
1998年9月30日:後楽園ホール
何回やっても同じ結果になるのではないかと思っていましたけど、さすがに3度目ともなると手の内が分かるだけに戦いやすかったのかもしれません。
さて、試合ですが、結論からいえば、前に出た選手が有利に採点されていたように思います。4月の試合に比べて、小林がより積極的だったのは事実ですが、だからと言って有効打があったように見えませんでした。前回より多かった応援団が、小林の攻めに歓声をあげていましたけど、いわゆるクリーンヒットはカバトの方が多かったです。クリーンヒットを浴びても前に出た小林のハートを評価していいと思います。前回には見られなかったところでした。
一方カバトですが、前回勝っている相手だけに心にスキがあったのかもしれません。前回に比べて後手に回った感じがあったのも事実です。しかしながら、前に出てくる相手に対して、下がりながら相手がバランスを崩したところを攻める巧さは相変わらずでした。
クリーンヒットも少なく、両者とも決め手がないジャッジ泣かせの試合でしたけど、今回は最後まで攻める気持ちが切れなかった小林に軍配があがったといえる試合だったと思います。それとこういう試合になると、ホームタウン・アドバンテージが勝敗を分けますね。
とにもかくにも新チャンピオンとなった小林ですが、初防衛戦に予定されている石原との対決に向けて、もう少しフットワークとバランスを考えたボクシングが出来ないと苦しい感じを受けました。1月下旬、もしくは2月上旬に東京で行なわれる試合はちょっと注目ですね。
1998年9月28日・29日:後楽園ホール
28、29日の2日間にわたって、東日本新人王準決勝22試合が行なわれ、11月8日に行われる決勝戦のカード決定しました。
☆ライト・フライ級
大和田 智士(北澤) 対 家住 勝彦(レイスポーツ)
優勝候補の一人菊井からダウンを奪って判定勝ちを収めた大和田に対し、家住は4連続KO勝ちで決勝進出。両者とも軽量級ではハード・パンチャーだが、ここ2試合の内容では圧倒的に家住に分がある。
☆フライ級
内藤 大助(宮田) 対 佐藤 宏章(フラッシュ赤羽)
準決勝はともに判定勝ちだった両者。ボクシングは対照的で強いパンチを武器に前に攻める内藤に対し、佐藤は長身と長いリーチを生かしたアウト・ボクサー。1発で試合を終わらせることのできる内藤に分がありそう。
☆スーパー・フライ級
野田 真太郎(上滝) 対 佐々木 真吾(木更津グリーンベイ)
両者ともハード・パンチャーでKO必至の試合。宮内との激しい打ち合いを耐え切った野田に対し、佐々木はやや打たれ脆いところがありそう。激しい打ち合いが予想されるが、スピードに勝る野田がやや有利。
☆バンタム級
晝間(ヒルマ) 勇希(協栄) 対 池田 光正(MI花形)
ボクサー・タイプに晝間とファイター・タイプの池田の対戦。離れて晝間、接近して池田という感じになりそうだが、鋭い踏み込みで連続KO勝ちを続けている池田のパワーが、晝間を粉砕しそうだ。
☆スーパー・バンタム級
草野 美栄(ワタナベ) 対 宮本 孝允(角海老宝石勝又)
両者とも粘り強いファイトが身上だけに、接戦が予想される。ボクシングの巧さは草野が一枚上。サウスポーの利点を生かせば草野がこの激戦を制すだろう。宮本としては、接近戦でのもみ合いから活路を見出したい。
☆フェザー級
北島 大輔(沖) 対 永田 書林(本多)
17歳の北島に対し、4回戦を13試合も行なっている26歳の永田という対照的な一戦。今年一番の激戦区フェザー級を象徴するような好試合が期待できるが、矢澤、吉田といった強豪を連破した北島が、若さと勢いで試合の主導権を握りそうだ。
☆スーパー・フェザー級
大串 尋人(宮田) 対 大澤 康規(大橋スポーツ)
派手なKO勝ちで決勝進出を決めた大串に対し、引き分けながら辛うじて決勝進出を決めた大澤。両者ともパンチに自信を持っているようだが、連続KO勝ちで自信をつけている大串が、勢いで大澤を圧倒しそうだ。ただ、乱打戦になると勝負の行方はわからなくなる。
☆ライト級
大嶋 宏成(輪島スポーツ) 対 橋浦 憲一(帝拳)
刺青男の元超ワル、「リゲンイン」のCM出演でも有名な大嶋に対し、橋浦は地味なボクサー・タイプの選手。勢いで大嶋が圧倒的に有利な試合だ。ただ、大嶋はスタミナに難点があり、長期戦になれば橋浦にもチャンスが生れそうだ。
