1999年3月28日:TV観戦(J−SPORTS)

 4R負傷引き分けに終わってしまいましたが、戸高は予想以上の善戦をしたと思います。ロハスはこれが6度目の日本での試合ですが、一番らしさの出なかった試合のように思います。戸高はロハスをよく研究していました。1Rから左をついて前に出る戸高の戦法に、ロハスは戸惑いに近いものを見せていました。3Rくらいからは、接近戦を挑もうとする戸高に、左右アッパーを決めていましたが、勢いのあるパンチとは言えず、これなら戸高にチャンスがあるかなと思いました。しかし、3R終了間際、故意でないバッティングでロハスが負傷して、戸高は1点減点されました。4R開始早々、ロハスも短期決戦を覚悟したかのように前に出はじめました。これから打ち合いが見られそうなところになってレフェリーがロハスの傷をドクターに見せる。ドクターは続行OKを出し再開されたが、2分過ぎにレフェリーが試合を止め、両選手にコーナーに戻るよう指示、立会人と協議を始める。協議中にロハス陣営は、試合停止としてグローブの取り外しにかかるが、本田・帝拳会長らがひとまず制止する。結局レフェリーの判断が尊重されて、立会人も試合停止を了承、立会人と小島・JBC事務局長がマイクを持って場内説明を行い、4R2分18秒でテクニカル・ドローという形で試合終了となりました。
 ストップはレフェリー権限ではありますが、ストップするにしてももう一度ドクターに見せて、自分の判断が正しいことを裏付けてからストップすべきではなかったかと思います。TV放送では、傷は深くないというレポートがあったあとだけに、ちょっと唐突なストップという印象を持ちました。いずれにしても、戸高はよく戦っていたと思います。どうやら3ヶ月以内の再戦が濃厚のようですから、次の試合も頑張って欲しいです。ロハスも10分ちょっとの時間グローブを交えましたから戸高のことは少しわかったことでしょうから、今回と同じような戦いをするとは思えません。しかし、もっとあったと思えた実力差が、そんなにないことはある程度証明されたと思います。
 セミファイナルには、ジョー・小泉氏がビジネス・マネージャーを務めるOPBFスーパー・ミドル級チャンピオンの崔龍碩(韓国)が8回戦で登場しましたが、こちらもやや不可解なレフェリーの裁定で崔の負傷判定勝ちとなりました。ただ、試合がストップとなる6R以外は、長いリーチを生かしたワンツーで試合をリードはしていました。陣営のトレーナーも認めていましたが、重量級の選手にしては一発のパンチ力に欠けているのが気になりました。また、6Rのダウンでもわかるようにやや打たれ脆いところもあるように感じました。問題の6Rは、レウィーの左フックが崔の右目付近にヒットして、崔が腰を落とすようにダウンすると同時に出血が見られました。レフェリーはダウンのカウントを取る。崔は立ち上がって再開後、レフェリーはすぐ試合を止めてドクターに見せる。ドクターは試合続行は不可能と診断。流れからすれば、レウィーのTKO勝ちと思いきや、レフェリーは傷はバッティングによるものと裁定し、結局5Rまでの採点で勝負が決まることに・・・。ルールだからということになりますが、レウィーが奪ったダウンが意味のないものになってしまいました。不運としか言えませんが、こういうケースを目の当たりにするとダウンや減点は、何とかそれまでの採点に反映できないかなと思います。ある意味、WBCのように途中で停止となったラウンドも採点に入れるようにしないといけない感じがしました。

