1998年11月24日:後楽園ホール

 32歳のチャンピオンに30歳の挑戦者ということで、新鮮味を感じないタイトルマッチであったが、案外見応えのある面白い試合が展開されました。
 まず、勝った挑戦者の大谷だが、今までの試合を見ると淡白な戦い方をしていたので、序盤のKO出来なければ中盤以降失速して西澤が判定勝ちをするように思っていたのですが、最後まで冷静にかつポイントを抑えたクレバーなボクシングをしたのには正直言って驚きました。大谷の評価を少し変えなければいけない感じがしました。ただしいてあげれば、動くことに主眼を置きすぎているために、大谷の良さである踏み込みの良い攻めが出来ていなかったことが不満と言えば不満だが、そこは今後の課題として次の試合に期待したい。
 一方、4度目の防衛に失敗した西澤ですが、8月のパーマー戦ですべてを燃焼してしまったのか、試合に燃えている感じを受けませんでした。負けてるをセコンドからハッパを掛けられた9、10Rこそ西澤らしさが見られたものの、序盤から中盤にかけては何の仕掛もないまま大谷ペースで試合をしていたように思います。年齢的なものからパーマー戦の敗戦で気力が切れてしまったのかもしれませんが、いずれにしても西澤らしさというものが出なかった試合のように思います。今後どうするかはわかりませんが、今回の試合を見る限りでは限界かなと感じました。
 さて、セミでは西澤の後釜を狙う保住がインドネシア・チャンピオンと対戦。公式のジャッジのスコアは圧勝でしたが、内容的には負けと言われても仕方ない感じがしました。特に再起後、引き分けに終わった青山戦でもそうでしたが、相手から体を寄せられると手数がなくなってしまい、攻め手がなくなっている感じがしました。ジャブを使えば無理に接近戦をしなくても済むように感じたのですが、いいボディブローは打っていたものの、やや右のパンチにこだわりすぎているのが気になりました。西澤が負けたことによって、新チャンピオンの大谷にチャンピオン・カーニバルで挑戦することになるでしょうが、大谷vs保住なら保住の圧勝と思っていましたが、今回のお互いの試合内容では、大谷が勝って防衛する可能性もある感じがしました。敗れたトリリですが、5年前に来日して当時のOPBFチャンピオン竹原に挑戦して、6RTKO負けしてる選手には思えませんでした。特に体の寄せ方、接近戦でのガードの巧さは、だてにインドネシア・チャンピオンになっていないという感じがしました。こういう選手が沢山来日すると、非常にレベルの高い試合が見られるように思います。
 もう一つの10回戦は、スーパー・ウエルター級1位にランクされる金山が、インドネシアの1位と対戦しましたが、こちらはインドネシア人を人間サウンドバック状態にして3RTKO勝ちを収めました。ただ、金山は今回も含めて攻撃型の選手と対戦していないだけに、大東と対戦した場合、試合場所にもよりますが、勝負については?がつく感じがしました。

