1999年9月21日:後楽園ホール

 5月に崔龍碩(韓国)に勝ってOPBFスーパー・ミドル級チャンピオンを取った西澤の初防衛戦は、インドネシアのベテラン、ニコ・トリリに2−1の判定勝ちとなりましたが、内容的には文句なしでした。
 試合は西澤が常に先手を取っていました。左右のボディ・ブローを効果的に決めていました。トリリもベテラン・ボクサーらしく西澤の隙をついて右のストレートを決めていましたが、パンチの威力が不足していたように思います。結局判定は2−1と割れましたが、西澤の勝ちは揺るぎのないものでした。
 勝った西澤ですが、相手のプレッシャーがきつくなかったこともあって、ここ数試合見られたスタミナ切れという感じはありませんでした。ただ、前半に大きなパンチを振って空振りするなど、スタミナ配分を考えたボクシングをするべきだと思います。年齢的にもこれからスタミナがつくと思えませんので、いかに効率的なスタミナ配分をするかが、これから長くタイトルを守れるかということのキー・ポイントのように思います。それと相手の正面に立ち過ぎているのも気になりました。スタミナ切れと相関関係があるのかもしれませんが、前半は上体を振るなどしているため、相手のパンチをまともに浴びることは少ないのですが、後半になると相手の右ストレートをまともに浴びる場面がありました。今回の相手にパンチがなくて救われましたが、スタミナのことを考えると、パンチを浴びてダメージを増やさないボクシングしないといけないように思います。西澤の次の防衛戦は、恐らく崔龍碩とのリターンマッチとなるでしょう。次の試合に西澤の真価が問われると思います。
 セミファイナルでは、9月25日に行われる日本スーパー・ウエルター級王座決定戦の勝者に挑戦することの決まっている金山が、フィリピンのノーランカー、レガスピノに1RKO勝ちを収めました。しかし、レガスピノには明らかにやる気が感じられませんでした。JBCも選手をしっかりチェックして、こんな試合をした選手と試合をマッチメイクしたマッチメーカーに対しては厳しい処置をすべきだと思います。メイン・カードでなかったことが救いですが、ファンを馬鹿にした試合だと言わざるを得ないと思います。
 その他の試合では8回戦で行われた二ツ橋vs平戸戦は、二ツ橋のパンチが6Rに炸裂して久しぶりのKO勝ちを収めました。平戸もそれまでは良いボクシングをしていたように思いますが、一瞬の隙が勝負を決めた試合でした。2試合行われた6回戦はいずれもKO決着となりましたが、祝迫vs加藤戦は両者とも一歩も引かない打ち合いを展開、最後はパンチ力に勝る加藤が5RTKO勝ちを収めましたが、リングサイド・クラブがある時代であれば、間違いなく両選手に敢闘賞が出たであろうと思える激しい打ち合いでした。この日の興行で一番盛り上がった試合でした。