1999年3月24日:後楽園ホール 

 吉野が2年3ヶ月ぶりの復帰戦を1RKO勝ちで飾りました。ボクシング自体は左フックを主体に攻めるパターンは変わりませんでしたが、動き切れにはブランクを感じさせませんでした。このブランクが吉野にとってはいい意味での休養になったのかもしれませんが、コッジに敗れて再起して、OPBFチャンピオンになった頃よりはいい出来だったように思います。しかし、試合が僅か130秒で終わってしまったため、今後チャンピオンになって活躍できるのかと問われるとまだまだ未知数の部分も多く、この先2〜3試合見ないとわからないと思います。今後はスーパー・ウエルター級で戦うようですが、今回の出来が本物であれば、日本チャンピオンの大東にとって実績がある相手だけに脅威の存在になるように思います。
 セミファイナルには野口ジム期待の馬場が登場しましたが、こちらは2Rのダウンが致命傷になってノーランカーの加藤に判定負けを喫しました。ただ、私の採点では馬場の1ポイント勝ち。ジャッジがもう少し馬場にアグレッシブ・ポイントを与えても良かったように思います。試合は、1,2Rの馬場に固さが目立ち、正直言っていつ倒されてもおかしくないなとは思いました。3Rからダメージ回復の時間稼ぎもあったでしょうが、足が動くようになって徐々に馬場ペースにはなりました。ただ、2Rのダウンもあって踏み込みがやや甘かく、決定的なチャンスを作るところまでは出来ず、結局2−0の判定負けとなってしまいました。印象としては接近戦にやや難がある感じで、ショートレンジでのパンチでカウンターが取れないとこれから上は苦しいかなと感じました。一方、勝った加藤ですが、勝ったとは言え、2Rに奪ったダウンのあと攻めきれないのが見ていて歯痒さを感じました。これからランキング・ボクサーとして勝ち続けようとするならば、詰めを覚えてチャンスは逃さないボクシングをしないといけないと思います。ここ数試合見ていますが、詰めの甘さでKO勝ちを逃し、最後は僅差の判定勝ちという同じようなパターン試合もありました。1KO勝ちですが、ダウンを奪っているだけにパンチがない選手ではないと思いますが、スタミナにも問題があるだけに、チャンスでの詰めというのが加藤の課題ではないかと思います。

1999年3月23日:後楽園ホール

 名古屋のハード・パンチャー石井が、初登場の後楽園ホールで韓国チャンピオンを相手に、その実力を披露しました。今回の相手は申は昨年11月、バンタム級のハード・パンチャー岡本泰治(トクホン真闘)と対戦し、8RTKO負けを喫したものの、巧いボクシングで岡本を苦しめた相手だっただけに、石井がどんなボクシングで倒すかに注目していました。結果は2Rに申を2度倒してのKO勝ち、石井のパンチの強さが目立った試合でした。石井の試合は昨年12月のジェイク・カルテ戦も見ていましたが、その時は接近戦での連打が目につきましたが、今回はオーバー・ハンド・ライト一発でダウンを奪うなど、パンチの強さを見せつけました。2試合続けて見て感じた石井の良さは、右のパンチがナチョラルなタイミングで打てることだろう。今回の試合でも、最初のダウンは軽く打ち抜くような右で倒しました。このタイミングで倒せる選手の実力は本物です。あとは、懐が深く独特のリズムを持つ中南米の選手を相手にした時、そのタイミングが掴めるかだと思います。次ぎはメキシコの選手を相手に戦うようですが、次の試合でも倒せるようだと世界タイトル奪取も夢ではないと思います。ただ、問題点はディフェンスだと思います。上体の動きが固いので相手のパンチをまともに食う場面が見られる。常に細かく動くことを心がけて、相手のパンチを食わないようにすべきです。
 セミファイナルでは6月にOPBFタイトル挑戦が決まった冨が、元韓国ウエルター級チャンピオンと対戦しましたが、2Rにダウンを奪われるなどいいところなく敗れました。特にダウンを奪われた2R以降、相手のパンチを恐れて踏み込みができなくなってしまいました。それとタイトル奪取を目指すならもう少し気迫というものを見せて欲しかったですね。今回のボクシングを見る限りではタイトル奪取の可能性は限りなく0と言い切っていいように思います。地元の応援に発奮してボクシングが変われば話は別ですが、弱い選手との対戦で作られた選手というレッテルを貼られるだけに終わってしまうように思います。

1999年3月20日:後楽園ホール

 パニヤンの来日第2戦目は、勝つには勝ったもののノーランカーと世界ランカーの試合とは思えないものでした。とはいうもののパニヤンが苦戦したかというとそうでもないという不思議な試合でした。お互いのボクシングが噛み合っていなかったこともありますが、パニヤンの攻めにリズム感がなくしかも単調ということで、見ている方が飽き飽きするラウンドの連続でした。最初は世界ランカーの実力を見たいと思っていた観客も、途中からは久保の攻めに沸く始末で、どっちが世界タイトル挑戦を目指す選手なのかという声があちらこちらから聞こえてきました。今回のパニヤンを見て感じたのはロング・レンジでの打ち合いは強い感じがするものの、ショート・パンチが打てないので接近されると攻められないということでした。得意の左ジャブで距離がとれないとボクシングの組み立てができない欠点があるように感じました。久保がもう少しプレッシャーをかけられれば違う結果になったように思います。日本の選手では浅井勇登(緑)みたいなタイプの選手には弱い感じがしました。今回の試合を見る限りでは美味しい世界ランカーだと思います。一方、敗れた久保ですが、前半やや名前負けしていたような感じがしました。善戦と言えるでしょうが、相手が世界ランカーだけに前半から攻めて欲しかったように思います。
 セミファイナルでは、角海老宝石期待のハードパンチャー榎が、デビュー以来3試合連続の1RKO勝ちを収めました。榎のパンチ力を大したものですが、渡辺がちゃんと調整してきたのかと疑いたくなるような脆さを感じました。榎ですが、まだディフェンス面を試された試合がないだけに、打たれ強さなどはまだまだ未知数であることは間違いないです。ただ、今回の試合で気になったのは、前の2試合に比べて余裕を感じた分、ボクシングが雑になりはじめているように見えたことです。右ばかりを狙わず、もう少し丁寧なボクシングを心がけて欲しいと感じました。
 その他の試合では、帝拳ジム期待の矢澤が3RKOを収めましたが、デビュー当時に比べてパンチに切れがなくなった感じがしたほか、パンチをまともに食う場面がありました。素質的にはいいものを持っていると思いますが、身を入れた練習をしているのか疑問を感じました。今のままでは潰れてしまう危険があるように思いました。

