1998年10月31日:清水市営体育館

 7月名護に善戦した村越とミニ・フライ級の新鋭、飯田大介が登場した興行を清水市営体育館で観戦してきました。
 まず、メインの村越ですが、フィリピンのアル・タラソナを1RでKOをしました。名護戦では、大振りの目立った村越ですが、今回は以前に松田をKOした時のように細かく手数を出しながら攻めていました。バランスも良かったですし、今回くらいのボクシングが出来れば、日本チャンピオンも夢ではないと思います。三津山会長のお話では、松倉でも井岡でも勝てる自信があるということですが、十分倒せる感じがします。
 セミファイナルは、飯田vs國武のミニ・フライ級 新鋭同士の一戦でしたが、飯田の圧勝でした。2年前に見た時の飯田は、やや線の細い感じでしたが、たくましさも身についた感じを受けました。1、2Rではややサウスポーの國武とのタイミングが合わない感じでしたが、3R右ストレートのカウンターでダウンを奪い、4Rにも連打でダウンを奪ってKO勝ちを収めました。元々テクニックがある選手という印象はあったのですが、力強さも加わり今後が非常に楽しみな感じがしました。ただ、少し強引さがあったので、そこを冷静に見極めができるようになればもっと良くなるように思います。
 さて、その他5試合が行われましたが、8回戦の3試合からまず、九州から来た甲斐が、三津山ジム期待の柏樹に5RKO勝ちを収めました。新井久雄の2RKO負けした甲斐でしたので、日本ランカーとはいえ、2階級上の相手では通用するのかと思いましたが、スピードもあるし非常に巧い選手でした。リックが独壇場のライト級ですが、ちょっと打たれ脆いところが気になるものの、リックとやっても面白い試合になると思います。次に昨年10月カズ・有沢に善戦した新岡ですが、パンサー・柳田に善戦したことのあるジムボーイ・バイオクに5RKO勝ち。ちょっと攻め急ぎのところが気になりました。バンタム級の日本ランカー白井は、ノーランカーの中原を寄せ付けず2RKO勝ち。格の違いを感じた試合でした。4回戦の2試合ですが、2RKO勝ちと1R負傷引き分けに終わり結局、判定までいった試合は1試合もなく、7試合で僅か20Rで終わった興行でした。
 それにしても、中部のレフェリーは酷すぎます。スタンディング・ダウンを取ったり、完全なダウンをスリップと判定したり。ルールの番人が、ルールを守らないようでは、選手もいい試合ができないと思います。
 最後に三津山会長、小倉高橋ジムの高橋会長お世話になりました。大変いい話を聞けて良かったです。こ
の場を借りて御礼申し上げます。

1998年10月30日:後楽園ホール

 相手がノーランカーということで、おおよそ結果は見えていた試合ですが、渡辺のボクシングにやはり不安を感じました。特に前回試合でもそうだったのですが、相手のパンチに対する反応が全くないのが気になります。前に出るのはいいのですが、パンチを貰わないことにこしたことはないわけで、その辺りをどう考えているのかはわかりませんが、いずれにしても反応がなさすぎます。はっきり言って見えてないといっても過言ではないと思います。折角いい攻撃力を持っているのですから、それを活かすディフェンスというものの必要性を2度の世界タイトルマッチでの敗戦から考えていいように思うのですが、今のままでは、同じことの繰り返しで終わってしまうと思います。
 セミファイナルは斉田ジム期待の松田が登場しましたが、相変わらず目的の見えないボクシングで、グロッキーのフィリピン人ボクサーをいたずらに弄んでいただけでした。パンチがあるだけに、それに頼るのはわかりますが、全体的にボクシングに流れを感じるようにならないと相手のペースに巻き込まれて何もできないうちに終わってしまうように思います。
 4回戦はあまり見所のない試合の連続でした。