1998年11月17日:後楽園ホール

 二人のWEBマスターの登場した興行ですが、二人とも揃ってKO負け。観戦記を書く方も辛い興行となってしまいました。
 まず、5回戦に登場したモアイ・小西選手ですが、3月の試合で無念のKO負けをしているだけに、心中期するものはあったと思いますが、それが逆に硬さにつながったような試合でした。小西選手の前に出ようとする気持ちはわかりますが、6回戦クラスの選手になれば前への出方を工夫しないといけないと思います。特に相手は右のストレートを得意とするだけに、右回りをしながらフェイントを使うなどしないとカウンターを浴びて、思うような戦いができないように思います。それと、どんな時でもリードブローを忘れては、ボクシングの組み立てができないように思います。いきなり左ストレートや右フックを使うのも結構ですが、リードブローからの攻めがあって初めて、ストレートにしてもフックにしても生きるわけで、この2試合だけ見ると結果の出ない焦りがあるのかもしれませんがリードブローを使えていないのが気になりました。また、同時に上体に力が入りすぎているため、下半身とのバランスが崩れているのも気になりました。ひとつには強いパンチを打とうとするためにスタンスが広くなりすぎていることもありますが、バランスが悪いため相手に攻撃の隙をつかれて反撃されていました。素人目にもバランスの差は歴然としていました。それともう一つ言わせて貰えば、パンチを打ったあとガードが下がってしまう癖も直さないと(特に左が下がる)オーソドックススタイルの選手と戦った時(特に右ストレートを打てる選手とやった場合)には、かなり苦戦するように思います。負けた時には悪いところが目立つものですが、正直言ってあまりにも悪すぎたように思います。小西選手のボクシングを見てるとリズム、バランスという要素が忘れられているように思います。ちょっと厳しい意見かもしれませんが、次を期待したいので敢えて書くことにしました。
 もう一人のWEBマスター本間選手ですが、自分を忘れて相手に合わせてしまったのKO負けの原因のように思います。特に1R後半、ボディブローで相手がかなり効いていたにもかかわらず、相手に合わせて上ばっかり狙ってパンチを打ったため顎が上がってしまって、その顎にパンチを貰ってのKO負け。もう少し冷静に相手を見極めることが必要のように思います。また攻撃面では、空手をやっていた影響もあるのかもしれませんが、パンチを打ち抜いていない感じをうけました。空手経験者に多く見られる傾向ですが、打ち抜くようなパンチを打てるようにならないと、上に上がっていけないように思います。デビュー2戦目ですし、悪いところがあって当たり前なわけで、今回の敗戦を反省して欲しいと思います。決して、自分のベストウェイトではなかったとか、最初は断ったのに無理矢理組まれたので仕方なく戦ったなどと言い訳しないように。プロである以上、試合契約書にサインをしたらすべて自分の責任ですよ。

998年11月16日:後楽園ホール

 メインのリックvs木村戦は、日本タイトルマッチとしては、今年1、2を争う低次元の試合でした。木村が実力的に、まともにいって勝てないと思ってかき回し戦術を考えるのはわかるが、かき回しとラフ・ファイトは全然違うものだ。リックも試合後のインタビューで、今日はボクシングではなかったと言っていましたが、確かにボクシングとかけ離れた試合であった。ただ、こういう試合になったのは、木村ばかりを責めても仕方ないことで、リックにも原因はあったし、レフェリーがもっときっちり早目に両方から減点を取るなどすればもっと違った展開になったように思います。いずれにしても、実力差はどうしようもなかった試合でした。木村がもう少し持ち味を出すかなと期待していましたが、リックの前では何もできなかったというような試合でした。勝ったリックですが、珍しくエキサイトしていた感じがしました。ただ、皆が皆こういう試合を仕掛けてくるだけに、心中穏やかならぬところは察しがつきますが、もう少し足を地につけたボクシングをして欲しかったように思います。正直言って今回の試合では、坂本と対戦したらという想定ができない内容でした。
 セミファイナルは、協栄ジム期待の佐藤が日本ランク入りを賭けて東條と対戦した10回戦でしたが、お互いに決め手のないまま迎えた7R、佐藤がアッパーからチャンスを掴んで最後は連打でレフェリー・ストップ勝ちを収めました。ただ、勝った佐藤ですが、アッパーがカウンターになって勝負を決めましたが、それまでのプロセスが悪すぎたと思います。特にこれから上位の選手や、チャンピオン・クラスと戦うには、もう少し自分から攻めてチャンスを作っていくようにしないと、パンチのない選手だけに今後厳しい戦いが続くように思います。一方、敗れた東條ですが、ベテラン選手にしてはピンチの凌ぎ方が下手すぎるように思います。7Rも無理に反撃せずにクリンチを続ければ、レフェリー・ストップの憂き目を見ずに済んだと思います。
 2試合行われた8回戦では、9月に元日本チャンピオンの新井泰に勝って新鋭賞を受賞した平丸が登場、沖ジムの鹿島と互角の打ち合いの末、7Rに両者がバッティングによる負傷で試合続行不可能となる珍事で試合終了。6Rまでの採点の結果、三者三様の引き分けとなりました。平丸はKO勝ちを意識しすぎていた感じがしました。もう一つの8回戦は、ライト・フライ級のトップランカー村松がノーランカーの山道と対戦、6Rのバッティングがダウンと判定されたことが決め手になって村松が辛勝しました。前半こそ村松が巧く攻めていましたが、中盤以降は山道の一方的ペース。村松はピンチに陥ってからの脱出方法がまったく出来ていませんでした。10回戦だ
ったら完全に逆転されていた試合だったと思います。いずれにしても、チャンピオン・カーニバルで日本チャンピオンの本田に挑戦することになりそうですが、同じ轍を踏みそうな感じを受けました。
 4回戦には、10月デビューしたばかりの元世界チャンピオン、ヘルマン・トーレスの息子である大関一郎が登場しました。パワー不足の感は否めませんが、アッパーの使い方などは、父親であるヘルマンを彷彿させるものはありました。今後の課題は上体の使い方と手打ち気味であるパンチの打ち方のように思います。

