
1999年2月23日:後楽園ホール
6月に空位の日本スーパー・フライ級王座決定戦に出場が決まっている柳光が、その前哨戦をプロ入り初のKO勝ちで飾りました。
相手のタラソナは2階級下の選手で、昨年10月には村越裕昭に1RKO負けしている選手だけに、興味は勝敗そのものより柳光がプロ入り後経験したことのないKO勝ちができるかにありました。結果的にはKO勝ちはしたものの、先にある王座決定戦に明るい材料が見られたいう試合ではありませんでした。特に気になったのは、集中力のなさで、6Rに最初ダウンを奪いながら、明らかにダメージのある相手を攻めきれないようでは、王座決定戦の相手が松倉だけに不安を感じました。また、動きの重い相手を持て余す場面がしばしばあり、気を抜いて反撃を食う場面もありました。次に対戦する松倉は、一発ですべてを決めてしまうことのできる選手だけに、柳光の集中力の持続が、勝敗のキーポイントになるように思います。それと、多少オーバー・ワーク気味のところがあったのでしょうが、全体的に動きが重くて切れがなかったところも気になりました。初めてのKO勝ちということで、胸につかえていたものは取れたことでしょう。勢いのつくような試合内容ではなかったですが、本番までの時間はあるので、じっくり調整して欲しいと思います。
セミ・ファイナルはこのところ上位の選手に善戦しながらも勝てない木内が、現在はフィリピン・フェザー級7位とはいえ、PABAタイトルなどに挑戦したことのあるオナテと対戦、KO狙いが災いして、ガードの甘さをつかれてまさかの2RTKO負け。この試合に勝ってOPBFチャンピオン、今岡への挑戦という計画が崩れてしまいました。オナテについてどの程度研究していたのかはわかりませんが、いつも通りの戦い方をした方が、結果論になってしまいますけど良かったように思います。一方オナテですが、最近の2試合を連敗しているとは思えないくらい積極的に攻めてきました。パンチも伸びますし、スピードもありました。ただ、ディフェンスは正直言って良くないです。今回の試合では、スタミナがあるかはわかりませんでしたが、感じとしては前半を乗り切れればスタミナをなくす選手のように思います。
その他では、8回戦で最近復活してきた感のあった笠木が、ノーランカーの高山にまさかの2RKO負け。ハード・パンチと打たれ脆さを持ち合わせた笠木らしい試合ということになるでしょうが、それにしても打たれ脆すぎます。この笠木を良い選手だとべた誉めしていた三谷はこの試合を見てどう思ったことでしょうか。
1999年2月22日:後楽園ホール
勇利の引退記念興行のメインには、かつて勇利が世界タイトルを獲得した時の相手であるムアンチャイが登場、今年4月に日本バンタム級チャンピオン、西岡利晃との対戦が決まっている仲里と対戦しました。
試合結果は予想通りと言えますが、終わり方に満足できた人はいないでしょう。2階級制覇を達成した元世界チャンピオンといえども2年半ぶりのリングで、しかもウエイトがかつての階級より3階級も重いクラスでの戦いとなれば、いい戦いを期待する方が酷というものですよ。試合の中では、随所に元世界世界チャンピオンの片鱗が見られたのは事実であり、それ以上のことは望めないように思います。さて、最後がムアンチャイのギブアップというファンからみれば納得のいく終わり方にならなかった原因はどっちかと言えば仲里にあるように思います。2ヶ月後には日本タイトルへの挑戦が決まっていますが、パンチに切れがなかったのが気になりました。本人も試合後のインタビューで、出来が良くなかったことを認めていましたが、昨年10月のジェス・マーカ戦の敗戦が少し尾を引いている感じがしました。西岡戦に向けて課題が多くあることが証明されたような試合でした。この試合を観戦していたチャンピオン西岡は、仲里をどう見たのか?いずれにしても4月24日はKO決着必至の一戦だけに、一瞬の気の緩みが勝負を分けるように思います。
