
1999年7月31日:TV観戦
戸高が25年ぶりにベネズエラ人世界チャンピオンに勝って、日本の世界チャンピオン0を34日間で終止符を打ちました。
試合は立ち上がりから戸高が、中間距離からの右ストレートで攻勢を取りました。そして2R終了間際、その右がロハスの顎をとらえてダウンを奪いました。試合の流れがかわりかけたのは4R。ロハスが得意の左で先手を取るようになり、戸高がまともにパンチを浴びるようになりました。しかし、戸高の右には勢いがあり、ロハスが完全にペースを握るまでにいきませんでした。4Rから8Rまでの中盤は一進一退といった感じで、ポイントがどっちに流れているか微妙なラウンドが続きました。9Rになると戸高が再び息を吹き返し、10Rにはロハスをロープに吹っ飛ばすなど、ポイントを挙げました。最後の2Rは、戸高にとって初体験ということもあり、またロハスも世界チャンピオンとしての意地をみせてポイント挽回しました。判定は2Rのダウンがものを言って、1点差が2人、2点差が1人という際どい差ながら3−0で戸高の手が挙がりました。
戸高の勝因は何と言っても、前半にポイントを挙げたこと。最近のロハスは、終盤失速する傾向があり、逆に戸高は中盤から終盤にかけて追い上げていくタイプだっただけに前半を互角でいけば勝つチャンスはあると思っていました。実際の試合は、戸高が積極的に攻めポイントを挙げ、中盤から終盤にかけてロハスが追い上げるという予想とは反対の展開になりましたが、結果的には3Rまでの貯金が大きくものをいったという試合でした。勝因のひとつは前半にある程度スタミナを使って攻めたことでしょう。それと今回の戸高は、前回の戦いからロハスに対する自信があるように見えました。その現われが、中間距離から右のストレートやフックだったように思います。しかし、右にこだわりすぎのところもあり、もう少し左のジャブや右のアッパーを使えば、もっと楽な試合展開になったように思います。また、強い右を打とうとするあまり、バランスが悪かったのも気になりました。それと、攻められた時、ブロッキングで相手の攻めを防ぐのではなく、身体を振るなどの工夫も欲しかったように思います。勝ったと言っても課題も多くあった試合でした。次がヨックタイになるのか名護になるのかはわかりませんが、戸高のボクシング完成させるためには、スタミナのさらなる強化が必要だと思います。
一方、日本人選手に初めて敗れたロハスですが、戸高に対する苦手意識というかやりにくさが前半の失点につながったように思います。ロハスにしてみれば、戸高が前回同様、接近戦で攻めてくると思っていたのが、中間距離から強い右を打ってくるなど、予想外の攻めに戸惑いを感じていたように見えました。中盤からの攻めはさすがでしたが、戸高の右に最後まで苦しみ、追い上げも実らず対日本人選手7戦目で初めて黒星を喫しました。それと傷は小さく、あまり出血はしなかったものの1Rに切った右目の傷を、レフェリーがバッティングと判断せず、流してしまったことがロハスにとっては不運だったかもしれません。負ける時はこんな感じなのかもしれませんが、今回のロハスは運にも見放されたように感じました。
セミファイナルでは日本フライ級1位に再浮上した浅井が、昨年7月敗戦を喫したスズキ・カバトの実弟、ラウル・カバトを右のストレートと左のボディ・ブローで2度倒し、9ヶ月ぶりの試合を2RKO勝ちで飾りました。カバトがウエイト・オーバーでグラブ・ハンディをつけられるなど、調整が出来ていなかったことを割り引いても、パンチの切れ味が増したように見えました。力むと顎の上がる悪い癖は時折、顔を見せましたが、パンチにメリハリをつけることが少しわかってきたようで、これから先が楽しみという感じがしました。
その他の試合では、ピーター・イシマル、アイザック・セントワのウガンダ・コンビが共に再起戦をKOで飾り、存在をアピールしました。特にセントワは、次の試合で関西のホープ洲鎌との対戦が予定しているだけに、復調具合が気になりましたが、回転の速い連打が健在だっただけに、ウィラポンvs辰吉戦の前座で行われる洲鎌との試合は面白いと思います。また、37歳の定年を迎えたザ・武蔵が、フライ級に転向した中野と対戦、4Rに中野の右瞼を切り裂きあわやTKO勝ちという善戦は見せたものの、中野のスピードについていけす5RTKO負け、最後の試合を勝利で飾ることができませんでした。