1998年10月27日:後楽園ホール

 柳光の善戦は評価したいと思いますが、OPBFタイトルマッチとしては決してレベルの高い試合ではなかったと思います。マンゴローは日本で町田、村越といった選手に勝っていることもあり、柳光の勝ち目は薄いと見てました。特に、町田との試合で見せたタイミングの良いパンチに光るものを感じていたのですが、今回の試合では調整に失敗したのか精彩がありませんでした。それでも、11Rに奪ったダウンはラッキーな感じもしましたが、最後2Rに見せた追い上げは見事でした。フィリピンの選手にしては全体的に固いのが気になりましたが、その分パン
チがあるように感じました。それと相手にもよるのでしょうが、もう少し手数が欲しい感じがしました。
 一方、惜しくもタイトルを奪えなかった柳光ですが、正直言ってポイント計算を間違ったように思います。確かに中盤は動きの鈍いマンゴローを適確に捕らえていましたが、柳光陣営が考えていたほどポイントを取っていなかったように見えました。私の採点では10Rまでがイーブン。11、12Rで奪われた3ポイントがそのまま差となってマンゴローの勝ちとなりましたが、11Rのダウンはしょうがないとしても、ポイントを読み違えて最終ラウンド逃げたのが痛かったと思います。フライ級時代はスタミナ不足の感が否めなかった柳光ですが、1階級上げて減量が楽になったのでしょうが、スタミナが最後まで切れませんでした。ただ、攻めがワンツーのみで、リズムがワンパターンのため、相手に合わされやすい感じを受けました。また、柳光の最大の欠点だと思いますが、腕の引きが遅いのと特にリードの右に見られるのですが、パンチを打ったあとのパンチが元に戻らないで、ガードが下がってしまうため、そこに左を被せられる場面が何回も見られました。とは、いうもののスピードがある選手ですから、もう少し出入りを巧く使えば、テクニックも持っている選手ですので、今後が楽しみな感じを受けました。いずれにしても、今後はスーパー・フライ級で戦った方が、柳光の良さが発揮されるように思います。
 セミファイナルはミニ・フライ級のランカー同士の一戦でしたが、お互いに決め手がなくてジャッジ泣かせの試合でした。中盤まで手数で試合をコントロールした岡が、鈴木の終盤の追い上げをかわして判定勝ちを収めました。
 8回戦では、吉田がランカーの意地を見せて判定勝ちを収めたものの、立ち上がりの悪さが気になりました。また、6回戦にはワタナベ・ジム期待の田中が登場。菅野の突進を裁ききれずに苦戦をしたものの、正確さで勝って負傷判定勝ち。前に出てくる選手に対しまっすぐ下がらずに、サイドに動くことが今後の課題のように思います。

1998年10月23日:後楽園ホール

 賞金トーナメント決勝の観戦記です。

☆B級
・フライ級
 テクニシャン対ハード・パンチャーの一戦は、テクニシャンの圧勝でした。柳の方が準決勝で拳を痛めた影響が多少あった感じがしましたが、それを除いてもも少し、体を振って接近するようにしないと、これから上で戦うにはちょっと苦しい感じがします。勝った松浦ですが、随所に連打を決めてポイントを稼ぎました。特に接近してくる相手にアッパーを決めて動きを封じる戦い方は見事でした。ただ、まっすぐ下がるところがあるのが気になりました。サイドステップを覚えるとボクシングの幅が広がってかなり上位に上がってくる感じがします。

・バンタム級
 もう少し川嶋が圧勝するかなと思っていましたが、金田の頑張りにちょっとてこずった試合でした。いつもに比べてパンチに切れがなかった感じがしましたけど、一番気になったのは、ボクシングが一本調子になるところで、パンチが当たらなくなってもペースを変えられないところが今後への不安材料のように思います。それと、スタミナにも難点がある感じですね。一方敗れた金田ですが、良く戦ったと思いますが、相手のボディを攻めていれば展開が変わった感じがしてなりません。上下の打ち分けができるようになれば、金田も日本ランキングに入って活躍できるように思います。それと、金田陣営のタオル投入のタイミングは良かったと思います。川嶋もバタつきながら攻めていたので、クリンチを使えれば逃げ切れたように思いますが、セコンドの決断は良かったと思います。