1999年9月20日:後楽園ホール

 リックがダウンを奪われて三者三様の引き分けで、辛うじて19度目の防衛に成功しました。
 試合は立ち上がりから挑戦者の湯場が、プレッシャーをかけながら得意の左ストレートを決めてポイントを挙げました。リックも3Rくらいから反撃に転じて、ポイントを挽回、6Rまではほぼ互角の展開となりました。試合が大きく動いたのは7R、湯場の連打にリックは防戦一方になり、最後は湯場の左ストレートでリックがダウン、形勢は一気に湯場に傾くように思えました。ところがさすがにリックということになるのでしょうか、8R開始早々に右ストレートでダウンを奪い返し、形勢を再び互角に戻しました。9R、10Rはお互いにふらつきながら、リックの右ストレート、湯場の左ストレートの応酬になりましたが、お互いに決定的な場面を作れませんでした。結局判定は三者三様に割れてリックの引き分け防衛となりました。
 辛うじて19度目の防衛に成功したリックですが、相手が長身のサウスポーという今までに戦ったことのないタイプの選手ということで、戸惑いがあったことことでしょう。相手の湯場の懐が深い上に、ストレートを打ってくるため、なかなか自分の距離が掴めなかったことが苦戦を強いられた原因のように思います。それでも、ダウンを取られたら取り返すあたりは、冷静に試合の流れを読んで戦っていたように思います。この試合だけ見ればリックの衰えを指摘する人もいるかもしれませんが、最近の試合で楽な試合が続いて気持ちの張りを失っていただけで、今回の苦戦によって気合が入れ直されてリックにとっていい方向に向かうように思います。
 惜しくもタイトル奪取のならなかった湯場ですが、やはり8Rに取られたダウンが痛かったですね。7Rにダウンを奪ったあとだけに余計に痛かったと思います。7Rに奪ったダウンが帳消しになっただけでなく、残りのラウンドのジャッジの採点に与えた影響も大きかったように思います。経験不足と言えばそれだけになってしまいますが、リックのようなベテランとやるときは、チャンスは絶対逃してはいけないですし、チャンスのあとのピンチをいかに最小限の失点に抑えるようにしないと勝利は掴めないに思います。いずれにしても難攻不落と思われたリックをここまで追いつめたことは評価できますし、近い将来必ず両者がグローブを交える機会がくると思います。その時には今回の経験を生かして欲しいと思います。
 セミファイナルでは5度目の日本タイトル挑戦を狙う村松が、川上の開始早々の右フック一発に沈みわずか20秒でKO負け。しかし、ルールの解釈の違いで村松陣営の石川会長が激しく抗議をするなど、後味の悪い試合となりました。この件に関しては後日、コラムに書きますが、私個人としては石川会長の抗議は、ルール上正当なところもあると思いますが、一番悪いのは村松であることは間違いないところです。
 その他の試合では、この試合が再起戦となる平丸が、フィリピン・ランカーをボディ攻撃で6RKOしました。平丸は元々パンチのある選手ですが、試合によってムラもある選手だけに、今回のような試合が続けられるのかが今後の課題だと思います。