1999年7月26日:後楽園ホール
川益改め瀬川の再起第一戦は、新鋭の鈴木に思わぬ苦戦となりました。正直なところこの試合は瀬川が圧勝するかと思っていました。理由は、瀬川がケガから1年9ヶ月ぶりに再起した昨年6月の試合では、試合勘が鈍っているようなところが感じられなかったことから、今回は11ヶ月という間隔ならば問題ないと思えたこと、バンタム級では減量に苦しんでいた瀬川だが、今回はフェザー級だということで、減量から解放されパワーが増すだろうと思っていたこと、そして対戦相手の鈴木は、一発のパンチはあるが、テクニックで相手をかわすことのできないタイプで、瀬川にとって一番やりやすい相手に思えたことでした。しかし、いざ試合が始まると、鈴木の懐が予想以上に深かったのかもしれませんが、距離感が悪く、パンチの大振りが目立ち、バンタム級時代から見れば8ポンド(約3.6kg)のウエイト増が、瀬川の持ち味であったスピードを奪っていたという試合になってしまいました。通用すると思えたパワーも、フェザー級では平均的な感じで、鈴木に最後まで決定的なダメージを与えるまでに至りませんでした。しかし、最後はベテランの巧さとでも言いましょうか、最後にポイントを奪って勝つあたりは瀬川に一日の長を感じました。今回の試合だけでは今後を占うのは難しいところもありますが、瀬川が今回くらいの出来ならば、ランカークラスの選手には勝つチャンスが大アリだと思います。瀬川自身、このウエイトで戦うことに慣れていないこともあるでしょうが、持ち味のスピードがなく、通用すると思えたパワーも、このクラスでやっている選手の中では、平均的なものということになれば、スーパー・フェザー級で普段戦っていて、今回フェザー級に落としてエントリーした水島あたり(準決勝で対戦)には、今回以上の苦戦をするように思います。とはいうものの、今回は色んな意味で手探りの部分もあったことでしょうから、勝ったことが最大の収穫だったかもしれません。瀬川自身が、今回の戦いぶりをどのように分析して、次にどんな試合を見せるのかには注目したいと思います。
B級トーナメントのバンタム級とフェザー級の準々決勝各4試合ですが、バンタム級では中島、大沼、久米、伊藤の4選手が、準決勝進出を決めましたが、どの選手も決め手がなく、誰が決勝に進出してもおかしくない状況だと思います。次の試合の各選手のコンディションが勝敗を大きく左右することでしょう。フェザー級は、図抜けた存在に思えた榎が、前回の試合に続いて今回も苦戦しました。何とか最終の5Rにレフェリー・ストップ勝ちを収めたものの、減量が苦しいのか、あるいは秋田出身ということで夏場の試合が苦手なのかわかりませんが、いずれにしてもデビューから4戦目まで見られた切れがなくなっていることが気になりました。自分自身も切れのなさを感じているからかもしれませんが、クリンチをしてきた相手に対し、投げ飛ばそうとするなど、イライラがあるように感じました。榎以外では、増田、永田、斉藤が準決勝進出を決めましたが、その中では昨年の東日本新人王の永田が、他の2人より一歩抜け出ている感じがしました。
1999年7月19日:後楽園ホール
世界タイトル挑戦がなかなか決まらない名護が、世界タイトル挑戦を痛烈なKO勝ちでアピールしました。
試合は立ち上がりから名護得意の右フックと左ストレートが的確にヒットして、会場からは「1Rで決めるな!」という野次が飛ぶほどでした。2Rも1Rとほぼ同じような展開でしたが、3Rに入ってマグシポックが変則的な動きで前に出た一瞬のスキに、名護の左ストレートが決まってダウン。カウント9で再開となり名護は一気に詰めに出て、最後は強烈な右フックが決まってマグシポックをKOしました。試合を見る限りでは、名護が日本で世界チャンピオンになれる第一候補ということに誰も異論はないと思います。課題とされている左で最初にダウンを奪ったことは、今後の試合でも自信になるでしょうし、ボクシングに幅ができたということでは今後が益々楽しみと言えるでしょう。攻撃面では試合ごとに成長を感じる名護ですが、気になるのはディフェンス面で、相手が攻めてくると真っ直ぐ下がる癖が抜けきらないのが世界レベルで考えると不安を感じます。今までの試合では打たれ強さを試されたことがない名護だけに、パンチに対する耐久力がどれだけあるかわかりませんが、ストレート系のパンチを真っ直ぐ下がってかわすのは危険すぎるように思います。メキシカンのようにストレートが伸びてくる選手とやった場合には思わぬ苦戦をするように思います。よく名護は世界チャンピオンになれるかという質問を受けますが、世界チャンピオンというものは、実力もさることながら、運というものがなければなれないものだけに、名護が強い運の持ち主であることを祈りたいと思います。