・フェザー級
 テクニシャンとハード・パンチャーの白熱した攻防戦が見られた試合でした。鈴木が5Rのチャンスを攻めきれなかったのがすべてだったように思います。小椋が少し調子に乗りすぎてガードが甘くなったところでしたが、見事なカウンターだったと思います。パンチがあるだけに、上ばかりを狙わずにボディからの打ち分けができればもっと伸びる選手だと思います。一方の小椋ですが、すこし相手の正面に居すぎる感じを受けました。打った後すぐサイドに動くとか、ダッキングするとかしないと、相手の反撃にあってしまう感じがします。スピードもあるし、手数も出る選手ですから、もっと動いて相手の嫌がるボクシングをして欲しいと思います。

・ライト級
 1度対戦して阪東が勝っているカード。阪東にとって戸田は相性がいい感じを受けました。阪東は今回、KOを狙わずスタミナ配分を考えて戦っていた感じがしました。いつもなら強引に攻めていくような場面でも、じっくり攻めようしていました。ただ、逆に言えば阪東の良さも影を潜めた感じがしました。図体や風体のわりには、気が弱いのかもしれませんが、相性のいい相手との対決だっただけに、もう少し強引さがあっても良かったように思います。一方の戸田ですが、やりにくさが全面に出過ぎていた感じがしました。少し攻めを焦りすぎていたように思います。プレッシャーをかけながらロープに詰めてから連打するようにすべきだったと思います。相手の距離で攻めようとすべきではなかったと思います。

☆A級
・フライ級
 名護と並ぶ白井・具志堅ジムのホープ柳川ですが、ベテラン秋田の術中にはまり、良いところなく敗れました。それにしても柳川に策がなさすぎました。前にでるだけの相手に、真っ直ぐ下がっては分が悪くなるのは当たり前のこと。サイドステップを使ったり、ジャブを使いながら相手の前進を止めるなどできなければ勝てるわけがないです。前に出てくる選手にはこれからも苦戦しそうな感じがしました。一方の秋田ですが、勝因は常に前に出たことでしょう。ただ、もう少しパンチにメリハリをつければ、もっと楽勝できた試合だった思います。

・バンタム級
 この試合の勝者が、12月29日に日本タイトルの王座決定戦への出場が決まっている注目の試合でしたが、パンチ力の差が勝負を決めた試合でした。勝った渡辺ですが、内田の抵抗もあってなかなかとどめをさせませんでしたが、随所にハード・パンチャーの片鱗を感じました。特に2Rにダウンを奪ったノーモーションで放った左のショート・ストレートは見事でした。ただ、以前に比べて一発で倒そうとする感じになっているのが気になりました。それと、相変わらず打った後に足が揃う悪い癖が直ってませんね。次の西岡はパンチがあるだけに、打った後にも気をつけて欲しいと思います。敗れた内田ですが、2Rまでに3度のダウンを奪われながらも良く頑張ったと思います。惜しむなくは、もう少し体を振って接近すれば、相手のパンチを食わなくて済んだように思います。それと、距離の取り方もやや中途半端でした。いずれにしてもランキングの差が、そのまま試合に出た感じがしました。

・フェザー級
 両選手とも連打が持ち味だけに、激しい打ち合いが予想されましたが、予想通り激しい打ち合いの試合でした。個人的には有効打の差で三船が勝ったと思いましたが、相も変わらず日本の審判は、前に出る選手に甘い採点をすることが証明された試合だったように思います。ただ、三船のパンチもここ数試合、常に感じていることですが、何かもうひとつしっかり当たっていない印象を受けます。何が原因かわかりませんが、ジャッジに与える印象もよくないように思います。手数も出ますし、切れもあるだけに、何となくもったいない感じがしました。あとはディフェンスがもう少し良くなれば、ターゲットにしている真部とも互角以上に戦えると思います。一方勝者扱いとなった阿部ですが、前に出るだけでは今後は厳しい感じがします。スタミナもあるし、タフな選手ではありますが、打たせないボクシングをして欲しいと思います。