セミファイナルは東北と九州の若手日本ランカー同士の試合でしたが、体格で勝る湯場が、体力で木村の変則ボクシングを押し切った感じがした試合でした。湯場は木村のボクシングをよく研究していた感じで、相手が変則でバランスを崩すところがあることを知っていたようで、相手に攻めさせてから巧く攻めていました。そのため、攻撃のリズムがなかったのも事実、木村のような変則ボクサーとの対戦は初めてでしょうし、今後もあまり多くはないでしょうから、今回のボクシングはこれで良かったのかもしれませんが・・・願わくは、もう少し自分から攻めてチャンスを掴んで欲しかったように思います。一方、敗れた木村ですが、昨年11月、リックに完敗したあとの再起戦の相手が2階級上の選手と言うこともあって、体力負けしていたのは事実ですが、逆に動いて相手を翻弄するように思っていましたが、ことのほか動きが重かったように見えました。今後も今のボクシング・スタイルを変えないとするならば、もっともっとスタミナの強化をしないといけないと思います。
8回戦には、佐井が久しぶりに登場。8ヶ月ぶりの試合ということもあって試合勘がやや鈍っていた感じがしました。デビュー以来連勝していた頃のボクシングを10とするならば、今回の出来は6〜7といったところ。特にボディの弱さを気にするあまり、ガードが下がってしまうところと、相手の正面に立ちすぎるところが気になりました。一方の平野ですが、久留島を破って日本ランキング入りしていますが、ランク入りを狙う選手には、美味しい選手のように思います。初めて見ましたが、攻撃力があるわけでもなく、ディフェンスが巧いという選手でもないです。ボクシングも正直ですからやりやすいでしょう。ただ、タフな感じですし、ボディ・ブローが巧いですから、スタミナのない選手が相手だと実力を発揮するように思います。
その他では、ヘルマン・トーレスJr.の大関一郎が、デビュー3戦目にして初のKO勝ち。父親譲りのアッパーの巧さが目につきます。4回戦レベルでは、相手になる選手はいないでしょう。
1999年2月19日:後楽園ホール
日本のハード・パンチャーも、世界の壁を痛感させらた試合だったのではないでしょうか。今回は地元判定とまでは言えないものの、やや分の悪い内容でした。去年の3月、辰吉に判定負けをだったソーサですが、今回は別人のような戦いぶりでした。岡本陣営は辰吉との試合を見てもっとディフェンシブな戦い方をすると予想していたように思いますが、ソーサが前に出てきたため面食らった感じだったように思います。辰吉との試合のソーサはガードを固め、攻撃らしい攻撃がほとんど見られませんでしたが、今回は上下に巧みに打ち分けたほか、接近戦を挑もうとする岡本に対して鋭いステップでかわしていました。終盤、長旅の疲れもあって岡本の接近を許しましたが、それでもクリンチ・ワークを駆使して、最後の最後まで岡本の決定打を受けませんでした。正直言って、ソーサが今回のような攻めを持っているとは思いませんでした。世界チャンピオンとやる時は、精神的に萎縮してしまうところがあるのかもしれませんが、去年ソーサとは完全に別人のような感じがしました。
一方、辛うじて引き分けた岡本ですが、終盤こそ強打の片鱗は見れたものの、前半は、手数も少なくソーサのペースで戦った感じがしました。特に今回は相手が、世界タイトルに挑戦したことのある相手だけに、もっと攻める姿勢を見せて欲しかったと思います。それと、一番いけないのは最終の10R。これは海外での試合経験があるソーサを誉めるべきかもしれませんが、10Rの戦い方いかんによっては勝てた試合だったと思います。恐らく、ソーサ陣営では内容的にポイントが競っていて、敵地だけに負けていることがわかっていたはず。そこで、10Rは攻めて出たのに対して、岡本は、終始後手を踏んでしまっていました。岡本陣営が最終ラウンドにどんな指示したかはわかりませんが、相手が出てくることを予測していれば、10Rの戦い方が変わったように思いますし、変わらなければいけなかったように思います。よく、ボクシングの判定は、最終ラウンドを取った方が勝ちになると言われますが、まさにそんな試合だったと思います。ただ、岡本のパンチの強さだけは世界レベルでも通用することを証明できたとは思います。しかし、世界レベルの選手はそれを簡単に食わないこともわかったことでしょう。一発のパンチに頼らないで、連打の中でいかにパンチにメリハリをつけるかが今後の課題のように感じました。いずれにしても、いい経験ができた試合だったのではないでしょうか?