☆スーパー・ライト級
稲垣 勇希(木更津グリーンベイ) 対 佐々木 基樹(協栄)
ハード・パンチャー同士でKO必至の試合が予想されるが、スピードで佐々木に分がありそうな一戦だ。ただ、稲垣はストレートが打てる選手だけに、佐々木が不用意に接近戦を挑むと思わぬ展開もありうる。
☆ウエルター級
甲崎 重光(オークラ) 対 安田 鉄平(三迫)
今年の中では一番低レベルの試合展開が予想される一戦。両者とも前に出ながら手数で勝負するタイプだけに、押し合いに勝った方が有利になる。とはいうものの、スタミナでは安田に分があるだけに、甲崎としては前半にできるだけ多くの貯金をしたいところだ。
☆ミドル級
鈴木 悟(八王子中屋) 対 佐藤 直之(新日本木村)
過去2度対戦し、1勝1敗の両者の決着戦。優勝候補のブル・岡部を一方的に攻めた鈴木に対し、佐藤も強打者、鮎沢をテクニックで圧倒。実力的には互角だが、過去の相性からすると佐藤に分があると見る。しかし、お互いに手の内を知り尽くしているだけに、どちらの手が挙がってもおかしくない一戦だ。
1998年9月22日:国立代々木第二競技場
ノーウッドの計量失敗で、少しチャンスは生れたかなと思いましたが、結論から言えば何にも出来ずに終わった感じがしました。
ノーウッドの体はやはり絞れていない感じがしたので、もう少しボディを攻めることができれば、もっと違った展開になったように思いますが、それをさせてくれなかったノーウッドが一枚も二枚も上手と言わざるを得ないでしょうね。とはいっても、松本に工夫がなかったのも事実、前に出てくる相手に、バック・ステップを多用しては、自分のペースは掴めないでしょう。松本くらいのベテランになれば、相手の出足をサイド・ステップでかわしながら、ボディを攻められると思ったのですが・・・。どういう作戦を立てていたのかはわかりませんが、相手の出鼻を叩くとか、出足を挫くような戦い方をして欲しかったように思います。帰りの電車の中でかつて故・杉浦滋男アナウンサーが、韓国で行われた朴賛希vs大熊正二戦で盛んに言っていた「立つな!下がるな!手数出せ!」という言葉が思い出されました。松本陣営がこの作戦で試合ができていればと思いました。ただ、救いは7R以降毎回のようにピンチに立たされながらも耐えてダウンしなかったあたりに、松本の意地が感じられたところ。その意地を攻撃面でも見せて欲しかったですね。
一方のノーウッドですが、相手のスピードを奪うボディからの攻め、チャンスでの連打は、さすがに一級品という感じがしました。ただ、5Rにローブローで減点されたことからもわかるように少しラフ過ぎますね。減点された5R以降も、カップを叩く音が聞こえる明らかなローブローを連発していました。しかし、攻める気持ちというかとにかく手を出して前に出るというボクシング・スタイルは、日本選手にも参考とすべき点のように思います。相手に攻めさせないように攻めることもディフェンスのひとつですからね。改めて攻撃は最大の防御ということを認識させられました。
とにかく完敗だった松本ですが、王座決定戦に出場できるのか、それとも新チャンピオンへの挑戦権が認められるのかはわかりませんが、やるにしても一度、ファンがこれなら再挑戦もOKだと認めるような試合をしてからにして欲しいと思います。今回の松本では、何回やっても結果は一緒のように思います。
1998年9月21日:後楽園ホール
最初からミスマッチとわかっていると言っては失礼になるかもしれないが、誰もが結果はわかっていた試合だったろう。結果は順当というか予想通りというか3RTKOでリックの勝ち。こんな試合しか組まれないリックに同情したくなってしまった。
試合は、立ち上がりからスピード差が歴然としており、当然のことながらリックのペースに。しかし、2分過ぎたあたりにバッティングで山口が早くも左眉のあたりをカット、傷が深いのか出血はなかなか止まらなかった。2Rは静かな展開。3Rに入ると山口の傷からの出血がひどくなる。リックもストップを恐れて、勝負に出る。得意のワンツーを放つが、焦りも手伝ってかイマイチ当たらない。それでも1分30秒過ぎ左フックを放つと山口のジョーに見事にヒット、山口は仰向けにダウン。内田レフェリーのカウント途中で山口は立ったものの、レフェリーは試合をストップした。山口はストップが早いという表情だったが、妥当な処置だと思う。