・ライト級
 この試合はあっさり決着するように思ったのですが、両者とも決め手に欠いた感じの試合でした。試合は立ち上がりから本田が、スピードと手数で試合のペースを掴みましたが、時折、森岡も重いパンチで反撃。本田もなかなかダウンを奪えませんでした。そして最終ラウンド。KOを狙って攻める本田に、森岡のカウンターがヒット。本田がダウンを奪われ、形勢が逆転。ところが森岡も疲労のためか、一気に攻め落とせず試合終了。前半の貯金がものをいって2−0の判定で本田の勝ちとなりました。勝った本田ですが、KOしたい気持ちもわかりますが、冷静に勝ちにいくボクシングをすべきだと思います。今回は逃げることができましたが、詰めの巧い選手ならば、8Rに逆転KOされていたように思います。一方敗れた森岡ですが、最後はダウンを奪いましたが、もっと前半ボディを攻めて、相手のスタミナを奪っておけば、結果論ですが良かったように思います。相手に合わせて上ばかり狙いすぎていたように思います。攻め方ひとつで、勝敗は逆になっていたように思える試合でした。

1998年10月19日:後楽園ホール

 中村、川益と日本の選手が連敗しているマーカに対して、仲里が連敗ストッパーになるかと期待していたのですが、さすがチャンピオンは、一筋縄では勝てないですね。このところほとんどの試合を1RKOで勝っている仲里のパンチがことごとくかわされていました。とはいうものの、4Rにはボディ・ブローを決めてマーカを苦しめたそうで、マーカ陣営も仲里のパンチを誉めていました。ただ、やはりボクシングが正直というか、フェイントを使うとか右から攻めるとか、もっとずるさが欲しかったように思います。一方のマーカですが、相手が打ち気に逸れば、スエーバックやバックステップを巧みに使ってかわし、相手がバランス崩したところで、パンチを決めるテクニックは素晴らしいですね。前日本フライ級チャンピオンのスズキ・カバトにも共通していますが、日本人選手がなかなかまねのできないテクニックですね。それと、相手が攻めないと見るといきなり右を振って相手に脅しをかけて攻めさせないあたりはさすがだと唸らせるものがありました。過去日本で行われたマーカの3試合を含めて今回の試合が一番出来が良かったと思います。マーカは経験もありますし、今の日本人選手はなかなか勝てないと思います。来年1月に大和心選手(帝拳)と対戦することがほぼ決まっているそうですが、サウスポーということとスタミナ面を除けば、マーカに勝てる要素はないように思います。
 セミファイナルのパーマーvs玉置戦ですが、この試合はあっさり決まると思っていたのですが、玉置の頑張りを誉めたいと思います。特に3Rにはダウンを奪って、あわや今年一番の番狂わせかと思わせるシーンがありました。パーマーが調子に乗って気を抜いたところでしたけど、玉置のパンチ力を見せてくれた場面でした。とはいっても見せ場これだけで、あとはパーマが試合をほぼコントロールしていました。パーマーも中盤、倒せるチャンスがあっただけに、ダウンすら奪えなかったことが、非常に不満を感じました。12月に防衛戦を行ったあと、世界タイトル挑戦を目論んでいるようですが、今回のような試合しかできないようでは、可能性はほとんどないと思います。
 8回戦には、インターネット上の人気選手細谷厚志選手が登場しましたが、内田選手の気迫に負けた感じの一戦でした。細谷選手はいい左を持っている(これに頼りすぎるきらいはあるが・・・)だけに、右の使い方ひとつでもっともっと上にいけるように思うのですが、右が一本調子のため、相手にペースを取られやすいところを直して欲しいと思います。一方の内田ですが、相手の弱点を巧く生かした攻撃が目立ちました。ただ、惜しむなくはもう少しパンチにメリハリがあれば、KOできたように思います