セミファイナルでは日本ランカー諸岡が、貫禄を見せてアンドレイ・文太に判定勝ちを収めました。勝った諸岡ですが、何度も倒すチャンスがありながらダウンを奪えませんでした。日本ランキングは常に上位にいる諸岡ですが、最近の試合は詰めの甘さが目立ちます。今のままでは、チャンピオンになるのは無理だと思います。一方敗れたアンドレイですが、強いパンチがあるもののスタミナ不足を解消しないと、ランキングに復帰することも難しいように思います。最近、対戦する選手は、アンドレイのスタミナ不足を知っていて、前半を我慢すれば勝てるというボクシングをしています。強いボクサーになるための第一条件である強いパンチを持っているのですから、それを生かすためにもしっかり走りこんでスタミナをつけて欲しいと思います。
その他の試合では8回戦に登場した昨年の東日本スーパー・ライト級新人王佐々木が、日本ランカー馬場を3Rで倒しランク入りを確実にしました。サウスポーの馬場に対し、右ストレートを効果的に決め試合をリード、左のフックで最初のダウンを奪い、最後は右のフックを決めてKO勝ちとなりました。サウスポーの相手に対して、右のストレートが素直に伸びていたのには関心しました。あのストレートが打てるようだとサウスポーには強いと思います。ただ、これからランキング上位に上がってチャンピオンを目指すというのであれば、相手に打たせないこととスタミナをつけることをが大切でしょう。決して打たれ強いほうの選手ではないですし、スタミナを考えないで戦うタイプの選手だけに、これからはそこをつかれるはず。攻撃は最大の防御ではありますが、これからは頭を使ったボクシング(別の言葉で言えば駆け引き)を覚えることが課題だと思います。敗れた馬場ですが、相手に合わせすぎたと思います。相手の佐々木が予想以上に攻めてきたので度肝を抜かれたのかもしれませんが、ランキング・ボクサーとして慌てず騒がず、相手をもっと見ながら戦えば勝てた試合だった思います。
6回戦には白井・具志堅ジム期待の根間が、4戦目にしてフィリピン・ボクサーと対戦、1R開始早々にダウンは奪ったものの、その後はガスタドールのボディ攻撃に手を焼き、やっとのことで判定勝ちを収めました。ダウンは奪ったもののパンチの切れがなく、ボディ打たれてスタミナを失うなど今後への課題が多く見られた試合でした。
1999年7月12日:後楽園ホール
コウジ・有沢が、パンサー・柳田を右ストレート一発でKOして念願の世界タイトル挑戦が見えてきたという試合を見せました。
有沢vs柳田は昨年12月、杉田竜平のタイトル返上で空位となった王座を賭けてグローブを交え、有沢が判定勝ちを収めていましたが、今回は柳田のパンチ力に期待する声も多く、白熱した打ち合いが期待できる試合でした。チャンピオンの有沢はタイトル奪還後、今年の3月に平仲信敏にダウンを奪われたものの後半追い上げて判定勝ちを収めていたのに対し、柳田は有沢戦後、調整試合を挟まず再戦を挑むということになりました。
試合は1Rこそ、積極的に前に出た柳田がポイントを挙げましたが、2Rからは有沢の一方的展開となりました。特に3R開始早々に有沢の放った右のストレートから左のフックの返しは強烈で、一瞬柳田の顎が割れたように感じましたが以降、柳田の勢いが完全になくなってしまいました。有沢は細かく手を出しながら時折、強い右のフック、ストレートを決めて試合の流れを完全に手中に収め、柳田を攻め続けました。一方の柳田ですが、有沢のプレッシャーにペースを握られて後手に回ってしまい、何もできないという感じがしました。そして7R中盤、有沢の左ジャブで柳田の上体が浮いたところに、強烈な右ストレートが決まり柳田がダウン、レフェリーはカウントを取らずに試合をストップしました。
今回の有沢ですが、非常に出来が良かったです。上体を上下左右に動かしながらプレッシャーをかけ、細かく手を出しながらパンチを上下に強弱をつけて打ち分けるという理想的な試合を行ったと思います。こんなに動く有沢を見たのは久しぶりという感じがしました。世界タイトル挑戦という声が聞こえていますが、今回くらい動けるのであれば、ラクバ・シム相手であれば面白いと思います。ただ、やはりシムは打ち合いに強い選手だけに、もう少し打たれない工夫をして欲しいです。