試合後のリックは、快勝にも納得いく試合でなかったことをインタビューで強調していたが、相手の手応えがないことを言いたかったように思う。そんな不満を試合からも感じた。試合に燃えてる感じを受けなかった。防衛に日本記録を目指すと言っているが、相手がいなくて記録を逃すそんな感じがします。
セミファイナルは、昨年のライト級新人王、木村が、持ち前の変則ボクシングで吉岡を圧倒、3人の審判が5〜6点差をつける完勝をした。桑田をKOした吉岡ですが、ボクシングが正直というか応用が利かないというか、相手に合わせた戦いができないというか、本当にいいところがなかったです。確かにサウスポーでしかも変則でやりにくのはわかりますが、もう少し機転のきいたボクシングをしないとこれ以上は望めない感じですね。左ジャブからのワンツーに固執し過ぎの感じ。相手の動きを止めるためにボディを打つとか、いきなりの右ストレートを使うとか試合中に工夫を見せて欲しかったように思います。一方の木村ですが、正直言ってこんなに巧くなっているとは思いませんでした。相手の的をはずしながらの左右フックは良かったと思います。ただ、スタミナの強化とストレートを打てるようになることあたりが今後への課題ではないでしょうか?対リックには面白い存在になりそうな気がしました。
その他では8回戦に村松が登場。フライ級へのテストも兼ねた試合でしょうが、ノーランカーの柳を寄せつけず2R、連打でKO勝ち。これで2連続KO勝ち。パンチある選手だけに、この調子が続けば十分タイトルは狙える感じがしました。
1998年9月19日:TV観戦(WOWOW)
最近の試合の中ではデラホーヤの出来が良いとは思えなかったですけど、チャベスとの力の差は歴然としていましたね。チャベスとしては接近戦で活路を見出したかったところでしょうが、接近戦になっても、デラホーヤの動きに翻弄されていた感じでした。ただ、チャベスがもう少しボディを攻めていれば展開が変わったように思えましたが、ローブローでデラホーヤがエキサイトする場面もあってか、チャベスがボディを攻められませんでした。往年のチャベスなら、ある程度強引にボディから攻めたように思うのですが、それが出来なかったのか、やらせてもらえなかったのかはわかりませんが、チャベスらしさがなかった試合でしたね。
チャベスはあと1試合やるようですが、何を目標にやるのかわかりませんし、何か意味がある試合をできるのか疑問を感じますね。試合後のチャベスの顔を見ると、かつてのような勝負に賭けた鋭さみたいなものが消えていたのが気になりました。私と同じ年(誕生日は4日違い)の選手だけに頑張って欲しいと思うのですが、如何せん衰えを、テクニックでカバーできなくなったように感じました。本当にチャベスで商売ができるとアラムは思っているのかな。魂の抜けたチャベスの試合なんか見る気が起きないな・・・(これは私だけか・・・)
一方のデラホーヤですが、珍しく力みがあって硬かったですね。いつになく相手の距離で戦っていたのが気になりましたが、スピードの差を生かした試合運びだったように思います。ただ、デラホーヤにしても少し気合が入り過ぎて、動きに粗さが目立ちましたね。正直言って、デラホーヤでもこんなことがあるのかと、安心したり、驚いたりした試合でした。次ぎはクォーティーとの対戦の予定のようですが、スピード勝負となるでしょうから、今回のような粗さを見せるとデラホーヤが不覚を取る可能性もあるように感じました。
1998年9月14日:後楽園ホール
3月29日揃ってKO負けを喫した有沢兄弟の再起戦は、結果だけみれば両選手ともフィリピン選手にKO勝ちだったが、試合内容はやや期待を裏切られるものだった。
まず、セミファイナルに登場したカズだが、ノーランカー相手に2RKO勝ちだったが、不用意にパンチを貰い過ぎだ。明らかに格下の相手だっただけに、気乗りがしなかったのかもしれないが、今のボクシングではチャンピオンなんてとても無理な感じがしました。それと相変わらず体が硬いのが気になった。もう少しウィービングなりダッキングを使うにしても、体に柔軟性がないので、あの動きでタイミングのいいパンチを貰うと恐い感じがする。カズの課題は、一にも二にもディフェンスだろう。パンチを貰わないようにしないとこれから先が長くないように思います。
