒っぽいボクシングが目立ちました。結局のところは、岩元もラフ戦法にリックを巻き込んだだけで、リックにスピード負けして、追いつめるまでには至りませんでした。リックにしてみれば、最後まで、相手のペースに乗って自分のスタイルでボクシングが出来なかったことが、歯痒かったように思います。先週の松倉vs名護戦の内容が非常に良かっただけに、今日のストリート・ファイトはやけに激しく見えました。試合後のインタビューでリックは、ナザロフでもジョンストンでもいいから世界タイトルに挑戦したいと抱負を語っていましたが、今日のようにいとも簡単に相手のペースに乗ってしまうようでは、先行きに不安を感じてしまいます。一方の岩元ですが、ラフ戦法で、リックのかき乱しに成功しながら、それ以外の策がありませんでした。パンチ力では、リックを上回っていただけに、強引に接近してフック・アッパーを振り回すだけでなく、ロングレンジからのストレートを打つとかして欲しかったですね。あと、やっぱり岩元は全体的に固かったです。もう少しボディ・スピードがあれば、あっと、驚くような結果になったように思います。いずれにしてもリックには、岡根がやったような変則ボクシングは通用しないようですが、岩元のようなラフ戦法を取ると、付け入るスキがあるように思います。
 セミファイナルは、ジュニア・ウエルター級の上位ランカー同士の対決でしたが、期待通りの打ち合いで盛り上げてくれました。この試合の勝敗を分けたのは、デフェンスでした。昨年12月、吉岡を右の一発で倒した岡山ですが、今回もそのパンチを狙っていましたが、武田が巧くブロックして食いませんでした。逆に最終となった6R、打ち気に早ってガードが下がったところに武田のパンチを浴びて、ピンチになり、さらに連打を浴びたところでレフェリーが試合をストップしました。岡山は少し自分パンチに頼りすぎました。もう少しパンチにメリハリがあれば、違った展開になったように思います。一方の武田は巧く岡山の攻勢を凌ぎましたね。ただ、パンチにもう少し切れがでれば、新井、桑田、小野の上位陣と互角に戦えると思います。
 もう一つの10回戦は、日本タイトルに3度目の挑戦にも失敗した村松が、最下位ランカーの佐野と対戦しましたが、何か壁にでもぶつかっているような感じがしました。特に攻めが中途半端で、6Rにはカウンターを貰ってふらつく有り様。今のままでは日本チャンピオン奪取は難しいと思います。一方の佐野ですが、上位ランカーに善戦したことは認めますが、もう少しアピールが欲しかったですね。折角チャンスを掴んでも、すぐ反撃されてはポイントがどうしても村松に流れてしまいます。ただ、実力的には10位というランキング以上のものがあると思います。4回戦2試合、6回戦3試合は、特にこれといった選手がいませんでした。