1999年3月15日:後楽園ホール

 世界タイトル奪取の期待がかかる名護が、1年ぶりのKO勝ちを収めました。世界タイトルマッチが決まりそうで決まらないだけに、メンタル面でやや心配をしていましたが、その心配も必要なかった感じがしました。昨年3月に松倉を戦慄のKOで倒して日本タイトル獲得したものの、7月の村越戦10月の山口戦と名護自身の体調不良も手伝って決して出来が良くなかっただけに、今回どんな試合をするのか注目していました。8分あまりで終わった試合全般を通して目立ったのが名護のパワーでした。わけあって青コーナー下の最前列でこの試合を見ていましたが、また一回りパワーアップをした感じでした。右フックの威力はもちろんのこと、課題といわれていた左ストレートにもパワーが伝わるようになっていたあたりに名護の成長を感じました。3度奪ったダウンはいずれも右フックでしたけど左ストレートも使えるようになれば、攻撃の幅も広がるでしょう。攻撃面だけをみれば名護は十分世界に通用するように思います。ただ、しいて挙げれば飛び跳ねるようなフットワークがやや気になりました。試合後のインタビューで名護は、フェイントのなどの駆け引きが使えなかったと反省していましたが、フェイントが使いきれない原因のひとつがフットワークだと思います。もっとすり足になれば思うようなフェイントを使えるようになるでしょう。打たれることを極端に嫌う名護だけに、今のフットワークが変わるとは思えませんが、パワーを活かす意味でもすり足フットワークを覚えた方がいいように思います。
 セミファイナルでは協栄ジム期待の佐藤が、初めて外国人選手と対戦、ダウンこそえなかったものの大差の判定勝ちを収めました。一方的に攻めながらダウンも奪えずKOできなかったことに不満を感じる人が多いかもしれませんが、私から見れば、レフェリー・ストップ勝ちを収めた東條戦、新井戦より遥かに良い出来でした。特に前の2試合と比べれば、自分から攻めてチャンスを掴もうとしており、倒せなかったものの、これからに期待できる感じがしました。倒すことはコツですから、今回のようなボクシングをやっていれば自然にそのコツはつかめると思います。ただ、攻めに気を取られてディフェンスが甘くなるところがあったので、それは要注意でしょう。この試合の5R途中、安部レフェリーがリングサイドにいた福島泰樹氏の野次に、反論していたのはレフェリーとしてまずいと思います。安部レフェリーは、ガスタドールのノーファールカップが高いと言っていましたが、佐藤のパンチがローブローであったのは事実ですし、高いと言うなら下げさせるのもレフェリーの役割のはず、それを注意するなり、下げるようなアクションをせずに観客の野次に試合中に反論する行為は、レフェリーとして失格ではないでしょうか?

1999年3月14日:TV観戦(WOWOW)