1998年10月13日:後楽園ホール

 まもなく37歳の横田が、現役日本ランカーに分のいい引き分け試合をしました。正直なところ年齢的なもの、3年のブランクということを考えれば、いくら横田といえども、9位とはいえ現役の日本ランカーには勝てないと思っていました。ところが蓋をあけてみると、横田が巧いボクシングで木内を圧倒。特に4,5Rには木内をダウン寸前に追い込むなど、ブランクなど感じさせない内容でした。しかし、6R頃から、さすがの横田もスタミナ切れ状況に。とはいっても、木内に簡単にはポイントを与えませんでした。結局、試合は判定までもつれ込みました。私の採点は、97−93の4点差で横田(どう見ても2点差で横田)でしたが、公式のジャッジは意外にも三者三様の引き分けとなりました。特に98−97で木内と採点した金谷ジャッジは、試合の半分は寝ていたとしか思えません。いずれにしても、横田にとっては気の毒、木内にとってはラッキーなジャッジメントの試合でした。この試合だけの復帰と思われていた横田ですが、今後も現役選手としてリングに上がりたいとの意向を表明。処遇は、JBCとボクシング協会に一任することを明らかにしました。
 1試合だけどうこういうのも何ですが、スタミナの面を除けば、力的には日本ランキングの上位で十分やっていけると思います。JBCが特例を認めるかどうかはわかりませんが、あと2,3戦やらしてみたいように思いました。 一方、ランク落ちの危機を引き分けで救われた形の木内ですが、いつもの試合では見られなかった強い右ストレートが良かったと思います。ただ、相変わらず上体が立って顎が上がる癖と、後ろ足に体重が乗りすぎているため、上下の打ち分けができないことが気になりました。横田に3年のブランクがあることを考えれば、もっとボディを打って相手のスタミナを奪う作戦で行くべきだったように思います。それと、いつも思うのですが、木内は格好のつけすぎです。相手に合わせて勝とうとしないで、もっと自分からボクシングを組み立てるようにしないと、日本タイトル挑戦などおぼつかないと思います。今回も横田が、手を休めている時に攻めてプレッシャーをかけていれば楽勝できた試合だと思います。
 6回戦の3試合はどれも「帯に短し、襷に長し」といった試合で、あまり見所がありませんでした。その中で、最初に登場した石井がちょっと雑なところはあるものの、強いパンチを持っている感じがしました。4回戦では、1勝7敗の戦績だった清水が、デビュー戦の選手に大差判定勝ちで2勝目を上げたました。それにしてもボクシングという競技は、強いだけが人気に直結しないことを清水に改めて教えてもらった感じがしました。