1999年9月19日:TV観戦

 熱戦の期待されたデラホーヤvsトリニダードですが、デラホーヤの徹底したアウト・ボクシング(俗な言い方をすれば逃げたボクシング)で、盛り上がりに欠ける試合となりました。
 試合の序盤はほぼ互角の展開でしたが、中盤はデラホーヤのアウト・ボクシングが冴え、デラホーヤのスピードにトリニダードは戸惑っていた感じで、得意の右ストレートが再三空を切っていました。デラホーヤは、トリニダードの隙をついてパンチをまとめて着実にポイントを上げました。ところが、8R頃からトリニダードの右ストレートがヒットするようになり、デラホーヤの手数が減りはじめました。デラホーヤ陣営としては、10Rまでに3ポイント以上リードしていると読んで最後の2Rを流したのが結果論としては失敗ということになりますが、相手もチャンピオンということが頭にあれば、もっと違った戦い方になったように思います。いずれにしても、最後3Rのデラホーヤの戦い方がジャッジには評価されず、ポイントがトリニダードに流れたのは事実で、デラホーヤの名前も通用しなかったということなると思います。ただ、最近の世界タイトルマッチを見て感じることですが、以前に比べてアウト・ボクシングを評価しなくなっているように感じるのは私だけでしょうか?つい、2,3年前の試合では、デラホーヤのジャブを突いてのアウト・ボクシングがもっと評価されていたように思います。初の敗戦となったデラホーヤですが、あのシュガー・レイ・レナードもそうでしたが、負けてから本当の強さが身につく選手だと思います。これからどういう試合が組まれるのかわかりませんが、これからのデラホーヤは以前にも増して強くなると思います。
 勝ったトリニダードですが、いつもに比べて固く、パンチの的確性に欠けていたように思います。倒して勝とうという意識が強すぎたのか、デラホーヤのスピードについていけないところもありました。結果的には最後までKOを狙って攻めたところがジャッジに評価されて判定勝ちとなりました。デラホーヤがもっと打ち合うと踏んでいたのでしょうが、フェイントを使うとか、ボディを攻めるというようなアウト・ボクシングに対する策が無さ過ぎたように思います。今回勝ったのは、トリニダード・ファンの方には申し訳ないですが、たまたまということであって、実力で勝った試合ではないと思います。
 デラホーヤ、トリニダード両選手もそうでしょうが、ファンも納得のいかない試合だったと思います。いつのタイミングになるかわかりませんが、両者が再びグローブを交えることになるでしょう。その時は、今回のような試合だけはしないで欲しいと思います。緊張感のあるいい試合だったと感じましたが、ファンの期待を裏切ったことも事実でしょう。犬猿の仲といわれているボブ・アラム、ドン・キングの両プロモーターがどういう形で再戦させるのかに注目したいと思います。
 セミファイナルで行われたIBFのクルーザー級タイトルマッチは、チャンピオンのバシリ・ジロフが10Rにボディ一発で、デール・ブラウンにKO勝ちを収め、タイトルの初防衛に成功しましたが、動きが重く、ブラウンの右ストレートを度々浴びるなど、内容としては今一つの出来でした。とはいうものの、比較的選手層の薄いクラスですから、初防衛戦を苦戦しながらもKO勝ちしたことで、安定チャンピオンになる可能性はあるように感じました。
 その他の試合では、WBA世界スーパー・フライ級3位にランクされるエリック・モレルが、かつてプーマ・金平のリング・ネームで日本のリングで試合をしていたことのあるミゲル・アンヘル・グラナドスに12R判定勝ちを収めました。2R開始早々にダウンを奪ったモレルですが、詰め切ることが出来ませんでした。スピードはある感じでしたが、パンチはやや軽いように思います。それとパンチを受けると消極的になることがあり、打たれ脆いところがあるのかなとも思います。
 スーパー・ヘビー級で4回戦チャンピオンの怪物バタービーンも登場、50Kgも軽い相手に2RTKO勝ち。4回戦では相変わらず無敵であることを証明しました。

1999年9月17日:後楽園ホール

 世界タイトル挑戦話がチラホラ出ているパーマーが、3階級下のタイ国ランカーに5RKO勝ちを収めました。
 試合は立ち上がりからパーマーが慎重な戦いぶりを見せ、3Rくらいまでは目立ったものはありませんでした。4Rくらいからパーマーも積極的な攻めを見せはじめ、5R開始早々、左ジャブから右アッパー一発でサマートをKOしました。東洋レベルでは敵のいないパーマーですが、世界というレベルで考えた場合、パンチ力、スピードとともやや物足りなさを感じます。年齢的にもレベル・アップは難しい感じはしますが、レベル的に劣る選手との対戦の連続で世界タイトル挑戦では、やや荷が重い感じがします。来年早々にも世界タイトル挑戦を目論んでいろようですが、現状ではタイトル奪取は難しいと思います。
 セミファイナルでは大和が、韓国チャンピオン劉と対戦。1Rにダウンを奪うなど終始攻撃を仕掛けて韓国チャンピオンを圧倒、7R終了時点で劉が右足を痛めて棄権を申し入れ、大和のTKO勝ちとなりました。ボクシング・スタイルを攻撃重視に変えてきている大和ですが、スタイル変更が着実に身についている感じがします。ただ、一発に力感が出た分、攻撃が単調になっているのが気になりました。まだ、新たなボクシング・スタイルに慣れていない面があると思いますが、リズムがすべてワンツーだけで、たたみかける感じが見られないなかったところに不満を感じました。また、動きが直線的で、相手が前に出てくると真っ直ぐ下がるのも気になりました。フットワークを含めてまだまだ課題を消化できていない感じはします。ただ、気持ちが前に出ているので、これからの大和は楽しみです。