1998年3月9日:後楽園ホール

 いや〜、日本タイトルマッチでは久々に戦慄を感じた試合でしたね。ただ、敗れたとはいえ、松倉の健闘も称えたいと思います。
 試合前の私の予想は、前半KOなら松倉、5R以上持てば、終盤KOもしくは判定で名護という風に言っていました。予想通りと言えばそうですが、決着するまでの試合内容は、予想していたものと全然違ってました。正直な話、名護がここまで完璧に松倉の強打を封じてしまうとは思いませんでした。今日の名護は、距離の取り方、パーリングを使ったデフェンスは見事としか言えませんね。それと試合全般を心憎いまでに冷静沈着進めていました。攻撃は相変わらず、右フックを多用して1Rに1回、2Rに2度のダウンを奪いました。特に、2Rにダウンを奪った時にはこれで終わりかと思うくらい強烈でした。また、最後に決めた左にショート・ストレートは、見事なカウンターでした。今日の名護はいくら誉めても誉め足りないですが、もう一つやはり、セコンドの差が出た試合でもあったと思います。名護陣営は、完璧なまでに松倉を分析してましたね。デフェンスにあまり見せなかったパーリングを多用したあたり、松倉対策が出来ていました。また、攻撃面でも、名護が最近見せていたボディ・ブローは恐らく、逆に松倉のカウンターの餌食になると予測したのか、あまり使わず、右のジャブを効果的に使っていました。松倉の弱点を完全に捉えたセコンドと、そのセコンドの指示に従った名護の一体となったところは見事の一言です。実は1週間ほど前人伝に、名護の調子が非常に良いと聞いていましたが、ここまで完璧に仕上げていたとは思いませんでした。今日は名護賞賛ばかりになってしましたが、それくらい本当に素晴らしかったです。
 一方、敗れた松倉ですが、やはり前半少し固かったですね。そこを名護に衝かれてしまいました。でも、1、2Rで3回のダウンを奪われながらも中盤はよく反撃していました。しかしながら、名護のスピードとテクニックについていけなかったのも事実です。自分のパンチに過信していたのか、少し、名護を甘く見ていたように思います。最後の最後にチャンスを作りかけましたが、名護のカウンターを浴びて約5分くらい立てないほどの強烈なダウンでジ・エンドとなってしまいました。ただ、今日は相手が悪すぎました。KO負けしたと言っても、名護以外に松倉を倒せる選手はいないと思います。今日は運が悪かったと思って、再起して欲しいですね。
 最後に、今日の名護を見る限り、年内に世界挑戦しても十分勝算があると思います。国内で敵になりそうなのは、世界チャンピオンの飯田覚士は勿論、元世界チャンピオンの山口圭司あたりしかいませんね。日本ランキング5位の金石選手が、挑戦状を出したようですが、正直な話、止めた方が身のためだと思います。他の試合については、書く気になりませんので、感想は割愛します。

1998年3月8日:横浜アリーナ

 まずは辰吉の防衛を喜びたいと思います。ソーサがあまりにもデフェンシブな戦い方に終始したので、KO勝ちはなりませんでしたが、今日くらい冷静に戦えれば、今後防衛を重ねられると思います。ただ、噂される通り減量が苦しかったためか、やや動きに切れがなかったように見えました。欲を言えばきりがなくなってしまいますので、今日はどんな形であれ、勝つことが一番重要だっただけに、そのハードルをクリアしたということで評価していいと思います。一方のソーサですが、挑戦者としては物足りなかったですね。パンチにもスピードがありませんし、デフェンスが固かったことくらいが目立った程度でした。
 次にサマンvs八尋戦ですが、サマンの出来が良かったということに尽きるように思います。八尋としてはジャブで突き放す作戦だったと思いますが、見事に接近戦に持ち込みました。一方の八尋ですが、ジャブにメリハリがなく、単調なジャブをつかれてサマンのペースに巻き込まれてしまいました。ジャブの使い分けができれば、もっと違った展開になったように思います。
 アンダーカードに目を移すと坂本は、1Rであっさりフィリピン1位にKO勝ちしました。相手によるのかもしれませんが、以前のような大振りが随分矯正されて、バランスが良くなったように感じました。ただ、1R2分57秒では何もわからないのも事実です。ジョンストンとの再戦に向けての課題にどう取り組んでいるのか、見てみたかったです。もう一人10回戦を行った西岡ですが、1Rに2度、2Rに1度ダウンを奪いながら詰め切れず、挙げ句にカルドナのローブローで反則勝ちという結果になってしまいました。試合全般を通じて、どういう風に相手を攻略するつもりだったのか、全く工夫が感じられなかった試合でした。