1999年2月17日:後楽園ホール
ミニ・フライ級の新星矢代が、マイナー団体(WBU)の世界チャンピオン、トヨゴンを相手にせず快勝しました。試合は立ち上がりから矢代が、適確にパンチを決めてポイントをリード。しかし、動きに鋭さを欠いて、トヨゴンに決定的なダメージを与えられない。結局、1〜10R展開が変わらず、判定は100−90が2人、100−91が1人という文句ないものでした。勝った矢代ですが、風邪で体調を崩して前日も点滴を受けてリングに上がったそうで、いつものような手数もありませんでした。一発で相手を沈めるパンチ力を持ち合わせていない選手だけに、チャンスでいかに連打ができるかが今後上位で戦っていくためには課題のように思います。
セミファイナルは、ライト・フライ級2位の田中光輝が、ハード・パンチャー山形と対戦。試合はランカーの実力を示した田中が3Rレフェリー・ストップで山形を仕留める圧勝でした。正直言って結果がこうなることは予想できた試合ではありましたが、改めて基本の大切さを示した試合であったと思います。山形は持ち味の変則ボクシングで田中を翻弄しようとしたのでしょうが、田中は相手のペースになる前にペースを握ってしまいました。田中のパンチが面白いように山形に決まって試合をリード。最後は田中の連打で、山形が防戦一方になりレフェリーが試合をストップしました。今回の田中は、体の切れ、パンチのスピードなど攻撃に関しては文句のつけられない内容でしたが、ディフェンス面では、ガードに頼りすぎて不用意にパンチを食っていたのが気になりました。一方、敗れた山形ですが、スピードの差がすべてでしょうが、ディフェンス、リード・ブローの使い方など、基本的なことをもう一度徹底的にやって欲しいように思います。残念ながら今の山形の変則ボクシングは、ランカー・クラスの選手に通用しません。パンチに頼るだけのボクシングを忘れるべきでしょう。
1999年2月15日:後楽園ホール
木谷が世界ランカー、マングパットに快勝しました。しかし、木谷自身フライ級で戦うのはデビュー戦以来ということで、いつもの切れがありませんでした。マングパットの不調にも助けられた感がありました。木谷の良さは切れ味鋭い左右のストレートですが、4Rにダウンこそ奪ったものの、いつのもの切れ味鋭いパンチは見られませんでした。また、相手のマングパットはさすが世界ランカーといった感じで、木谷のガードの甘さをついて再三左右フックをカウンターでヒットさせていました。世界といったレベルで考えるとガードを含めたディフェンスに問題があるように感じました。
一方、マングパットですが、ミニ・フライ級の選手ということで、もう少し動きが軽いかなと思ったのですが、ウエイトがフライ級ということもあってか、動きがかなり重たかったように思います。過去、日本では3戦2敗1分けと分の悪い選手ですが、過去にはタイでPABAのチャンピオンになった実績のある選手ですし、カウンターの取り方には、さすが世界ランカーという巧さを感じました。
1999年2月14日:TV観戦(WOWOW)
デラホーヤvsクォーティー戦は、なかなか見応えのある試合でした。結果については見方が割れるところでしょうが、私の採点は115−112でデラホーヤとなりました。ただ、公式のジャッジペーパーも示している通り、採点の難しいラウンドの連続だったように思います。
さて試合ですが、大方の人はクォーティーに16ヶ月のブランクは感じなかったと言っていますが、微妙に影を落としていたように感じました。それを感じたのは6Rで、ダウンを奪われたあとダウンをを奪い返した時、傍目ではデラホーヤのダメージが明らかなのに、クォーティーがそこを攻めきれなかったところです。ブランクがなければ、相手のダメージを見極め、一気に攻め落とせたと思います。そこで勝負を決められなかったことが、最終ラウンドにダウンを奪われての敗戦になったように思います。ただ、クォーティーが予想外に良かったのも事実で、16ヶ月のブランクは大きいのではないかと思っていましたが、ブランクの影響が一番出るディフェンスもしっかりしており、動きもシャープでしたから、デラホーヤにとって今後も危険な相手の一人には違いないでしょう。