1999年9月13日:後楽園ホール

 チャンピオン真部が4度目の防衛戦も得意の乱打戦に持ち込み、5RTKO勝ちで高山を下しました。
 高山については情報が少なかったものの、最近2試合は1敗1分けということと、KO勝ちが19戦中4戦しかないことから、真部が負ける相手に思えませんでした。また、リングに上がった高山を見ると真部に比べて、ふた回りくらい体が小さく見えたので、早い決着があるかなと感じました。
 試合は1Rから2R中盤あたりまでは、高山の右ストレート・フックが真部を的確に捕らえていました。真部にいつも通りの固さがあったこともありますが、波乱含みかなと感じました。しかし、2R終了間際に真部の左ストレートがヒットすると試合の流れは一気に変わってしまいました。そして3R,真部の右フックで高山がダウンカウント8で再開になったものの、高山のダメージは明らかで、ここで決まるかと思いましたが真部もトドメをさせませんでした。高山は両目の上をカットしてしまい、勝負は時間の問題という感じがしました。5Rに入ると高山が最後の勝負を賭けて前に出て右ストレートを出していきましたが、真部は冷静に左ストレート、右フックを決めて応戦、最後は高山のダメージと両目上の傷を見てレフェリーが試合をストップしました。
 勝った真部ですが、いつも通りと言えばそれまでですが、相変わらず打たせるのが気になりました。特に、立ち上がりに固くなってパンチを浴びてしまうのが気になります。今回の高山に一発パンチがなくて救われたように思います。攻撃面では、距離感が悪く、左のストレートが押す感じで出ていたのが気になりました。3Rにダウンを奪った右フックは良かったと思いますが、あと一発決めればストップになるような場面の連続だっただけに、左ストレートにいつも切れがあれば、3Rで試合は終わっていたように思います。今後の予定ではロサンゼルスに行ってトレーニングを行い、来年2月に福島学(JBスポーツ)との防衛戦を行うようですが、右のパンチを簡単に貰わないこと、左のストレートに切れが戻らないと次の防衛戦はかなり厳しいように思います。
 敗れた高山ですが、両目上をカットするなど不運な面はありましたが、実力差が大きすぎたように思います。打ち合うことが好きな選手だそうですが、まともに打ち合えばチャンピオンの方が一枚上だっただけに、相手を焦らすような戦い方をすべきだったように思います。器用なボクシングできる選手ではない感じですが、いずれにしても正直に戦いすぎたように思います。とは言っても、自分の現在の力は出せたようには見えました。無い物ねだりになってしまいますが、もう少し一発パンチがあればという感じがしました。
 セミファイナルでは、いつのまにか日本ランキング4位まで上昇してきた大串が、元OPBFチャンピオンの呉長均と対戦。ベテラン呉の巧さに苦戦はしたものの、5RTKO勝ちを収めました。勝った大串ですが、最近の悪い癖である一発で勝負を決めようとするところが随所に見られました。新人王になる前の連打でチャンスを掴んで倒すボクシングに戻さないとこれから上で勝ち続けるの難しいように思います。
 その他の試合では、内藤が韓国選手に1RKO勝ちを収めましたが、今回の相手はいかにも打たれ脆そうな感じの選手でしたので、予想通りの結果という感じがしました。今回の試合でどうこう言える感じではないのですが、右のパンチを打つ時顎が上がる欠点が気になりました。