敗れた柳田ですが、前回の対戦を踏まえて打ち合いに出たのかもしれませんが、作戦ミスだったように思います。右のストレートのカウンターに威力のある選手だけに距離をとったほうが、自分のペースで戦えたように思うのですが・・・前回と違って今回は挑戦者という立場を考えての戦いだったのかもしれませんが、かえって有沢ペースにもっていかれてしまったように思います。それと前回の試合から7ヶ月間、調整試合を挟まずに挑戦したことが、必ずしも良い方向に向かなかったように思います。実戦感は鈍ってなかったように思いますが、逆に入れ込み過ぎて力みが出ていたように思います。力みが出た分、有沢のパンチでのダメージを前回に比べて大きく受けた感じがしました。敗れたと言っても実力的には申し分ない選手だけに、しばらく休んで再起して欲しいと思います。
セミでは昨年のA級トーナメントで苦杯をなめた柳川が、日本ランク入りを目指して原島と対戦。8RTKOで原島を下して日本ランキング入りを確実にしました。今回の試合ではクラスをフライ級から1階級上げたことで、パワーが以前よりついた感じはしましたが、その分ボクシングが荒くなっていました。打たれ強い感じのしない柳川だけに、丁寧なボクシングで打たせないことに重点を置くべきだと思います。敗れた原島ですが、ボクサーと素質の違いと言えばそれまでですが、何かしらの工夫があっても良かったように思います。あまりにも真正面から行きすぎたように思います。パンチがあるとかテクニックが優れているというような特徴がなく、粘りだけで勝っていくのはランカーともなれば難しいと思います。
1999年7月11日:清水マリンビル
日本タイトル挑戦を射程圏内にしている三津山ジムの日本ランカーが、前哨戦を勝利で飾りました。
メインに登場した村越ですが、日本でセレス・小林、松倉義明にKO負けしているマーロン・テラドと対戦、1Rにダウンを奪ったあと、3Rに左右のボディ・フックで10カウントを聞かせ、3連続KO勝利となりました。過去2試合はいずれも1RKO勝ちということで課題が見えない試合が続きましたが、今回の試合では左フックに頼りすぎる悪いクセが顔を覗かせました。村越の左フックは一発必倒の破壊力を持っていますが、上位ランカーがこのパンチを簡単に浴びるとは思えません。力んでしまってバランスを崩して不用意にパンチを浴びる場面もあり、無用なダメージを受けてしまうことは避けるようにして欲しいです。今回の相手のテラドにあまり強打がなくて助かりましたが、いくら耐久力に自信があると言っても、パンチをまともに浴びることは気をつけるべきだと思います。力まず流れの中で、この左フックを決められるようになれば、念願の日本タイトル奪取も夢ではないと思います。
セミファイナルでは、日本ミニマム級チャンピオン、鈴木誠(野口)に指名挑戦が決定的な飯田大介が、魚森と対戦、3連続KO勝ちは逃したものの、安定した戦いぶりで3−0の判定勝ちを収めました。正直な話今回対戦した魚森と鈴木では、ボクシング・スタイルが全く違うので、鈴木が相手と想定した場合参考になるところが少なかったです。今回の戦いで気になったのはサウスポーの魚森の左ストレートを簡単に浴びていたことですが、鈴木はオーソドックス・スタイルですし、魚森に比べてリーチもないですから同じようなパンチを浴びるとは思えません。ただ、やや強引に攻めに行くところがあり、鈴木戦でそれをやると、鈴木の左右フックと右アッパーの餌食になるだけに、左のジャブと右ストレートで距離を取って戦う気持ちを持って欲しいと思います。そのために、ロードワークを中心にスタミナ強化を図ることがこれからの課題でしょう。
その他の試合では、最近進境著しい寺本が、岡崎ジムの森下の攻勢に苦戦。有効打では勝ったものの、7Rのダウンが響いて1−0の引き分けとなりました。今回苦戦の原因は、前に出てくる選手に対して迎え撃とうとしたところで、ジムの関係者の話では村越とのスパーリングで互角に打ち合えるようになってパンチに自信がついたことで後手に回ったのではないかということでしたが、前に出てくる選手に対してロープに下がると相手に勢いが出るので、相手の戦い方で自分のボクシングを変えることが必要でしょう。今回は森下にパンチ力がなかったので助かりましたが、今のような戦い方を続けるようだと、ランカーなどと対戦した場合には勝ち上がっていくのは難しいと思います。