1998年3月7日:後楽園ホール

 10回戦3試合が行われたダイナミック・グローブの観戦記です。
 まず、10回戦の最初に登場した、WBA世界Jr.フライ級2位(まもなく1位になるはずだが・・・)ガンボア・小泉選手ですが、1Rに久留島の左ストレートを浴びてダウンするなど、出来は決して良くなかったと思います。ただ、久留島の攻撃のリズムを掴んでからは、右のストレートを有効に使って攻めて、最後は連打でレフェリー・ストップ勝ちを収めました。今回の試合で気になったのは、フィリピン選手特有の上体の軟らかさに欠けていたこと、サウスポーの相手の正面に立ちすぎて、相手の左ストレートを食っていたことです。日本の気候が不安定で、調整が巧くいってなかったのかもしれませんが、いずれにしても調子は良くなかったように思います。今年中にも世界タイトルに再挑戦することになるでしょうが、少し不安を感じてしまった内容でした。一方、敗れた久留島ですが、世界ランカー相手にダウンを奪うなど、善戦と言える内容でしたが、惜しむなくは1Rのダウンを奪った後に攻め切れなかったのが、最後の最後に響きました。恐らく自分でも予測してなかったダウンだったのでしょう。試合は何が起こるかわからないということ思い知ったことでしょう。あと、攻めの工夫も欲しかったですね。ガンボアが久留島の左に合わせて、右をねじ込んでいたため、得意の左ストレートを封じられてただけに、右の使い方を工夫して欲しかったように思います。
 次に出場した金内選手ですが、辰吉選手を苦しめたアドニスをどう攻めるか注目していたのですが、メキシカンの伸びるパンチに苦戦してしまいました。今回の金内ですが、一番悪かったのは、最近の帝拳ジムの選手に共通して見える欠点なんですが、自分が攻めた後、同じ場所に立っているため反撃を食うことでした。できるかぎりパンチを食わないようにしないと、パンチがある選手と対戦した場合、痛い目にあうように思います。
 最後に登場した世界ランキング1位のリンですが、いつもと同じような試合でした。見るところもあまりありませんでした。リンに望むことは、いいパンチを決めたあとの詰めを覚えて欲しいと思います。
 アンダーカードに目を移すと、8回戦に登場したバトナサン選手ですが、思っていたよりパンチが伸びるのが目を引きました。選手層の薄いウエルター級だけに、今後脅威となる存在になるかもしれませんね。6回戦のカードは、いつも通りのダルファイトで見所がありませんでした。2試合組まれた4回戦ですが、これが同じ4回戦かと思えるほどレベルが違いました。そんな中で矢澤選手の多彩なパンチが目立ってました。

1998年3月2日:後楽園ホール

 会場の入りも良く、何故か赤井英和,山口圭司も観戦に来ていました。
 結論を一言でいえば、「ボクシング・センスの差」がすべてだったと思います。三谷は良い意味でのずるさを遺憾無く発揮し、平仲を翻弄していました。三谷のクリンチ・ワークをホールドだという声を多く耳にしましたが、私はそうは見てませんでした。クリンチとホールドの見極めは難しいところもありますが、三谷も試合後のインタビューで言ってた通りクリンチも戦法です。私はクリンチ戦法を巧妙に使った三谷を評価します。また、今日は非常に巧く戦ってました。クリンチ戦法はもちろんですが、ラウンドの前半は休みながら終盤パンチをまとめてポイントを奪うとか、右のストレートに近いジャブを使って、平仲を寄せつかなかったり、見事な戦い方でした。ただ、ひとつ不満が残るのは、4Rに平仲の良いパンチを貰ったあと、チャンスがありながら攻めずに、安全運転のボクシングに終始したのが気に入りません。戦術面での成長が見られた三谷ですが、ハートの成長はまだしてないように感じました。
 一方の平仲ですが、三谷のクリンチ戦法にはまったというか、やはり攻めが単調でしたね。また、平仲にとって1Rのダウンは本当に痛手でした。4RにKOのチャンスがありましたが、ここでもう一歩踏み込めず、チャンスを逃す結果になりました。それと平仲のベスト・ウエイトは、やはりフェザー級のように思います。三谷と比較すると体が一回り小さい感じがしました。この敗戦で、平仲の世界タイトル挑戦の道が途切れてしまいました。年齢的にもこれがラスト・ファイトになるのかな、っていう気がします。