一方、デラホーヤですが、最後に見せた攻めは圧巻でしたが、出来としては今一つだったように思います。それでもガードの固いクォーティーからダウンを2回奪うあたりはさすがスーパー・スターといった感じがしました。デラホーヤにしてみれば、クォーティーにブランクがあるだけに、相手のディフェンスを崩せると思っていたと思いますが、崩れない焦りが試合中あったように思います。それでも最終3ラウンドのポイントをしっかり稼げるところは、さすがと言わざるを得ないと思います。いずれにしても今回の苦戦は、ある意味今後のデラホーヤにとって大きな収穫を得た試合になったように思います。
1999年2月13日:有明コロシアム
公式採点上の結果は三者三様の引き分けで、畑山が辛うじて防衛に成功した形ではありますが、ちょっと畑山に気の毒かなと思えました。ただ、ここではジャッジの採点については取り上げないことにします。
試合は2R、デュランの左フックで畑山がダウン。畑山の前途に不安を感じました。しかし、ダメージはなく、3R以降は畑山のプレッシャーが次第に強くなり、デュランはロープを背にする場面が多くなりました。お互いにクリーンヒットは少ないものの、接近戦での手数で畑山がペースを握ったように見えました。そして10R、畑山のプレッシャーを再三ホールドで凌いでいたデュランに対しレフェリーが、減点を宣告。さらに11R、これも再三デュランが打っていたローブローに対して減点を取り結果的にはこの減点が畑山に幸いとなりました。
さて、畑山ですが、減量がかなり苦しいと言われていましたが、動きに切れがなかったのはその影響と言えるように思います。ただ、減量の影響とは別に、ボクシング自体が変わってしまったのが気になります。以前の畑山は、ワンツーを中心に攻めを組み立てていたように思うのですが、あまりにも接近戦にこだわりすぎて、畑山のいいところがなくなってしまったように思います。前に出ることは悪いことではないですが、体のパワーに依存するのではなく、ジャブを使うなりして欲しかったと思います。ここ2試合の畑山を見ていると極端にジャブが減っており、右のストレートが打てなくなっているのが気になります。このタイトルの防衛を続けるにしても、返上してライト級に上がるにしても、やはり左ジャブと右ストレートに磨きをかけないと、今後も苦しい試合を強いられてしまうように思います。
一方、デュランですが、2Rにダウンを奪った左フックは見事でしたが、こちらも減量の影響でしょうが、5R以降足が止まってしまい接近戦に巻き込まれた感じでした。挑戦者が下がってばかりいてはポイントにならないですよ。左のジャブが有効だった言う人がいるでしょうが、畑山にあれだけ接近を許すようでは、当てているだけで有効な攻撃とは見なせません。挑戦者という立場である以上、もう少し攻めているというところが見れなければ勝てないように思います。何とかタイトルを守った畑山ですが、次の試合は指名挑戦者のラクバ・シム。シムは謎の部分も多い選手ですが、テクニックはないもののラフファイトが身上のようで、だとすれば、畑山が今回のような戦い方をすると相手の思うつぼにはまってしまうように思います。もう一回原点に戻って自分のボクシングを見直して欲しいと思います。
セミ・ファイナルは予想通りの結果といえばそれまでですが、リックが福永を寄せ付けず最終ラウンド10秒を残してTKO勝ち、17回目の防衛に成功しました。福永の粘りにてこずっていましたが、ピンチらしいピンチもなく、チャンピオンの強さだけが目立った試合でした。今のランキングを見るとちょっと相手になる選手が見当たらないだけに防衛記録を伸びそうですが、リックにとっての強敵は、相手がいないことではないかと思います。敗れた福永ですが、粘りは認めますが、策がなかったと言われても仕方ない内容でした。どっちかといえば正攻法の選手ですから、リックにとってやりやすい相手に違いはないでしょうが、リックのリズムを崩す工夫を見せて欲しかったように思います。