1998年11月11日:後楽園ホール

 行くかどうしようか迷っていた興行ですが、結局行ってしまいました。
 さて、メインの岡本vs申戦からですが、相手が韓国チャンピオンということで、もう少し緊張感のある試合になるかと思ったのですが、岡本の一方的な内容の試合でした。とういうものの、岡本には年齢が年齢だけに、少ないチャンスを生かすという気迫を見せて欲しかったのですが、淡々とラウンドを消化して試合を進めるだけという感じがしました。元々、パンチに自信があってカウンター狙いのため手数の少ない選手ですが、これから日本チャンピオンやそれ以上を狙うならば、少なくと相手が格上の選手なのですから、自分でチャンスを切り開いて勝っていくボクシングを見せて欲しかったように思います。今回の試合も、前半にもっとボディから上への打ち分けをしていれば8Rまで試合をやらずに済んだように思います。それと、ボクシングが慎重すぎるところも気になります。上にいけばいくほど、チャンスは少ないでしょうし、チャンスの後にピンチを迎えることが多くなります。チャンスを一気に生かすボクシングをして欲しいと思います。
 一方敗れた申ですが、時折見せるカウンターの威力は、さすが韓国チャンピオンと思わせる片鱗を感じましたが、正直言ってこの程度の選手がチャンピオンだとすれば、韓国のボクシング界のレベル低下が、我々が思っている以上に深刻な状況のように感じました。国内チャンピオンが8戦6勝という戦績には驚きます。試合枯れという話は聞いていますが、このレベルで国内チャンピオンという看板ならば、いつ世界ランキングから韓国選手が消えてもおかしくないという深刻さを感じました。
 セミファイナルの8回戦は、フライ級にしては重い感じの試合でした。勝った渡辺、敗れた加藤ともに、一発パンチを狙いすぎの感じがしました。軽量級だけに、パンチに自信があっても、連打をしてチャンスをつかまないとランキング入りして戦っていくには苦しい感じがしました。
 6回戦、4回戦はこれといった選手がいませんでした。来年の新人王に向けてのトライアル・バウトが始まる時期ですが、デビュー戦という選手たちに、ディフェンス面での基本ができていないのが気がかりです。