1998年10月12日:後楽園ホール

 第1試合の25秒KO試合から、メインの日本スーパー・バンタム級タイトルマッチまで、とにかく荒れた試合の多かった興行でした。
 さて、今回は8回戦の松信vs金山戦からにします。松信は8月嶋田にKO負けして以来の再起戦だったが、ダウンを奪われるなど不安定な戦い方気になりました。正直言って、松信がこれから上位に上がって行くためには、もっと丁寧なボクシングをする必要があるように思います。行き当たりばったりのボクシングから脱却して、戦術とか戦略を感じさせるボクシングができないとこのままで終わってしまう感じがします。パンチ力は申し分ないだけに、一皮剥けて欲しいように思います。
 次いで、セミファイナルですが、片桐選手の事故については既にUP済みですが、かつて日本ランキング1位まで上がり、24戦も戦っているハードパンチャーに、この試合が13戦目で初の10回戦という選手をぶつけるというマッチ・メイクに疑問感じます。さて試合ですが、立ち上がりこそ、竹永が得意の強打を的確にヒットさせてポイントをリードしたが、3R以降、拳を痛めたのかもしれないが、ボディ・ブローばかりで、逆に片桐のフックが的確に竹永を捕らえはじめ、毎ラウンドKO寸前まで追い込む展開に。片桐にとどめを打たせなかった竹永を誉めるべきなのか、とどめを刺せない片桐のパンチ力を嘆くべきは何とも言えないが、いずれにしてもあと1発決められていれば、事故は起きなかったように思います。竹永もこれまでかと思った矢先の9R、遂に竹永の左フックが爆発。片桐は最初のダウンを喫する。カウント5で立ち上がった時は、足元もしっかりしており大丈夫のように見えたのですが、竹永が猛攻を仕掛け、片桐は防戦一方になり、2度目のダウンは棒が倒れるように前のめりにダウン。受け身も取れない感じで、レフェリーはカウントも取らずに試合終了を宣告。同時にリング・ドクターが駆け込んで片桐を診察。この時点で既に意識がなかったようで、担架でリングから運び出される時も、タオルを上にかけて体温の維持をしていたので、状態が悪い感じがしたのですが・・・とにかく今は、片桐選手の一刻も早い回復を祈りたいと思います。勝った竹永ですが、連続KO勝ちを記録していた頃の切れ味がなくなった感じがします。打たれ脆さが致命的ですが、パンチだけなら世界クラスのものを持っているだけに、打たせず打つボクシングを早く身につけて欲しいと思います。
 メインの日本スーパー・バンタム級タイトルマッチも、最後はパンチ力と勝負に対する執念の差が、勝負を分けたような試合でした。立ち上がりは両者ともやや固く、クリーンヒットがありませんでした。とはいうものの、真部のプレッシャーに鳥海は押され気味で、ロープを背負う場面も見られました。試合が大きく動きはじめたのは3R。鳥海の右フックがヒットするのと、真部の足が滑るのが同時起こった感じで、真部がダウン。あまりダメージはないものの、鳥海にとっては大きなチャンスのように見えましたが、逆に真部の反撃にクリンチで逃げるのがやっとの有り様。4Rになると真部ペースが明確になる。真部のプレッシャーに鳥海は逃げる一方、ところが5R終了間際に鳥海の左がカウンターになってヒットして真部がピンチに。ゴングに救われたものの勝負の行方は混沌とするかに見えました。しかし、6Rになると完全に真部が試合を支配。連打の連続で鳥海は防戦一方に。このラウンドは逃げたものの、7Rも開始早々から真部が連打。逃げるだけの鳥海を見てレフェリーが試合をストップ。ピンチを何度も迎えながらも前に出て攻めた真部の根性を誉めたいと思います。色々反省はあると思いますが、器用な選手ではないですし、年齢的にも今以上のものを望むのは酷でしょう。ただ、打たれないようにする工夫はして欲しいと思います。
 一方、敗れた鳥海ですが、相手のプレッシャーに何もできなかった感じがしました。それと、4Rくらいでスタミナを無くすような選手がタイトルに挑戦したことに腹が立ちました。ただ、負けたこの試合で得たものも多かったはず。スタミナもそうですが、チャンスでの詰めやプレッシャーのかけかたは参考になったと思います。パンチがないように言われていましたけど、ある程度パンチにも自信を持てたはず。これからの鳥海に注目したいと思います。