その他の試合では、アメリカで武者修行中の平原が、3日前に変更になった相手を全く問題にせず1RKO勝ち。また、6回戦に出場した2m10cmのロシアの巨人ワルーエフは4RTKO勝ち。3年前に見た時よりはボクシングが出来るようになった感じはしましたが、右のストレートがチョップ気味にしか打てないですし、スピードもないですから、世界のトップと比較すると実力差は大きい感じがしました。
1999年2月8日:後楽園ホール
メインは結局、2度あることは3度あるという結果に終わりました。挑戦者にとって地元での敗戦だけに、言い訳はできないでしょう。試合は立ち上がりからチャンピオンがペースを掴みました。ロング・レンジでの左アッパー・ストレートが面白いように村松を捉え、村松にペースを握らせませんでした。村松は接近して得意のフックを当てようとしますが、本田のスピードについていけず、パンチが空を切る場面が数多く見られました。中盤以降本田もやや疲れて、村松の接近を許すものの、クリンチ・ワークを巧みに使って、村松の攻勢をかわしていました。結局ダウン・シーンはなかったものの、判定は3−0本田の勝利を支持していました。本田のいいところは距離感がいいこと。常に相手との距離を考えて戦っている感じで、自分の距離ではロングレンジから左のアッパーやストレートを多用し、相手の距離になると細かく手を出して、相手に攻める隙を与えないところは、日本の他のボクサーも見習っていいところだと思います。ただ、ボクシングがやや安全運転になってしまうことが難点である思います。一方敗れた村松ですが、過去2回の敗戦をどのように生かしたのかと問いたくなる内容でした。前に出てプレッシャーをかけるのが村松のボクシングではありますが、過去2回はそれを跳ね返されているわけですから、今回はここが違うというものを見せなければ勝てなかったように思います。
本田ですが、ウエイトが苦しいこともあって、これでこのタイトルは返上するように思います。フライ級に上がるにしてもスーパー・フライ級に上がるにしても、今のランカーに群を抜いた選手がいないだけに、チャンスは大いにあるように思います。
セミ・ファイナルは矢原と原島の試合でしたが、ランカーの矢原に精彩がなく、僅差ではありましたが、原島が判定勝ちを収めて日本ランク入りを確実にしました。矢原の試合は、4〜5試合ほど見ていますが、これほど悪い矢原をみたことはありませんでした。前に見た矢原もっと前後に出入りしながら攻めていたように思うのですが、今回は相手の正面に立ちすぎているため、貰わなくて済むパンチを不用意に浴びてポイントを失ってしまいました。前に見た矢原なら負ける相手ではないと感じましたが、KO狙いだったのかもしれませんが、自分本来のボクシングを見失って自滅したと言ってもいいような試合でした。一方の原島ですが、ランカーに勝ってランク入りしたいという気持ちが前面に出ていました。ただ、ボクシングが正直なだけに、今後は美味しいランカーと言われそうな感じがしました。
セミの前に行われた8回戦は、ボクシング・スタイルこそ違うもののハード・パンチャー同士の対戦だけに、KO決着必至かと思っていましたが、お互いに意地を見せたという感じで、ダウンシーンもなく判定決着となりました。勝った川上ですが、左右のフックを的確に決めてポイントを奪いましたが、相手の正面いるために反撃を食う場面もしばしばありました。攻めた後必ずサイドに動くようにしないと巧い選手とやった時にはそこを攻められるように思います。一方の細谷ですが、これで3連敗となりましたが、一番の欠陥は自分の距離が掴めていないことだと思います。そういう意味ではメインの本田の距離の取り方などは参考になるように思います。左のストレートには良いものがありますが、それを生かす攻めを覚えて欲しいと思います。
4回戦には今回の興行が平仲ジムと石川ジムの共催ということで大挙沖縄のジムの選手が出場しましたが、前半の数試合は口は悪くなってしまいますが、後楽園ホールに観光に来たのかと言いたくなるくらいな内容でした。調整など難しい面はあったのかもしれませんが、沖縄からせっかくボクシングのメッカ後楽園ホールに来て戦っているのですから、これを機会に東京のボクシング・ファンに自分の名前を覚えてもらうのだというくらいの気迫を感じるファイトをして欲しかったように思います。
1999年2月6日:後楽園ホール
