
もっと接戦を予想していたのですが、結果は中島が大差判定勝ちで新チャンピオンになりました。お互いのボクシング・スタイルが違うことから、もみ合いの多い試合となりましたが、中島が相手の出鼻を叩く絶妙な左右フックを単発ながら的確に決めてポイントを稼ぎ文句なしの判定勝ちでした。ただ、相手がサウスポーでしかもファイターということで連打ができなかったこと、それと上下の打ち分けができていなかったことが不満だったといえば不満でした。相手のパンチをかわす技術はそれなりのものを持っていますし、スピードもある選手ですからもう少し攻撃力がつけば鬼に金棒という感じがします。いずれにしても中島のボクシングは守りに回ると強いですから、チャンピオンになると攻略が難しいだけに安定チャンピオンになるような気がします。
一方敗れた松本ですが、世界ランカーの安部悟に分の良い引き分けをしたということだけに、もう少しやるかと思ったのですが、良いところなく中島の術中にはまった感じがしました。中島のスピードが予想以上だったのかもしれませんが、あまりにも策がないという感じを受けました。中島のスピードを殺すためにもボディを攻めて欲しかったと思います。
セミファイナルですが、昨年、竹永英章(三迫)を負傷判定で下した堀江が登場。フィリピン人を相手に最後はボディで倒しましたが、もたついた試合運びで、今後に不安を残す内容でした。昨年の竹永戦も見てますが、もっと右ストレートを巧く当てていたように思ったのですが、何か全体に動きが重いように感じたこともありますが、攻撃にイマイチ迫力を感じませんでした。
8回戦は、ミニ・フライ級のランカー同士の一戦。日本タイトルに挑戦したことのある鈴木が6RTKO勝ちを収め、中島への挑戦権を獲得しました。試合は手数で鈴木、パワーで田中という展開で、最後は我慢比べという感じになりましたが、鈴木の手数が田中をねじ伏せたような試合でした。
4回戦6試合はすべて判定決着。2試合が引き分け、3試合がスプリット・デシジョンということで、実力伯仲の好試合と言いたいところですが、レベルの低い実力伯仲であって、ファンとして満足いくような試合ではありませんでした。
1999年1月23日:後楽園ホール
マカが強かったと言えばそれまでですが、大和にマカ対策があったのか疑問を感じた試合ではありました。試合は1Rのダウンがこの試合を決めてしまったと言っても過言ではないと思います。マカは風邪で体調が万全でなかったこともあって、早い回で終わらせる作戦だったようですが、いずれにしてもダウンを奪うまでのマカの攻めは、過去日本での4試合では見られなかったような迫力を感じました。ただ、試合後マカはダウンを奪ったことによって攻めがやや雑になって詰め切れなかったところを反省していました。2R以降は、マカの動きに大和がついていけない感じで、大和のパンチが空を切ったところに、マカの左右フック、ストレートがヒットするという展開が続きました。7R以降になると、マカもややスタミナ切れの感じで、ポイントは着実に稼ぐものの、KOチャンスは最後までありませんでした。終わってみればマカの巧さ、強さだけが目立った試合でした。中村が敗れ、川益も仲里もマカの牙城を崩せず、大和も相手にならなかったということは、日本でマカに勝てる相手はいないようにも感じました。マカにはもっともっと日本選手いじめをしてもらって、いつの日か日本の選手にそれを打ち破って欲しいと思いました。
敗れた大和ですが、1Rのマカの攻めに面食らった面はあったでしょうが、気持ちを切り替えて、攻めて欲しかったように思います。焦りもあったのでしょうが、パンチがことごとく空を切っていました。日本ではパンチを当てるのが巧い部類に入る大和が、これほどパンチをヒットできない試合を初めて見ました。相手の動きが速いことはわかっていたと思いますが、それをどうやって止めるのかということ見せて欲しかったように思います。
アンダーカードですが、6回戦では昨年の新人王準決勝で、引き分け敗者扱いとなった土屋が、ヨネクラ・ジムの榎と対戦、序盤こそスピードの乗った連打でポイントを奪ったものの、終盤失速して残り30秒でレフェリー・ストップ負け。新人王の時もそうでしたが、スタミナに難があることが露呈された感じがしました。もう一つの6回戦は、メイン同様1Rのダウンが勝負を決めてしまった試合でした。4回戦では最後に登場した上山が注目されていたようですが、ガードの甘さが気になりました。
1999年1月18日:後楽園ホール