1999年7月3日:後楽園ホール
小林が寺尾のタフネスに手を焼いたものの、9RTKO勝ちで2度目の防衛に成功しました。
今回の小林ですが、初防衛戦と違って、勝つことは当たり前で内容が求められる試合でしたが、きれいなKO勝ちを狙い過ぎたのか、一方的な内容でしたが、今一つすっきりした感じがしませんでした。前回の石原戦の大きな左フックで勝負を決めたことが頭にあったのか、右のパンチが少なかったように思います。右を使って自分のリズムをつかめば、もう少し早いラウンドで決着がつけられた試合でした。今後、OPBFタイトル、世界タイトル挑戦を目指すには、右のパンチの使い方がポイントになるように思います。当面はOPBFタイトルでしょうが、チャンピオンのメルビン・マグラモは、秋田勝弘との王座決定戦のビデオを見る限りでは、一発パンチはないものの接近戦になるとしつこく手数の出る選手だけに、小林の右のパンチを使って突き放すボクシングをできないとマグラモの術中にはまってしまうことでしょう。右のパンチを磨けば、もっと左のパンチが生きてくるでしょう。小林は日本人のこのクラスの選手にしてはパンチがあるだけに、右のパンチが良くなればかなり楽しみな感じがします。
一方敗れた寺尾ですが、あれだけ打たれながら9Rまで粘ったタフネスぶりには驚いたというよりあきれてしまいましたが、やはり攻めが単調すぎたと思います。時折左の強いボディ・ブローを打っていましたが、ほとんど小林にブロックされてしまい効果的な攻めがほとんどありませんでした。それと、先日ジェス・マカに敗れた岡本泰治にも同じような欠点があったのですが、パンチを打つ時に動きを止めてしまうため、どうしても連打ができないところがありました。一発のパンチがある選手であればそれでもいいのかもしれませんが、寺尾くらいのパンチでは一発KOは難しいでしょう。それが10勝中KO勝ちが1しかない理由だと思います。年齢が年齢だけに再起するのかどうかわかりませんが、もし再起するならば、もっと細かな連打を覚える必要があると思います。細かな連打の中でパンチにメリハリをつければもっとKO勝ちできる選手だと思います。
セミファイナルは、国際ジム期待の松浦が、3月に世界ランカー、パニヤン・奥田に善戦した久保と対戦。久保のバッティングで松浦の目尻が切れて、7R負傷判定で松浦の手が挙がりました。松浦の出来が良かったというより、久保が3月にパニヤンに善戦した同じ選手とは思えない感じの試合でした。松浦も相手の久保が接近戦を挑むことがわかっているはずなのに、左のジャブで突き放そうとしないで、相手に合わせるようなボクシングをしていました。軽くてもいいですからもっとワンツーを使って攻めれば、もっと楽な試合になったと思います。松浦はパンチ力よりテクニックで攻める選手だけに、一発を狙うのではなく、連打で相手のディフェンスを崩すボクシングを覚えて欲しいと思います。敗れた久保ですが、攻めにもディフェンスにももう少し工夫をして欲しかったように思います。あまりにも単調で一本調子すぎるのが気になりました。
その他の試合では、元日本ライト・フライ級1位の中沼が、リングネームをトラッシュ・中沼から本名の中沼正樹に戻して2年ぶりにリング復帰。復帰戦を4RTKOで飾りました。ブランクもあったので試合勘が心配でしたが、強い左右フックを的確に決めて濱口を圧倒しました。ただ、攻撃に神経が集中していたこともあって、ややディフェンスが雑だったのが気になりました。これでランキング・ボクサーと戦った時には、今回のような雑なディフェンスでは、すこし不安があります。いずれにしても、復帰戦でこれだけできたことは自信となるでしょうから、次ぎの試合は楽しみです。また、帝拳の池森も10ヶ月ぶりにリングに登場。以前に比べて強引なインファイトで格下の木嶋に3−0の判定勝ちを収めました。以前のボクシング・スタイルを変えたようですが、打たれ強くない池森が、今回のようなボクシング・スタイルで今後も戦うとすれば、ランキングに復帰して上位に進出できるのか疑問を感じます。久しぶりの試合ということで、多少試合勘が鈍っていたのかもしれませんが、ちょっと気になる戦いぶりでした。