1998年5月18日:後楽園ホール

 メインは実力の差としかいいようがない試合でした。日本2位にランクされる選手が、相手がOPBFチャンピオンといっても1RであっさりKO負けしたことからもこのクラスの人材不足を、改めて認識した試合でした。パキャアオ(日本ではパキャオと表記されているが、フィリピンのマネージャーはパキャアオと言っていたので、そう書くことにした)ですが、1度ビデオは見ていたのですが、プレッシャーのかけ方が非常に巧いと感じました。世界タイトル挑戦を目論んでいるようですが、ボニージャが相手ならチャンスがあるように思います。敗れた寺尾ですが、いいところがまったくありませんでした。ダウンをしたあとのデフェンスだ中途半端でした。打ち合いに応じてしまったのが敗因だと思います。
 セミは北海道のハード・パンチャー沼田が、日本ランク入りをかけて、ベテランの小松と対戦しましたが、自慢ハード・パンチかわされ9RKO負けしてしまいました。沼田は普段北海道でトレーニングしているためか、スパーリング不足のように感じました。立ち上がりこそハード・パンチの片鱗が見られましたが、単調な攻めをベテランの小松につかれてしまい、中盤以降はまったくといっていいくらいチャンスを掴めませんでした。
 10ヶ月ぶりにリングに登場した矢代ですが、出来はイマイチでした。何となくデビュー当時のレパード・玉熊選手を彷彿させる矢代ですが、やはりパンチ力のなさが致命的な感じがします。それと、パンチのバリエーションもないので、星野とか安部のようにずるいボクシングの出来る選手と対戦すると、手玉に取られてしまいそうです。相手を圧倒しながら、ダウン一つ奪えない試合を見せられると、今後に不安を感じてしまいました。

1998年5月13日:大阪府立体育会館

 2月に見ることに出来なかった本田を見るために、再び大阪に行きました。試合は1Rに左ストレートでダウンを奪ったのをはじめ、左右のロングフックとアッパーを中心にして久留島を圧倒、3人のジャッジの採点が8〜9ポイント差をつける圧勝でした。昨年11月の村松戦も見ていますが、今回のほうがはるかに出来は良かったように思います。本田の良いところは、ロング・レンジのパンチを的確にヒット出来るところで、相手にとってはどこからパンチがくるかわからないだけに、かなり厄介な感じがします。それと、ロング・レンジでパンチを打ってもバランスが崩れないのが特徴的でした。ただ、パンチを打つ時、ガードが下がってしまうのと、ディフェンスに回ると足が揃ってしまうのが気になりました。今回の久留島のように、ある程度スピードで上回っていれば問題ないと思いますが、スピードと切れで勝負してくるような選手と対戦した場合、かなり苦戦するように思います。いずれにしても、日本のこのクラスでは敵なしのように思います。できれば、OPBFタイトル挑戦あるいは世界ランカーと対戦して欲しいと思います。ジョーさんは嫌がっているのですが、ガンボアあたりと対戦したら結構面白い試合になるような気がするのですが・・・
 次に、2月に伊藤辰史と引き分けて辛うじてタイトルを守った大東ですが、今回も新鋭の坂口相手に、しょぼい試合をしてしまいました。立ち上がりから坂口が、挑戦者らしくないディフェンシブな試合をしたこともありますが、両者のボクシングが全く噛み合わないまま、いたずらにラウンドが消化されていきました。大東も左右のフックを振り回すだけのベテランらしからぬ戦い方をしてしまいました。最終ラウンドには、レフェリーがブレイクを掛けた後パンチを坂口に見舞って減点されるなど、いらいらしていたのもわかりますが、もう少し相手を見下して戦っても良かったように思いました。私の採点では1ポイント坂口のリードでしたが、両者に決め手がなく、ジャッジ泣かせの試合でした。坂口にはもう少し挑戦者らしさが欲しかった試合でした。
 メインはプログラムやチケットに大きく世界ジュニア・バンタム級タイトルマッチ小さく前哨第1戦と詐欺みたいな表記がされていた試合に山口が登場、フィリピンのノーランカーを左フック一発で沈める怪勝でした。ただ、悪い癖は相変わらずで、不用意にパンチを貰うのだけは直すべきですね。この試合は、何の意味も感じさせない試合でした。再度世界チャンピオンになるためには、もっと骨のある選手との対戦をして欲しいと思いました。