3月にコウジ・有沢に挑戦することが決まっている平仲の再起戦&前哨戦は、フットワークを多用するフィリピン人ボクサーにてこずった内容の試合でした。平仲の試合を見るのはこれが6度目であるが、一番内容が悪かったように見えました。確かに相手のゴンサレスが倒されないボクシングしたこともありますが、それにしても攻めに工夫がなかったように思います。それと不用意に相手の右を食っていたのも気になりました。今回のゴンサレスは逃げの中でのカウンターだったので、あまり強い右ではありませんでしたが、攻撃的なコウジとやった場合、右がまともなカウンターになってそれで試合終了ということも考えられます。スーパー・フェザー級に上がってから、やや打たれ脆さが目立ってきているだけに心配な点だと思います。ただ、ゴンサレス陣営のマネージャーは、平仲のパンチ力、ロープへの詰め方を誉めていました。ゴンサレスも試合後、平仲のパンチで右目がチカチカすると訴えていたようで、平仲のパンチの強さは認めていました。
セミファイナルは、協栄ジム期待の佐藤が元日本チャンピオンの新井と対戦。勢いの差と言えばそれまでですが、佐藤が7Rレフェリー・ストップ勝ちを収めました。勝った佐藤ですが、毎ラウンドのようにチャンスを迎えながら新井の頑張りに、なかなか詰め切れなかったところに物足りなさを感じました。3R以降はいつKOしてもおかしくない状況だっただけに、試合を終わらせる時にはきっちり終わらせることができるようにならないと、念願の日本チャンピオンには手が届かない感じがしました。ただ、詰めというのは教えられるものではないだけに、あとは試合の経験を活かして身につけて欲しいと思います。一方、敗れた新井ですが、頑張りはさすが元日本チャンピオンだと感じましたが、やはり選手としてはもう限界であると思います。これで4連敗ですから、ルールで120日は試合ができないことになりますが、これ以上みじめな姿をファンの前にさらす必要はないと思います。新井が現役続行を主張しても絶対引退させるべきです。
その他の試合では、96年の新人王、中橋が、吉野やバサンと対戦したアバスタスと8回戦を行い判定勝ち。こちらも毎ラウンドのようにチャンスを迎えながら、結局ダウンすら奪えない状況、ウエルター級の選手にしてはパンチがないだけに、今後これ以上ランクアップができない感じを受けました。器用な感じもありませんが、何か絶対的な武器を覚えて欲しいと思いました。
1999年1月17日:WOWOWTV観戦
タイソンが1年7ヶ月ぶりの再起戦をKO勝ちで飾りました。KO勝ちしたといってもかつてのタイソンだったかというと以前のタイソンに戻ってはいなかったように思います。ただ、96年にリング復帰した時よりは出来が良かった感じを受けました。試合は5R終了間際のタイソンの右ショート・フック1発で勝負が決まりましたが、それまでのタイソンの出来は決して良くなかったと思います。以前に比べてガードが低くなったところと、体の切れのなさが気になりました。ただ、今回の場合はKOで勝つことができたということが、タイソンの今後にとっていい方向に向かうような気がします。ブランクがあったとはいえ2年半近く勝星から遠ざかっていただけに、色んな面で不安を感じていたと思いますが、KOで勝ったということで、不安がひとつひとつ取り除かれるように思います。タイソンにとって一番大切なことは自信回復でしょう。今後KO勝ちを続けることができれば、10年前のタイソンに戻らないにしても、ヘビー級戦線を勝ち抜いていくタイソンが見れるように思います。この1試合だけではなく、これから行われるであろう2戦目、3戦目のタイソンの戦いから目は離せないと思いました。1R終了間際の小競り合い、それを引きずって2Rに減点を受けるあたりまだ精神的に安定していないのかもしれませんが、それも勝ち続けることによってなくなるように思います。
さてアンダー・カードですが、まずIBF世界スーパー・フェザー級タイトルマッチですが、日本での見方はモリナの勝ちを推す声が多いようですが、私のTVでの採点は116−111でガルシアでした。もちろん見方によって採点が変わりそうなラウンドは4つほどありましたが、ガルシアの攻勢点を取ってガルシアの勝ちと見るのが妥当な試合だと感じました。モリナもベテランらしい戦い方を見せましたが、反撃が遅かったこともありますが、中盤をガルシアに支配されてしまったのが、最後の最後まで響いた感じを受けました。勝ったガルシアですが、パワーはありそうですが、もう少し細かな連打ができないと今後勝ち続けるのは難しいように思います。畑山と比較してもパワーではガルシアに分がありそうですが、スピードとテクニックでは畑山の方が一枚上手だと思います。