次に、12月日本タイトル挑戦が決まっているコウジですが、こちらも相変わらずパンチを貰うのが気になりました。持病の腰痛も状態がよくない感じで、下半身が使えていないのも気になりました。最後の右ボディ・フックは見事でしたが、攻めにリズムがありませんでした。杉田戦への課題山積といった感じ。特に気になるのはバック・ステップを多用していること。杉田のようなタイプと戦う時に、バック・ステップを多用すると、相手のペースで戦うことになりかねない。サイド・ステップを使えるようにならないと杉田の連打の餌食になることも考えられる。再起戦ということを割り引いてもコウジ、カズとも合格点をつけられる内容ではなかった。ただ、KO勝ちということで、気分的には上昇できるであろうし、勢いが出てくれば、両選手とも実力があるだけに、変わる可能性はある。お互いに刺激しあって頑張って欲しいと思う。
その他の試合では6回戦に登場した大久保だが、有沢ジムのトレーナーは何を教えているのか?この選手もコウジ同様、まるっきり下半身が使えていない。腰痛があるわけではないだろうが、折角のチャンスでも連打はできない、とどめをさせないではこれより上には上がれないように思う。攻める時の下半身の使い方をトレーナーはし
っかり教えるべきだ。パンチはあるように思う。パンチを活かすためにも下半身の使い方を覚えて欲しい感じがしました。
1998年9月5日:両国国技館
まず畑山選手の勝利を心より祝福したいと思います。試合前のことについては、また後で触れるとして、試合を振り返ると崔の巧さを殺せたところが勝因ではないかと思います。
試合は何となく昨年10月の試合の13Rから始まったように見えました。元来スロースターターの崔が、珍しく先手を取る攻撃を仕掛けてきました。はっきり決着をつけたいという崔の意気込みのように感じました。この攻めに畑山もやや面を食らった感じで、前半は完全に崔のペースで試合が進んだように見えました。ただ、畑山も崔の様子を見て徐々にペースアップ。中盤は接近して畑山、距離を取ると崔という展開になってきました。どちらもはっきりとポイントを奪えないまま試合は終盤へ。前回は終盤でポイントを落として涙を飲んだ畑山ですが、今回は終盤プレッシャーをかけ試合の主導権を握りました。そして11R、崔がローブローで痛恨の減点を受けてしまいました。これが追い風となって、最終ラウンドも逃げずに打ち合いを挑み勝利を決定づけました。
試合前、前回の試合で奪えなかった1ポイントは何だったのかと考えたのですが、その時ふと思ったのは、もし、前回の試合時に、現在のようなバッティング・ルールがあれば、1ポイント奪えていたのでは、つまり、畑山と言う選手には、世界チャンピオンになるという星がないのかもしれないと思いました。結局、私の考えが間違っていたのですが、こういう間違いは正直言ってうれしいですね。
一方、チャンピオンだった崔ですが、完全決着に入れ込みすぎたように思います。前半あまりにも決着を急ぎ過ぎたために、自分でペースを乱したように思います。それと畑山の成長が、崔の予想以上だったのかもしれませんね。ただ、粘り強さはだてに7度も世界のタイトルを守っていませんね。今後の崔がどうなるのかはわかりませんが、再起して畑山に挑戦するとなればやはり恐い相手であることに変りはないですね。
それにしても、両選手の精神力には拍手を送りたいと思います。お互いに苦しい場面が何度もありましたが、真っ向から打ち合うなど世界タイトルマッチとしてふさわしい試合だった思います。
さて、色々論議を呼んだ畑山選手の試合前のTV出演ですが、「勝てば官軍」と私は思いません。プロなのだから名前を売るのも必要かもしれませんが、やはり、プロのスポーツ選手は、試合でファンにアピールすべきであるというのが私の考えです。今回の試合はファンに十分アピールできたと思います。厳しいトレーニングの連続で息抜きをしたくなることもあるでしょう。とはいっても追う立場から追われる立場に変わったのですから、ますます試合に集中して欲しいと思います。