1999年9月5日:両国国技館

 山口の2度目の2階級制覇へのトライも実りませんでした。ただ、最終ラウンドのダウンを除けば、両者に差があるとは思えない試合でしたが、お互いにクリーンヒットが少なく、ラフファイトの目立つ試合となってしまいました。
 9月3日WOWOWでツ仁柱の試合を初めて見ましたが、思っていた以上にパンチもあり、前後に激しく出入りをする選手だったので、山口にとってはやりにくい部類の選手だと思っていました。ツは今回の試合が敵地ということもあってか、足を使ったボクシングは見られませんでしたが、前に出てプレッシャーをかけ、体が密着するとクリンチを多用していました。山口は最後までツのプレッシャーに押された感じで、ペースを掴むことができませんでした。それと世界タイトルマッチにしてはお互いにラフファイトが目立ちました。3Rには山口、9Rにはツがバッティングで減点を取られましたが、まるで反則の品評会のような試合で、肘打ち、プッシング、ローブロー、レスリング行為等などがクリーンヒットより目立ちました。お互いに同じタイプのボクサーだけに、先手を取ってペースを掴みたかったのかもしれませんが、いずれにしても世界タイトルマッチという看板が泣くような内容でした。
 勝ったツですが、すべてにおいて山口より一枚上でした。KOはならなかったものの、最後に2度倒すあたりにはパンチがあるところも見られました。次は、タイトルを奪ったジェリー・ペニャロサ(フィリピン)とのリターン・マッチが有力のようですが、今日のボクシングは別にしても、次は倒して勝つ可能性があると感じました。ディフェンス面では左のガードを下げて戦うのが気にはなりますが、自分の距離を持っている選手ですから、簡単にパンチを食うような感じはしませんでした。正直な話年齢的な心配はありますが、案外長くチャンピオンを保持するように思います。
 敗れた山口ですが、序盤はほぼ互角でしたが、完全に自分ペースを掴めなかったのが痛かったように思います。それといつも悪い癖である、バッティングの時大袈裟に痛がる場面が、4,5度ありました。自分にとっていいペースを切ってしまう場面もあり、もったいない感じがしました。痛いのはわかりますが、痛いのは相手のツも同じなのですから、過剰に痛がって見えるのは、山口にとってマイナスだと思います。また、試合中に集中力が切れてしまう悪い癖も出てしまいました。お互いにクリーンヒットがなく一進一退の6Rに、ダウンこそしなかったものの一方的に攻められてしまい、ツがペースを握ったように見えてしまったのが、痛かったと思います。その後、最終ラウンドを除いてはどちらにもクリーンヒットが少なく、ジャッジが採点を迷いそうなラウンドがあっただけに、6Rの防戦一方は、この試合の勝負のターニング・ポイントになったように思います。正直なところ、ジムの移籍で心機一転、ボクシングが変わると期待していましたが、変わるにはまだ時間がかかるように感じました。今日のボクシングで世界タイトル挑戦は、ちょっとお粗末だったように思います。今後どうするかはわかりませんが、スーパー・フライ級でも減量は苦しいようですし、さらに上にあげるのもいいかもしれません。今回の敗戦で、しばらくは世界タイトル挑戦者に浮上してこないでしょう。デビュー以来コンスタントに試合を消化している山口ですが、年齢的には25歳と若いですから、ここはゆっくりと休んでしっかりとした体作りをしたうえでこれからを考えて欲しいと思います。
 セミファイナルですが、今年6月4RKO勝ちで再起し、日本ランキングにも復帰した竹永が、フィリピンのノーランカーと対戦。1Rに2度ダウンを奪われ、中盤追い上げたものの終盤に失速してまさかの判定負けを喫しました。ダウンを奪われるのはいつものことですが、今回はパンチに勢いも切れもなく、途中で右拳を痛めたようですが、いずれにしても竹永らしさがほとんど感じられなかった試合でした。何度か苦境を跳ね返してきた選手ですが、今回のボクシングに精彩がなかったのが気になります。
 その他の試合では、10回戦に出場した小熊坂は、フィリピン選手に8RTKO勝ちを収めましたが、途中何度も相手のパンチを浴びてピンチになるなど、ピリッとしたところがありませんでした。また、8回戦の佐藤vs矢原の新人王対決は、佐藤の的確なパンチが矢原の手数に勝り、2−1の判定勝ち。佐藤は、4月に前日本フライ級チャンピオン、スズキ・カバトに9RTKO負けしての再起戦を飾りました。6回戦で行われた古家vsトキワ戦は、中盤ペースを握られた古家が、元日本ランカーの意地を見せて終盤盛り返し、3−0の判定勝ちを収めました。