長嶋vs渡辺戦が決まった時、正直言って何がなんでも見たいというカードには思えませんでした。しかし、私の気持ちとは全く反対に見たいというファンが多かったようで、チケットの売上は非常に良くて、前売りは売り切れてしまうほどで、この試合の会場観戦は半分以上あきらめていたのですが、何とかチケット入手ができて、試合は一方的でしたが、会場で見れて良かったと思いました。
試合は世代交代が証明されたと言えばそれまででしょうが、往年の渡辺雄二を知るものにとって、あまりの差に愕然としたのは私だけでないと思います。相手が伸び盛りのチャンピオンであったにしても、こんな一方的な試合になるとは思いませんでした。バスケスに敗れて1年5ヶ月ぶりの再起戦、10月の第2戦とも渡辺の出来は、私の目には決して良いとは写りませんでした。ただ、ボクサーにとってタイトルマッチというものは、別の力を出せるものだけに、もしかしてという気持ちもあったのは事実ですが、現実はそんなものが微塵も見えない試合でした。1Rから若く勢いのあるチャンピオンのパンチが、面白いようにベテラン挑戦に当たり早くも鼻血を出す。2Rもチャンピオンの勢いは衰えず、挑戦者の攻めかわされチャンピオンの左右パンチが、ベテランに容赦なくダメージを与える。そして3R、まずチャンピオンの右フックがカウンターになって挑戦者がダウン。カウント8で再開された後、今度は挑戦者が意地を見せ、相打ちでチャンピオンからダウンを奪い返す。立ち上がった若いチャンピオンは、ここで冷静に左右のパンチを決めて、挑戦者にペースを渡しませんでした。4Rには森田レフェリーが足を痛めて、5Rから内田ジャッジと交代するハプニングが発生、しかし4R以降もチャンピオン・ペースが変わることはありませんでした。挑戦者の膝はガクガクで、ラウンドが進むにつれてダメージの蓄積は明らか。そして9R終盤、バッティングに怯んだ渡辺を長嶋が一気に攻め、KO寸前に・・・10Rは長嶋が連打を決めたところでレフェリー・ストップがかかって試合終了。長嶋は2度目の防衛を果たすとともに、渡辺に引導を渡すことなりました。
勝った長嶋ですが、一戦一戦着実に成長している跡を感じました。特に今回は、平仲との試合で見られなかった左ストレートのボディ・ブローが良かったと思います。それと前後、左右に動くフットワークにも磨きがかかった感じがしました。ただ、動けるだけに、ガードがおろそかになるところもあるので、そこだけは気をつけて欲しいと思います。それと世界に向けて願わくは、日本チャンピオンのコウジ・有沢、杉田竜平あたりとも戦って欲しいと思います。一方、敗れた渡辺ですが、デフェンスの悪さが致命的だったということになるでしょうが、勢いのあるときの渡辺なら、また違った結果もあったと思います。いずれにしても、一番の敗因はその時の自分にあったボクシングに変えられなかったことではないかと思います。変えるチャンスは何回もあったと思いますが、そこで変えることをしなかったことがすべてだったのではないでしょうか?渡辺がしなかったのか、周りがさせなかったのかはわかりませんが、ここ数年の渡辺を見ていると、何回も痛い目に遭ったせっかくの経験が、まるっきり活かされていないのが歯痒かったです。もう完全に限界だと思います。試合後、本人も引退を口にしたようですが、決意が変わらないこと祈ります。
セミファイナルは、吉岡vs諸岡のスーパー・ライト級のランカー同士の一戦。ボクサー・タイプの吉岡に対して諸岡はファイター・タイプということもあって、もみ合いの多い展開。諸岡の攻勢にやや分があった感じがしましたが、どちらも決め手がなく引き分けとなりました。木村戦でもそうでしたが、吉岡がファイター・タイプの選手を捌けないのが気になりました。すべては左の使い方にあると思いますが、日本タイトル、さらに上を目指すなら苦手を作らないことが大切だと思います。一方の諸岡ですが、ただ前に出るボクシングから脱却して欲しいですね。フェイントを使うなり、サイド・ステップを使ったりする工夫があっていいように思います。
その他では、8回戦でエイティーン古河第三の男、大里が日本ランカーの佐野に右のストレート・フックを適確にヒットさせて僅差の判定勝ち。ランク入りを確実にしました。