1998年11月9日:後楽園ホール

 どちらにしても不完全燃焼の試合だったと言えますが、もしバッティングがなければ好ファイトになったかというとそんなことはないと思うほど、実力差ははっきりしていた試合でした。試合は1Rから今岡の左ジャブ、右ストレートが適確にヒットして決着が早そうな感じがしたのですが・・・。3Rに入るとますますそんな感じがした時、五月女の頭が、今岡の顔面を強打。今岡に左目辺りから鮮血が流れ出す。浅尾レフェリーは、すぐドクターにチェックを要請、診断の結果、続行となりましたが、今岡はさかんに目が見えないとアピール。再開後も目を気にしている様子でした。これで勢いついたのは五月女。チャンスとばかりに攻めるものの、焦りばかりが目立ってクリーンヒットを奪えず、挙げ句に今岡の苦し紛れの右ストレートを浴びてダウン。何とかゴングで救われたものの、これで勝負ありかと思いました。ところが、4Rに入ると今岡の悪い癖が出はじめて、クリンチが多くなり、もみ合いが目立つ展開に。そして5Rになると、バッティングの連続で今岡の傷が深くなる。今岡は完全に弱気になって後退する一方に。五月女がかさにかかって攻めるものの、適確にパンチを決められずこのラウンド終了とともにドクター・チェックが入り、その結果試合続行不可能と診断されて試合終了となりました。OPBFルールにより、5R終了時点での採点によって勝敗を決することになりましたが、結果を聞くまでもなく今岡の手が上がりました。
 正直言って3Rまでの今岡は、非常に良かったと思います。格下の相手ではありますが、自分のスタイルを活かしたボクシングをしていましたし、パンチの切れも良かったように思います。一方の五月女ですが、やはりOPBFに挑戦するには少し実力不足だったように思います。今岡相手でも、ワンテンポ遅れ気味に出てくる右が有効ではないかと期待していたのですが、ことごとくかわされていました。たら・ればであまり言いたくはないですが、バッティングがなければ、中盤で今岡が決着をつけていたと思う試合でした。
 セミファイナルは、軽量級の上位ランカー同士の一戦でしたが、九州からやってきた菅にやや気の毒かなと思える内容の試合でした。いつも出るフレーズですが、両者に決め手がなかった試合ではありました。とはいっても試合を終始コントロールしていたのは菅の方で、田中のパンチを巧くガードして攻めていました。しいて挙げれば、フックに頼りすぎている感じがしたので、接近戦でのアッパーや、右ストレートを使って相手の懐に飛び込む工夫をして欲しかったように思います。勝った田中ですが、正直言ってライト・フライ級でもウエイトがきついように思います。8月にフライ級ウエイトで戦った時のような切れがありませんでした。もっともその時と対戦相手の実力は違いますが、フライ級まで上げた方が本人のためにはいいように思います。
 8回戦の2試合ですが、ライト級の試合に出場した川島ですが、小さく固まりすぎて折角の懐の深さ、リーチを生かしたボクシングが出来ていないのが気になりました。もう少し大きく構えた方が、相手にとっては威圧感を感じてやりにくいように思います。また、もう一つの8回戦に出場した長野ですが、ボクシングに自信を失っている感じがしました。8回戦ともなれば、4回戦時代の時のようになかなかKOはできませんが、一発に頼るのではなく、連打を覚えるようにすればいいように思います。

1998年11月8日:後楽園ホール

 改めて新人王戦の予想の難しさを思い知らされた試合の連続でした。11階級それぞれの感想を懺悔を含めて書きます。

☆ライト・フライ級
 いきなり予想が外れた試合でした。正直言って準決勝までの両選手の戦い方を見ればこの結果は予想できないと思います。家住はオーバーワークだったのか、今までのような切れがなく、大和田のパンチをまともに浴びていました。大和田は最近こそ判定試合が続いているものの、必ずといっていいほどダウンを奪って勝ち上がってきているだけに、かなり効果的なパンチを決めていました。家住も2Rには大和田をKO寸前までに追い込んだものの相手のしぶとさに根負けした感じもしました。いずれにしても後半は大和田の一方的ペースでした。ある意味では家住の若さが裏目に出た試合だったかもしれませんね。ただ、負けたといっても決して弱くて負けたという試合ではなかったと思います。いい経験をしたと思って、次は頑張って欲しいと思います。勝った大和田ですが、どの試合でも気を抜くのかもしれませんが、必ずといっていいほど打たれてピンチになるところがあるのが気になる点です。そこさえ気をつければパンチもあるので全日本でも勝てるように思います。