1998年5月11日:後楽園ホール

 史上最強の証券マン真部の初防衛戦ですが、内容は今の兜町と同じでした。初防衛ということで多少固さがあるのは仕方ないですが、全体的に切れ味が感じられませんでした。それでも、8,9RにはKOチャンスを迎えましたが、結局あと一発決められず、判定まで行ってしまいました。古家のフックを警戒して、慎重になりすぎだと思いますが、それにしてもこれから先が思いやられる試合でした。特に、パンチの切れが戻らないと今後の防衛は難しいように思います。年齢も年齢だけに一戦、一戦大事に戦って欲しいですね。
 一方の古家ですが、不調だったとはいえ真部を最後まで苦しめました。しかし、いたずらにフックを振り回すだけでは、真部の思うつぼでした。もう少しパンチにバリエーションが欲しかったように思います。
 セミは日本ランカー同士の一戦でしたが、両者とも決め手がなく、重苦しい試合でした。勝った福永ですが、パンチが単発なのと、守りに回ると守勢一方になるところを直さないないと、上位進出は苦しい感じがしました。一方敗れた中根ですが、チャンスでたたみかけるような攻撃が欲しいと思います。お互いに自分のペースで試合ができずなかなかリズムが掴めなかったようですが、ただ、打ち合うだけではなく、相手のリズムを崩す工夫を見せて欲しかった試合でした。
 8回戦に登場した昨年フェザー級新人王松信ですが、初めての外国人相手の試合に快勝しましたが、勢いまかせの攻めが気になりました。自分のペースを掴んだ場合はいいですが、裏を返せば強引な攻めになって墓穴を掘ることも有り得るだけに、用心することも覚えて欲しいと思います。

1998年5月9日:後楽園ホール

 メインは接戦であったが、勝負を分けたのは中村とマーカの相性のように感じた一戦だった。昨年4月に一度対戦して完敗していた中村だが、今回は相手の手の内がわかっているだけに、どうマーカを攻略するかに注目して見ていた。それと、いわゆるサラス効果にも注目していた。結論から言うとあまり器用ではない中村が、サラスのボクシングを消化できていなかった。特に立ち上がり、マーカのスピードに対する対策ができていなかった。ただ、今回違ったのは、3Rあたりから中村が、マーカのボディを攻めたところから流れが変わりはじめた。中盤は完全に中村がペースを掴んでいたが、ガードが甘く、マーカの捨て身に近いパンチを浴びていたのが印象を悪くしてしまった。それと、終盤KOを狙って折角効果を上げたボディ・ブローをあまり使わなくなったのがマーカに逃げられてしまった結果になったと思う。マーカがボディ・ブローをかなり嫌がっていただけに、攻めつづけたら違った結果になったのではないか。セコンドの指示が不徹底だったように感じました。
 セミに登場した坂本は、またもフィリピン選手に1RKO勝ち。こちらは以前に比べてバランスが良くなったように感じます。あとは右がフックではなく、ストレートになればナザロフであれジョンストンであれ十分チャンスがあるように思います。あともう一つ加えるとすれば、すべてのパンチを当てようとせずに捨てパンチを打てるかどうかが鍵になるように思います。
 その他の試合に目を移すと、バンタム級のランカー同士の6回戦は、ハード・パンチャーの渡辺が、昨年のジュニア・フェザー級新人王の黒田を1RKOで下しました。今回は連打するうちに上体が立ってしまう欠点は出ませんでしたが、もう少し柔軟な攻めが欲しいと感じました。