1998年10月3日:後楽園ホール

 世界タイトル戦の興行以外で、東京では久しぶりにダブル・タイトルマッチの組まれた今回のダイナミック・グローブは、期待通りの好試合と思惑はずれに終わった試合でした。
 まず、メインの東洋・太平洋スーパー・フェザー級タイトルマッチは、現在の激戦クラスを証明するような試合でした。試合は、序盤からチャンピオンの長嶋が、得意の右のジャブ、フックを的確に決めてポイントをリード、ペース的には終盤でストップ勝ちでもするかなと思えるほど、良い立ち上がりでした。ところが、中盤に入ると挑戦者の平仲も、ベテランらしく徐々に相手のペースを読み、得意の接近戦を挑むようになりました。そして7R終了のゴング直前、平仲の連打が爆発。最後は押し倒しの感じでしたが、長嶋がダウン。試合は一気に平仲ペースになりました。しかし、9R、平仲はKOを狙って攻めるも、正確さを欠き、長嶋をなかなか追い込めませんでした。そして、11R、平仲が再びプレッシャーをかけて前に出ようとした瞬間、長嶋の左ストレートから右フックが炸裂して平仲が痛恨のダウン。平仲は立ち上がって反撃、長嶋をダウン寸前までに追い込むも、ゴングで逃げられる。最終ラウンドは、平仲が前に出るかと思ったのですが、前のラウンドのダウンで慎重になったのか、なかなか前に出ることができず、やっと終盤に追い込むもここはクリンチで逃げられる。浦谷レフェリーは、長嶋に対しホールドで減点を宣したが、逆にこれが時間稼ぎとなって、平仲は攻めきれなかった。結局、公式の採点は1点差が2人、2点差が1人でいずれも長嶋の勝ちを支持していた。ちなみに、私の採点は115ー111で長嶋だった。
 何とか勝った長嶋だが、課題は左の使い方だろう。折角いい右を放ちながらも、左がフォローできないため、リズムが単調だった。左のストレートにしても、フックにしてもいいものを持っているだけに、もっと使い方を工夫すれば、楽な戦い方が出来たように思う。とはいうものの、経験豊富なベテラン選手になかなかペースを与えないあたりは、並みの選手ではない。初防衛戦というプレッシャーのかかる試合で、しかもベテラン相手に苦戦しながらも勝ったということは、今後の自信につながると思う。一方、敗れた平仲ですが、善戦は認めますが、言葉は悪いが所詮この程度の選手といった感じがしました。7Rにダウンは奪ったものの、チャンスを生かせないあたりはベテラン選手らしくないですね。クリンチに対する対応がへたですし、何といっても、スロースターター云々ではなく、新鋭といっても相手はチャンピオンなのですから、早く仕掛けて欲しかったと思います。もちろん、中盤以降のよく攻めたことは認めます。これで、金内に続いて、平仲もスーパー・フェザー級戦線から外れたように思います。
 さて、セミファイナルですが、大和にとっては、惜しい試合を、また、武蔵にとっては、失礼かもしれないがおいしい引分けだった感じがします。試合は1Rこそ、大和が慎重な立ち上がりをみせましたが、2R中盤で武蔵の力を把握できたのか、得意の右のジャブ、左のストレートを的確にヒットさせる。3Rもこの展開が続いたゴング直前、激しいバッティングで武蔵がダウン。大和は右目上を大きくカットしてしまう。結局、ラウンド終了後のドクター・チェックで試合がストップされてしまった。大和からみれば、あと2〜3RもあればKOできた試合だけに悔しいストップだったように思います。逆に36歳の武蔵にしてみれば、日本タイルマッチで引き分けたという勲章ができた試合だった。いずれにしても、何か煮え切らないうち終わってしまった試合だった。さて大和だが、とりあえずこのタイトルを返上して東洋・太平洋タイトルへの挑戦を目指す話もあるようだが、もう1,2試合、日本の上位と戦ってからでも遅くない気がする。
 その他の前座カードでは、4回戦に9月1日に試合をしたばかりの阪東ヒーローが登場。デビュー以来2試合連続1RKO勝ちを収めていただけに、今回もKO勝ちの期待が大きかったものの、1Rにダウンを奪われたものの何とか引分けに持ち込みました。わずかの1ヶ月間隔での試合という強気のマッチメイクが、裏目に出た感じがしました。