☆フライ級
 7勝中6勝がKO勝ちの内藤の勢いが勝った試合でした。とはいっても、佐藤の懐の深さに戸惑っていた感じがしました。ブンブン丸でフックを振り回すのも結構ですが、パンチにメリハリをつけること、ステップイン・ステップアウトによる揺さ振りを覚えればかなり強くなる感じがします。敗れた佐藤ですが、フライ級にしては長身でリーチもあるだけに距離感を掴めればこの選手も強くなるように思います。

☆スーパー・フライ級
 1Rのダウンが勝敗の趨勢を決めた試合でした。負けた野田は6勝すべてがKO勝ちのハード・パンチャーですが、1Rにダウンを奪われたことによって踏み込みができなくなってしまい最後の最後までペースを掴めないうちに終わってしまいました。勝った佐々木ですが、1Rにダウンを奪った後の攻めがまずかったように思います。今後上位の選手に勝っていこうとするならば、チャンスでは確実に倒し切る詰めを覚える必要があると思います。

☆バンタム級
 この試合も予想が外れた試合でした。この試合も勝敗を大きく左右したのが1R。もしあと10秒時間があれば多分池田がKO勝ちしていた試合だったと思います。このピンチをゴングで救われた晝間は2R以降巧みに足を使ってペースを掴みました。池田も前に出るものの晝間のスピードについていけない感じで、得意の左右フックが最後までヒットせず、結局引き分けながら優勢点で晝間が勝者扱いとなりました。池田がボディを攻めて、晝間の足を止められれば勝敗が逆になったように思います。1Rのいいパンチが入ったため上ばかり狙ったことが失敗だったように思います。

☆スーパー・バンタム級
 この試合は判定決着だと思っていたのですが、意外にもKO決着となった試合でした。勝った草野ですが、サウスポーの利点を生かした巧いボクシングをする選手というイメージのあった選手ですが、打ち合いにも強いところがありました。真っ直ぐ下がる欠点が直れば日本チャンピオンクラスの選手になる感じがします。敗れた宮本ですがKOを狙いすぎてボクシングが荒かったですね。1Rが良かっただけに攻める気持ちが出過ぎたのかもしれませんが、相手のダメージを冷静に見極めることが必要だと感じました。一発KOでなく連打で倒すコツを掴めば強くなる選手だと思います。

☆フェザー級
 永田の勢いに、北島は何もできないうちに終わったという感じの試合でした。北島が若いだけに調子に乗る前に叩こうとした永田の作戦勝ちといえる試合だったと思います。

☆スーパー・フェザー級
 どっちもパンチがあるだけに早いもの勝ちといった試合が予想された試合でした。お互いに相手のパンチを警戒してもみ合いの多い試合となりましたが、4R大串の連打が炸裂して大澤がダウン、これで勝負ありかと思えましたが、大澤も頑張ってこのラウンドは持ちこたえました。そして5R、逆転を狙って大澤が積極的に前に出て攻めましたが正確性に欠けて大串を追い込めず、のこり30秒となったあたりで大串の右がカウンターになってヒット、大澤は前のめりにダウンして試合終了となりました。この試合で大串がMVPとなりましたが、あえて苦言を呈したいのは4R、ダウンを奪ったあと一気に攻めきって欲しいと思いました。これから上を目指すのであれば、チャンスは逃さないボクシングを覚える必要があると思います。

☆ライト級
 ボクシング以外で有名になっている感のある大嶋に対し、橋浦がどんなボクシングをするのか注目していたのですが、立ち上がりから大嶋の陰に脅えた感じで逃げの一手のボクシング。大嶋も途中イライラしていたようですが、必死に橋浦を追って攻めていました。結局、見所のないまま試合終了。アグレッシブ・ポイントで大嶋の手が上がりましたが、大嶋にしてももっと相手を見て攻めを組み立てないと今後勝ち続けるのは難しいと思います。一方の橋浦ですが、もう少し勇気をもって攻めて欲しかったと思います。あまりにも倒されないことを考えすぎだったと思います。