崔vs畑山戦のセミファイナルで行われた日本ミニ・フライ級タイトルマッチは、チャンピオンの星野敬太郎(MI花形)が、挑戦者同級1位中島浩(ワタナベ)を3−0の判定で下し、5度目の防衛に成功しました。正直言って、これで星野の勝ちはありかなと思いました。中島のパンチは軽かったかもしれませんが、ヒット数では遥かに多かったと思いますし、星野も有効打といものがほとんどありませんでした。何がポイントになったのか首をかしげてしまいました。とにかく防衛に成功した星野ですが、楽するボクシングをやりすぎですね。前回の岡五男戦もそうでしたが、小手先でボクシングをやりすぎのように思います。負けないボクシングといえば聞こえはいいかもしれませんが、楽ばかりしていると思わぬ伏兵に足元をすくわれるように思います。
敗れた中島ですが、パンチ力の不足を補う連打が必要だと思います。今のままではランキング上位は維持できても、チャンピオンの道は険しいと思います。デフェンスのいい選手だけに、もう少し攻めで冒険して欲しいと思います。
その他のアンダーカードでは、この日6回戦デビューの岡崎嘉輝が、1Rで伏木を倒したパンチが見事でした。
1998年9月3日:後楽園ホール
4月、飯田に善戦(私はそう思っていないが、巷では言われているので・・・)した井岡の再起戦は、2階級下のフィリピン選手に、グラつかされるなど、内容的には不満ばかりの試合でした。
正直言って試合開始直前の両者を見たら、パワーで井岡が圧倒してストップ勝ちをするのではないかと思いました。前半は左のジャブと右のストレートで優位に立ったものの、決定打を決められず、中盤からはパハヤハイの反撃にてこずり始める。そして8R終盤、一気に攻めようとしてガードが下がったところにパハヤハイの右がカウンターになって井岡にヒット、井岡の膝が揺れてピンチに。この回はゴングで救われたが、あと3R前に決められていたら勝負の行方が変わっていたと思えるくらいだった。井岡ファンには申し訳ないが、この程度の相手をKOできないようでは、井岡のお先は元々明るくないのに、さらに光を減らした感じがする。いまさら、かつてのスピード・ボクシングを取り戻せと言っても無理なのは承知の上だが、もう少しスピードがないと、井岡の良さは出てこないように思います。ただ、一縷の光明があるとすれば、プッシュ気味だった右ストレートが、大分切る感じで打てるようになったとこだ。これにあと、攻めのバリエーションを増やせば、選手寿命は少し伸ばせるかもしれません。とは、言ってもあまり器用とは思えない井岡ですから、今まで通りの攻めしかできないのでしょうね。
それにしても最近のフィリピン選手は頑張りますね。一時は国内ランキング上位と言っても噛ませ犬みたいな選手ばかりでしたけど、ここ数試合に登場しているフィリピンの選手は、ある程度ランキング通りの実力が発揮されているように思います。日本の選手もこれからは、練習で手を抜くと試合で痛い目にあうかもしれませんよ。
さて、セミファイナルには元WBC世界スーパー・フライ級チャンピオン、パヤオ・プーンタラット(タイ)の実弟で、角海老宝石ジムとマネージメント契約をした世界ランカー、パニアン・プーンタラットが、日本のリングに初登場、元日本ミニ・フライ級チャンピオン、横山啓介(沼田)の目尻を切り裂いてTKO勝ちを収めました。目立ったのは、左ジャブの使い方で、タイで一番のテクニシャンと言う評判も肯けました。しかし、攻めの組み立てがワン・ツーが多く、スリー・フォーと連打が打てない(打ってない)のが気になりました。スピードもあるので、連打が身に付けば鬼に金棒といった感じです。
その他では、バトナサンが旭鷲山や旭天鵬の激励に発奮し、名古屋のタフネス・ボーイ、夛田孝雅(緑)に5RTKO勝ち。大東を想定して選んだと思える夛田を、見事な連打で攻めて、日本タイトル挑戦をアピールしていました。また、角海老宝石の壊れた元日本チャンピオン、新井泰が、再び再起を図って新鋭の平丸勝基(協栄)と
対戦。中盤、平丸のボディ攻撃に大苦戦。終盤追い上げたものの、時既に遅く判定負け。相変わらず心・技・体がバラバラといった感じを受けました。いい加減引退したほうがいいと思うのですが、ここ2試合KO負けしていたのを考えれば判定までいったということで、本人が妙な色気を持って欲しくないと思いました。