 7年ぶりの世界ヘビー級タイトルの統一はなりませんでした。私の採点は115−113でホリフィールドの勝ちとなりましたが、採点を迷うラウンドがいくつもあっただけに、どっちの勝ちもありかなという感じがしました。
 まずホリフィールドですが、ルイスの懐が予想以上に深かったのか、序盤は距離感があわずに、ルイスの左ジャブから右ストレートという攻めを受けていました。ところが、KO予告をした3Rからは肉を切らせて骨を断つという戦法に切り替えてどんどん前に出るようになりました。5Rにはルイスの強烈な右がヒットしてホリフィールドがピンチに陥りましたが、中盤以降は有効打は少なかったもののホリフィールドがペースを支配していたように見えました。ホリフィールドの真骨頂とも言えるでしょうが、ルイスの強打を恐れず前に出る勇気には恐れ入りました。もちろんブロッキングも巧みでしたが、言われていたことではありますが、改めてホリフィールドの精神面の強さを見たような試合だったと思います。
 一方、ルイスですが、中盤以降やや消極的になりすぎたと思います。体格差を活かして序盤のようにもっと前に出れば、違う結果になったことでしょう。それと攻めがワンパターンというか、ホリフィールドが揺さぶりをかけたのに対して、攻めに工夫が感じられませんでした。元来器用な感じのしないルイスですが、今のままではホリフィールドの牙城は崩せない感じがします。ただ、右のストレートとアッパーには破壊力がありますね。それを活かす意味でも、左のジャブの使い方を工夫して欲しいように思います。
 いずれにしても再戦必至となりましたが、これからは気持ちの戦いとなるでしょう。ホリフィールドの精神面の強さは今回も見られましたが、これからは集中力が持続できるかがポイントになるでしょう。年齢的に連続してビッグ・マッチというのは苦しいかもしれませんね。ルイスの方は、相手を恐れないことが必要でしょう。次の試合こそ世紀の一戦かもしれませんね。
<My Score Sheet>

ホリフィールド
10
10
10
10
10
10
10
115
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
合計
ルイス
10
10
10
10
10
113

 セミファイナルのWBA世界ウエルター級タイトルマッチですが、ウエルター級の5強といわれているペイジですが、ちょっとパンチに頼りすぎだと思います。ディフェンスもよくないですし、ボクシングが雑すぎるように思います。正直なところ他の4選手と比較するとやや劣る感じがしました。それにしても、あの試合内容で、採点が119−108でペイジというのは酷すぎますね。せいぜい3ポイントくらいしか離れてなかったように見えたのですが・・・
<My Score Sheet>

ペイジ
10
10
10
10
10
10
10
115
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
合計
ガー
10
10
10
10
10
113

 もうひとつ放送されたIBF世界スーパー・ウエルター級タイトルマッチですが、こちらは実力差がありすぎたように思います。もう少し骨のある選手とやるところを見たかったように思います。

1999年3月8日:後楽園ホール

 コウジvs平仲戦は期待通りの好ファイトでした。採点については私は95−94でコウジの勝ちとなったものの、見方によっては違った結果になった試合だったと思います。
 試合ですが、コウジがダウンをした4Rまでは完全な平仲ペースでした。ところが5Rから一転コウジが試合を支配する展開で、結局最終ラウンドが勝負の明暗を分けた試合だったように思います。平仲陣営から見れば、中盤以降ペースは握られたもののダウンは取っているし、決定的なパンチは受けていないから最終ラウンドにダウンさえしなければ勝ちという計算があったかもしれませんが、立場的には敵地で戦っている挑戦者なのですから、最後にもうひとつ決定的なポイントを取るんだという戦いをしないといけなかったように思います。逆にコウジ陣営にしてみれば、ダウンも取られているし、ペースは取っているが決定的なチャンスを作れていないから、最後にダウンを取らないと負けるという気持ちが、勝ちにつながったように思います。
 コウジですが、前の柳田戦の出来が良かっただけに今回はイマイチかなという印象です。ただ、負けないという気持ちだけはいつにも増して強かったように思います。特にダウンを奪われたあとは別人のようなボクシングでした。本人も反省していた通り、パンチを貰いすぎてはいましたけどコウジの場合、ディフェンスにこだわると駄目な感じがしますので、肉は切らせるボクシングは仕方ないように思います。とはいうものの、ブロッキングだけではディフェンスに限界がありますから、足の使える選手ですので、前後左右へのステップを使って出入りを早くするようにすれば相手のパンチを食わなくなるように思います。
 一方、平仲ですが、4Rにダウンを奪ったあと、急に失速した感じを受けました。コウジのプレッシャーが強くなったこともありますが、5R以降足が動かなくなったように見えました。常に前に出る平仲が、あんなにロープを背にする場面を見た記憶がありません。ロープを背負っている分、パンチの威力もありませんでした。そのあたりが、ジャッジのポイントがコウジに流れた要因のように思います。スーパー・フェザー級でのタイトル挑戦は、これで3連敗ということになってしまいましたが、いずれもあと一歩のところまで迫っただけにあきらめがつかないかもしれませんが、年齢的にはこれが限界なのかもしれません。
 セミファイナルには去年のライト級新人王大嶋が、初めての外国人選手と対戦、3RKO勝ちをしたものの、時折ロングレンジでのパンチを浴びるなどディフェンス面に課題があるように感じました。