☆スーパー・ライト級
 この試合は、単に勢い込んでいったやつの勢い勝ちといった試合でした。特にどうこう言う試合ではなかったと思います。勝った佐々木ですが、いつまでも今のボクシング通用すると思わないほうがいいと思います。

☆ウエルター級
 新人王の中ではもっとも低レベルの試合でした。お互いに技術面、スタミナ面ともに鍛え直す必要がありますね。とにかく、ただパンチを振るだけがボクシングではないです。勝った安田も負けた甲崎も、プロボクサーとしての基本からやり直す必要があると感じました。

☆ミドル級
 これが3度目(過去1勝1敗)の対戦という対決だけに、お互いに手の内を知り尽くしていることが、逆にお互いのやりにくさが前面に出てしまったような試合でした。特に敗れた佐藤の方が自分本来のボクシング・スタイルを忘れて戦っていたように思います。相手の懐が深いために距離感が悪かったように思います。一方勝った鈴木で
すが、サウスポーが苦手な感じがしました。左のジャブを起点に攻撃をする選手が、サウスポーが相手となると、そのジャブを忘れている感じがしました。ジャブの使い方を覚えれば、体もあるし、リーチもありますし、層の薄いクラスだけに面白い存在になると思います。

最後に、12月19日に全日本の決勝がありますが、今回の東の代表は、誰も傑出した実力の持ち主ではないだけに、西の代表の実力はわかりませんが、かなり接戦になるように思います。

1998年11月7日:後楽園ホール

 インドネシア、フィリピンの国内チャンピオンを連破し、日本ランキングでは4位ながら、OPBFランキングでは1位にランクされている福島がメインで登場した興行の観戦記です。
 まず、メインの福島ですが、フィリピンのノーランカー相手に6RTKO勝ちを収めたもののダウンは奪えず、やや消化不良気味の試合に終わりました。特に、攻めが中途半端という感じが強くしました。相手にパンチがないだけに、もう少し思い切った攻めをしても良かったように思います。それと全体に切れを感じなかったのが気になりました。来年にはタイトル挑戦を目論んでるようですが、決め手がないとタイトル奪取は難しいように思います。
 セミファイナルはランキング・ボクサー同士の一戦でしたが、実力差は歴然としていました。しかし、勝った萩原ですが、突進してくる相手に真っ直ぐ下がったり、ダウンを奪ったあとの詰めが悪かったことなど決して良い内
容の試合だったといえないと思います。特に気になったのは、真っ直ぐ下がること。長嶋健吾に勝った頃の萩原は、もっとサイドに動いて攻めていたように思うのですが、相手のプレッシャーに、たじたじといった感じがしました。もう一度、日本タイトルに挑戦したいようですが、今回の内容ではどうかなって感じがします。一方、敗れた森山ですが、打たれ脆すぎます。攻める時にも体を振るようにしないと、今回のようにカウンターの餌食になってしまいま。
 もう一つの10回戦は、モンゴルからの輸入ボクサー、バトナサンが、3度の日本タイトル挑戦を経験している永瀬と対戦。バトナサンの有効打を取るか、永瀬の手数を取るかで見方が割れるでしょうが、どちらにも決め手のなかった試合でした。バトンサンがタイトルを取るためには、攻めと守りが分断されてしまうところが課題となるように思います。特に、守りから攻めへの切り替えが遅いように感じます。大東にしても加山にしても攻撃型の選手だけに、バトナサンにとってはやりにくい相手のように思います。一方永瀬ですが、ややスピード不足かなと感じます。もう少し出入りを使って相手を幻惑するなど、ボクシングに工夫をしなければ、このままで終わってしまう感じがします。