また、もう一つ放送されたWBC米大陸ライト級王座決定戦ですが、元WBC世界フェザー級チャンピオンのゴーヨ・バルガスが、手数で不敗のアフリカン、ベン・タッキーを押し切った試合でした。バルガスの体やボクシングを見るとライト級では今後どうかなと感じました。取りあえず、WBC世界スーパー・フェザー級チャンピオンのフロイド・メイウェザーへの挑戦が予定されているようだが、パンチの切れや全体的なスピードが出ないとタイトル奪取は苦しいように見えました。一方、敗れたタッキーですが、せっかくプレッシャーをかけているのですから、もっと手数を出せば結果は変わったと思います。評判ではもっと手数の出る選手と聞いていたのですが、計量に失敗してスタミナに不安があったのかもしれませんが、手数がない分、前に出たことが裏目に出た感じがしました。
1999年1月11日:後楽園ホール
6月に日本タイトルの王座決定戦出場が決まっている松倉の前哨戦は、KO勝ちを収めたものの、松倉らしさが見られなかった試合でした。この試合、相手のサレスがウエイト・オーバーでグラブ・ハンデがあったようで、試合としてどうこういう以前の問題があるように思うが、いずれにしても以前の松倉なら今回程度の相手であれば、2Rで試合を決めていたはずだ。慎重に戦ったと言えばそうなのかもしれないが、右のフックにしても左のストレートにしても、以前の切るような感じがなくなって、押し出すような打ち方をしているのが気になりました。踏み込みが以前に比べて鋭さに欠けて、どうしても距離が合わなくなっていることもあるのかもしれませんが、6月の相手がスピードのある柳光ということを考えればやや不安が残った内容でした。6月までに全体的な切れ味がどの程度戻るかによって、勝敗は大きく変わるような気がしました。
セミファイナルは、昨年11月、今岡の持つOPBFタイトルに挑戦して負傷判定負けをした五月女の再起戦でしたが、こちらはダウンを奪いながら攻めきれず、挙げ句に最終ラウンド、油断から逆にダウンを奪われて青息吐息の判定勝ち。再起戦とはいえ、ちょっとお寒い感じの試合でした。上ばかり狙って攻めすぎ、もう少しボディを攻めていれば倒せた試合だったと思います。
もうひとつの10回戦は、97年度のフェザー級新人王、松信がフィリピンのランカーに3RTKO勝ち。パンチの強さは目立つものの相変わらずガードが下がるため、相手のパンチをまともに貰う場面も・・・。スリリングな試合は見れますが、いつまでも危険と背中合わせの試合をしていては、なかなかランキングに入って活躍できないように思います。松信には、もう少し落ち着いて戦うことを覚えて欲しいと思います。
1999年1月9日:後楽園ホール
坂本の再起戦は、2階級上のフィリピン・チャンピオンに完勝しました。対戦相手が変わったこともあって、調整が巧くいくのか心配しましたが、非常に落ち着いた戦い方だったように思います。相手は2階級上の選手で、かなり減量も苦しかったようで、動きが悪かったこともありますが、相手の動きが良く見えていたように思います。ただ、相変わらずパンチの大振りが目立ったのと、直線的な動きで相手を攻めようとしているのが気になりました。今年の秋には3度目の世界挑戦を考えているようですが、前と同じボクシングでは同じ結果になるように思います。 セミファイナルの萩原vs本望戦ですが、本望の頑張りは評価できますが、萩原の出来が良くなかった試合でした。ボクシングの組み立てが出来なかっただけでなく、この試合で何をしようとしたのかが感じられませんでした。こんな出来では日本チャンピオンは厳しい感じがしました。萩原が良い時は、多彩な右で相手をコントロールしますが、今回の試合では右が全く使えていませんでした。右の出ない萩原は恐くないです。相手がノーランカーだけに、簡単に片づけようとしたのかもしれませんが、相手が誰であっても、自分のボクシングを忘れないで欲しいと思います。一方、敗れた本望ですが、相変わらずパンチがオープン気味なのと、手打ちのところが気になりました。パンチがない選手とは思いませんが、KO勝ちが少ないのは拳の握りが甘いところにあるように思います。スタミナのある選手ですから、もう少し攻撃力がつけば、日本ランクに入れるように思います。
その他のアンダーカードで目立ったのは、6回戦の榎。パンチのスピード、切れとも申し分ないように思います。この試合がプロ入り2戦目の選手ですが、今年中に日本ランキング入りして、来年にはチャンピオンということも十分考えられるように思います。非常に面白い存在になりそうです。