1999年9月4日:後楽園ホール

 3度目の世界タイトル挑戦を目指す坂本は、タイの1階級下のチャンピオンを1Rであっさり倒しました。
 今回はメインを後回しにして、セミファイナルから書こうと思います。結果は9R負傷判定でパニアンの手が挙がりましたが、会場の雰囲気としては、川端の善戦を評価していたように思います。ちなみに私の採点は、77−75でパニアンとつけていました。確かにどっちにつけてもいいようなラウンドが連続の試合でしたが、私は単発的な川端の攻めより、ラウンド全般の流れを支配していたパニアンに採点を振りました。川端の攻めも良かったですが、攻めた後必ず、パニアンが同じところを攻めていました。パニアンの気の強いところが見られた一面ですが、川端としては攻められたらまた攻め返して欲しかったです。攻め返されると手が出なくなってしまい、川端の手が止まるとパニアンが、大きなフック・アッパーを当てていましたので、どっちかに採点を振れとなればパニアンに振らざるを得ませんでした。確かに川端は善戦しました。特に接近戦では、右のフックをよく決めていましたし、パニアンのアッパーをよく防いでいた思います。しかし、左のジャブが少ないため、試合の流れをうまく掴めなかった感じがしました。川端はこれで世界ランカーに連敗となりましたが、実力的には紙一重という感じがしました。今のボクシングでも日本レベルでは十分通用するでしょう。ただ、それ以上を狙うのであれば、もう少しボクシングの幅が欲しいと思いました。
 一方、またまた薄氷を踏む勝利を得たパニアンですが、パンチがないだけに、プレッシャーをかけられると脆い面が見受けられます。自分の距離では手数が出る選手ですが、接近戦になると手がでなくなる欠点を直さないと世界は無理でしょう。年齢が年齢だけにチャンスはそうないと思いますので、チャンスを生かせるよう接近戦に磨きをかけて欲しいです。
 メインの坂本ですが、今日の試合では何も判断できませんでした。しいて挙げれば試合を決めた最後の左フックのカウンターのタイミングが良かったことくらいでしょう。タイの国内チャンピオンということでもう少し骨があるかと思いましたが、契約ウエイトが144ポンドということで、普段スーパー・フェザー級でやる選手からみると約6Kgも重い体重で試合をしなければならなかったことを考えると、何もできなくて当たり前という感じがしました。坂本も自身のベスト・ウエイトから約4Kgも重いウエイトで試合をしたこともあって、動きは全体的に重たいように見えました。試合が長引けば、別の結果もあったように思います。ターゲットはジョンストン一本のようですが、やはりジョンストンのスピードについていけるのかが気がかりでなりません。そういう意味で1階級下の選手を選んだと思っていたのですが、全くの期待はずれの試合でした。
 その他の試合では、日本ランク入りを果たした榎本が、ノーランカーの阿部からダウンを奪っての判定勝ちを収めました。3Rにタイミングの良い左ストレートを決めてダウンを奪いましたが、倒し切れなかったことが今後の課題でしょう。詰めを覚えるとスピードもありますから、今後が楽しみな選手です。敗れた阿部ですが、もう少し真剣にボクシングをやりなさいと言いたいです。何回か顎を突き出して相手を挑発していましたが、それは格上の相手にやることではないと思います。そんなことやって相手を誘う前に、パンチを出すことをすべき。挑発が逆効果になった典型の試合だったように思います。ミニマム級の6回戦は、宮城が大阪から来たダイナマイト・和雄に打ち勝って判定勝ちを収めました。ダイナマイト・和雄のパンチが大きいの見切って、ショートレンジで巧くパンチを決めていました。ただ、これからはカウンターを取ること、パンチをまとめることが大切だと思います。敗れたダイナマイト・和雄ですが、攻めが雑でした。後楽園ホールは初登場ということもあって、多少緊張感があったのかもしれませんが、もう少し丁寧な攻めをしていれば、スピード負けしていなかっただけに、逆の結果も有り得たと感じました。