1999年3月6日:後楽園ホール

 3戦目のエリート挑戦者を責めるより、プロとしての意地を見せたチャンピオンを誉めたい試合でした。
 試合は7Rで決着しましたが、勝負を決めたのは1R開始早々に小林が決めた左フックだと思います。かつて、辰吉がサラゴサの左ストレートを1R早々に食ってペースを掴めず完敗した試合を思わず思い出しましたが、あのパンチで石原が自分のペースが乱したように感じました。それでも2,3Rは石原の強烈な左が小林を襲い、ポイントを奪いましたが、1Rの左フックの恐怖があったのかもしれませんが、連打ができませんでした。4Rに入ると、やや押され気味だった小林の左のフック、ストレートが石原を適確にとらえはじめ、さらにスタミナに難があると言われた石原のボディを攻めてペースを奪い返しました。そして7R、完全にスタミナを失った感のある石原に対して小林の左フックが面白いように当たり、最後は前に崩れるように石原がダウン。レフェリーはこれまでと判断して試合を止めました。
 まず、勝った小林ですが、プロの意地を見せたとも言えますし、相手の石原を研究し尽くしていたように思います。特に今回目立ったのは左フックとボディ・ブローで相手のスタミナを奪ったボディ・ブローは見事でした。ここ数試合あまり内容が良くなかった小林ですが、これで今後に期待ができるという手応えを感じた試合でした。
 一方敗れた石原ですが、これが3戦目という選手にすべてを求めるの酷かもしれませんが、左のパンチの強さは認めますが、それを活かすリード・ブロー、ディフェンスを覚える必要があると感じました。今回特に気になったのは、右のガードの甘さで、あれだけ下がっていると相手の左を簡単に受けてしまうように思います。本人がどの程度それに気づいているかはわかりませんが、もし下がったままで戦うのであれば、もっと上体を動かさないといけないように思います。それと日本タイトルを争う選手にしてはスタミナ不足です。スパーリングなどでは10Rをやったことがあるでしょうが、試合となるとまたペース配分も変わりますからそのあたりは経験で覚えるしかないのかもしれませんね。いずれにしても過去に4戦目で日本チャンピオンになった辰吉や平仲(兄)と比較すると、絶対的な強さというものを石原は持ち合わせていなかったということになるのかもしれません。ただ、負けて覚えるのもボクシングです。次からの石原がどのように変わるのかについては、チェックしておく必要があるかもしれませんね。素質的には小林に劣っているわけではありません。長嶋健吾選手も、デビュー2戦目で喫した敗戦を糧にして強くなっています。石原にはまだまだチャンスがあると思いますので、この敗戦を活かして欲しいと思います。
 セミファイナルには日本スーパー・バンタム級2位の福島学が登場。1階級下のフィリピン1位の選手を、5Rボディで沈めました。相変わらず欠点もないが特徴もないというそつのないボクシングを見せましたが、タイトル奪取には何かこれといった武器が欲しい感じがしました。チャンピオン・クラスと戦うにはボクシングが正直すぎるのが気になります。今のままでは、真部クラスの選手には勝てないと思います。
 もうひとつの10回戦は、昨年のB級トーナメント優勝者の松浦が、日本ランカーに初挑戦しましたが、8Rに奪われたダウンが決め手となって判定負け。ランカーの壁に泣いた試合でした。勝った川端ですが、8Rにダウンを奪った時に見せたアッパーからの連打は見事でしたが、これから日本チャンピオンを目指すにはややスタミナ不足の感じがしました。それと上体の動きがないため、接近するときに相手のパンチをまともに浴びる場面もありました。軽くても相手のパンチを浴びるのは見栄えが悪いばかりか、相手がもし上位のランカーあるいはチャンピオンとなるとそれをポイントに取られてしまいます。パンチを貰わない工夫をすることが今後の課題のように思います。敗れた松浦ですが、初の10回戦ということもあってスタミナを計算しすぎたように思います。松浦の特徴は早い出入りのはずですが、今回は相手の距離で戦いすぎていました。一発のパンチがある選手ではありませんから、常に自分の距離を保つことと手数を出すことを忘れないで欲しいと思います。
 その他の試合では8回戦に登場した服部が、連打で終始天野を圧倒して最終ラウンドにTKO勝ち。6回戦では国際ジム期待の八重樫が中島に判定負け。今回の八重樫はウエイトが苦しかったのか、前回の試合で見せたような鋭さがありませんでした。なお、中島のコーナーにはあのイスマエル・サラスの姿がありました。